中山修一著作集

著作集12 研究追記――記憶・回想・補遺

第三部 わが学究人生を顧みて

第一一編 「中山修一著作集」全一五巻から全二四巻へ

「中山修一著作集」を全一五巻から全二四巻に再編しました。具体的には、これまでの一五巻を「第一期(正編)」とし、ここに新たに「第二期(続編)」として九巻を設け、その結果として全二四巻になったというわけです。以下に、全二四巻の巻の表題と説明文を書き記します。

第一期(正編)

著作集1 『デザインの近代史論』

デザイン史家としての私の研究の原点であり土台となる初期近代史論の集成。

著作集2 『ウィリアム・モリス研究』

英国デザイナーのウィリアム・モリスについての明治末日本の研究の様相。

著作集3 『富本憲吉と一枝の近代の家族(上)』

富本憲吉(陶工)と富本一枝(『青鞜』同人)の家族史――出会いから結婚まで。

著作集4 『富本憲吉と一枝の近代の家族(下)』

富本憲吉(陶工)と富本一枝(『青鞜』同人)の家族史――家庭生活と晩年の離別。

著作集5 『富本憲吉研究』

モダニストとしてのデザイン思想の文脈から描く富本憲吉という生き方。

著作集6 『ウィリアム・モリスの家族史』

一九世紀英国のウィリアム・モリスとジェイン・モリスに近代の夫婦像を探る。

著作集7 『日本のウィリアム・モリス』

富本憲吉を含むわが国におけるウィリアム・モリス受容の歴史。【一部執筆完了】

著作集8 『英国デザインの英国性』

近代英国のデザインを語り、加えて畏友の論考を原著と翻訳で紹介する。【本文未着手】

著作集9 『デザイン史学再構築の現場』

近代運動崩壊前後の英国と日本のデザイン史学再構築の諸相。【一部執筆完了】

著作集10『研究断章――日中のデザイン史』

日本と中国を形象する近代デザイン史断章――博士論文と共著論文で構成。

著作集11『研究余録――富本一枝の人間像』

性的少数者としての富本一枝の人生、そして小林信(桑野信子)のその後。【近日完結予定】

著作集12『研究追記――記憶・回想・補遺』

学者としての私の天空に宿る研究忘備録、肥後偉人点描、そして学究回顧録。【近日完結予定】

著作集13『南阿蘇白雲夢想』

南阿蘇山中の小庵に隠棲して白雲の流れに夢想する日々の詩歌、日誌、小説、そして随筆。

著作集14『外輪山春雷秋月』

大阿蘇と不知火海が生んだ火の国の女たち(高群逸枝、石牟礼道子ら)の列伝。【近日公開予定】

著作集15『南郷谷千里百景』

わが愛する阿蘇南郷谷の自然と事象と小庵を記憶として残す写真集。【撮影継続中】

第二期(続編)

著作集16『富本一枝の生涯』

本人と友人たちが語る富本一枝の真実。伝記書法の新たな試み。【近日公開予定】

著作集17『高群逸枝・橋本憲三伝』

女性史学の祖たる高群逸枝と名編集者たる橋本憲三の夫婦伝。【近日公開予定】

著作集18『近代日本デザイン思想史』

近代日本の視覚・物質文化はいかなるデザイン思想によって形象されたか。【本文未着手】

著作集19『翻訳/モリスの芸術論と社会主義論』

芸術と社会主義についてウィリアム・モリスが主に講演の場で語った論考を訳す。【本文未着手】

著作集20『翻訳/モリス「ジョン・ボールの夢」』

中世の農民反乱を描いたウィリアム・モリスの「ジョン・ボールの夢」を訳す。【本文未着手】

著作集21『翻訳/モリス「理想郷からの知らせ」』

革命後の新世界を描いたウィリアム・モリスの「理想郷からの知らせ」を訳す。【本文未着手】

著作集22『残思余考――わがデザイン史論』

ウィリアム・モリス、富本憲吉、そして高群逸枝を論じる自身の研究の残思余考。【執筆継続中】

著作集23『残思余考――隠者の風花余情』

火の国大阿蘇の森のなかに生きる自身の生活と暮らしについて書き記す残思余考。【執筆継続中】

著作集24『残思余考――すべては夢のなかから』

私は、あるいは私の学問はどこから来たのか、そして、どこへ向かおうとしているのか。【本文未着手】

別巻

『主題別著述総覧』

デザイン史、モリス研究、富本研究、周縁探訪、阿蘇創作、伝記と通史、翻訳、そして残思余考の八つの主題別全著述。


神戸大学を定年で退職したおりに、ウェブサイトに「中山修一著作集」を開設しました。そのときは、四巻による構成でした。それからちょうど一一年が立ちました。その間、少しずつ巻数が増え、いまやっと二四巻になりました。この二四巻が、形のうえで私の著作集の全貌を示すものです。現在そのなかには未完の巻が多く含まれており、今後それを一つひとつ完成してゆかねばなりません。予定では一〇年後に全巻完結します。その意味で、今回の更新は、私の仕事の折り返し点を示す、ひとつの記念碑となりました。山にたとえれば五合目まで登り、やっと山頂が見えてきたところです。あと一〇年をかけて何とか山の頂にたどり着きたいと願っています。

ただ次の更新時に、著作集16『富本一枝の生涯』、著作集17『高群逸枝・橋本憲三伝』、および著作集18『近代日本デザイン思想史』の三巻の表題を、著作集16『ひとつの思想――日本デザインの近代運動』、著作集17『ふたつの性――富本一枝伝』、および著作集18『三つの巴――高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子』に変更することを考えています。

(二〇二四年四月)