新年 あけまして おめでとうございます
秋の暖かなある日のこと、増築した平屋部分の屋根をドンドンとたたく音に気づき、そっと二階に上がり、窓越しからのぞいてみました。
見ると驚くことに、十数匹の猿の群れが思い思いにジャンプを繰り返し、あたかもそれは、輪になって楽しそうにダンスをしているような光景でした。しかしお父さん猿と思しき恰幅のいい猿だけは、一番高いところに陣取り、悠然と毛繕いをしていました。
一方、隣りの空き地では、同じく一〇匹くらいの猿たちが、歩き回りながら草木の果実に手をのばし、せっせと口に運んでいました。そのなかのお母さん猿をよく見ると、背中に子猿を乗せ、その胸には生まれたばかりのような幼子が上手にしがみついていました。
そうするうちに、毛繕いが終わったのか、それとも遊戯と食事に満足したのか、お父さん猿の合図のもと、サーカスさながらに、枝から枝へと飛び移りながら、全員一気に森のなかへと姿を消していきました。
穏やかなお正月をお迎えのことと思います。
本年のご多幸とご健康を心よりお祈り申し上げます。
二〇一六年 元旦
数日前の地震は、少し揺れを感じましたが、大丈夫でした。今日の夜ころから台風が接近し上陸するとのことですが、いまはまだ風もなく、未明からの雨も止んでいる状態です。
テレビや電話を置いている棚の下には、いままで研究用の資料を入れていましたが、今回の模様替えと大掃除で、この空間に防災関連用品(食料も含む)を入れることにして、先日すべて整いました。また停電に備えて発電機も購入しました。発電のためのエネルギーは、日常家庭で使っているLPガスです。停電した場合、ウッドデッキに発電機を部屋から持ち出し、壁に設置していますガス栓と結び、発電機を作動させます。発電した電気は、外壁と内壁を通って室内へ通じるように配線ができています。最大で九〇〇Wまで使用可能です。
昨日は、フェフェちゃんを大津町にある病院兼美容院兼ホテルへ連れて行きました。かさぶたが取れて、すっきりした顔になりました。歯槽膿漏が原因なのですが、高齢ですので抜歯ができません。それで対処療法になりますが、薬を飲みながら、定期的に通院し、患部を清潔にする必要があります。片道一時間で、二往復しましたので、昨日は四時間運転したことになります。少し疲れましたが、このようにだいぶん体力も回復してきているようです。
先日、久しぶりに書斎に向かって原稿を書きました。いままではそうした気持ちは起こらなかったのですが、気力も回復しつつあるようです。原稿は、熊本高校卒業五〇周年記念誌への寄稿文です。来年の三月で高校を卒業して五〇年になります。本当に月日の流れは早いものです。
九月二八日に検診のために近くの馬原内科医院に行きました。とくに問題になるような点はありませんでした。ただ、この間ときどき胸痛が自覚されましたので、そのことを伝えると、心臓自体に異常があるわけではないので、再び心筋梗塞に襲われるのではないかとか、心臓が止まるのではないかとか、強い不安やストレスが続くと、狭心症に似た痛みが現われるが、その痛みは、感じ方や場所、持続性において狭心症とは異なり、心臓神経症と呼ばれる心の問題だといわれました。
私は、狭心症か心筋梗塞の前兆のような軽度の症状ではないかと勝手に思い込み、二三日に予定していた奈良県立美術館での富本憲吉展の見学もあきらめてしまっていたのですが、神経症的な胸痛であったのであれば、少し無理をしてでも、展覧会に行けばよかったと、後悔しているところです。残念なことをしてしまいました。その後胸痛は現われていません。やはり、心配や不安から来る痛みだったようです。再発のことなど、あまり神経質に考えず、楽天的に日々を送るのがいい結果につながってゆくのかもしれません。
地震以降、病気により体力が低下したこともあり、ほとんど家のことができないでいましたが、やっと居室、地下倉庫、庭や側溝などの手入れと片づけが終了しました。「断捨離」の言葉どおりに、不要なものは思い切り廃棄しました。また、先日は、地震で傷んだ外壁とウッドデッキの補修を業者に依頼し、それも完了しました。一方この間、防災関連の備品や備蓄食品についても、すべて準備が整い、災害に備えることができました。これで、一応気になっていた家のことがすべて終了しました。一〇月を迎え、新たな気持ちで快適な生活をはじめています。
山荘の木々の落葉は一〇月くらいからはじまりますが、一一月の中旬から下旬にかけて紅葉がもっともきれいになります。その後、色づいた葉が散り、庭一面が紅や黄色の落ち葉で覆われ、まさしくじゅうたんを敷き詰めたようになります。桜の四月と紅葉の一一月が、山荘の庭がもっとも輝く、ぜいたくな季節です。
高森町主催の大阿蘇絵画展も今年で二六回になりました。私の父は最初から出品していますが、今年の作品は「入賞」に輝きました。展覧会カタログには、図版が掲載され、父の絵に対する審査員の方のていねいなコメントも読むことができます。一一日一三日が表彰式でしたが、私が代理で出席し、賞状と賞金を受け取ってきました。
心筋梗塞から六箇月が立ち、一一月二八日に、手術をした済生会熊本病院へ行きました。心臓エコー、心電図に異常はなく、血液検査も適切な数値を示し、順調に回復しているとのことでした。一二月一九日に再度来院し、今度は一泊二日で、カテーテルを入れて、ステントの状態を確認する予定です。
一〇月ころから生活のリズムも少しずつ一定化し、本来の学者生活を再開しています。まずは、無理をしない程度に、現在のホームページ「中山修一著作集」(本巻二巻別巻二巻)の将来に向けての構成の見直しからはじめようと思っています。
一二月一九日に一泊入院で、カテーテル検査をしました。右のリストからカテーテルを心臓の冠動脈まで入れて、留置したステントの状態や、ほかに心筋梗塞を起こしそうな血管がないかを画像によって確認する検査です。結果は、異状なく、順調に回復しているとのことでした。心筋梗塞の死亡率は、発生段階で三割、退院一年以内に一割といわれていますが、何とかこの危険性を回避できたようです。次は、来年の六月三〇日に再び済生会熊本病院へ行き、心電図や心臓エコー、血液検査などをして、問題がなければ、済生会病院での術後の検査はこれで終了し、あとはいままでどおり、地元の病院(馬原内科医院)へ四週間おきに通院し、お薬をもらいながら、様子をみてゆくことになります。
キリン「午後の紅茶」のテレビCM「あいたいって、あたためたいだ。」――このロケが南阿蘇鉄道の高森駅からひとつ目の見晴台駅で行なわれ、いまときどきテレビで見ることができます。ヒロインは上白石萌歌さんという高校生の女優さんです。熊本地震のあと、とくにそれに触れずに、さりげなく南阿蘇を応援してくれていることを知るにつけ、心が温まります。南阿蘇村のホームページの「新着更新情報」の二〇一六年一二月六日更新の項目にそのことが詳しく紹介され、実際のCMとCMメイキング映像を見ることができます。