中山修一著作集

著作集13 南阿蘇白雲夢想

第三部 燎原に幻影あり(小説集)

序に代えて

この、著作集13『南阿蘇白雲夢想』の第三部「燎原に幻影あり(小説集)」は、現在、「目次」にもありますように、以下のふたつの編から構成されています。

 第一編 沈みゆく村落
 第二編 雪消を待つ女
 
 詩歌や随筆では、うまく表現できない内容もあります。あるいは、小説という形式に頼らなければ書き表わせない内容もあります。この著作集13『南阿蘇白雲夢想』の第三部「燎原に幻影あり(小説集)」は、ご覧のように、フィクションの形式をとった私にとりましての、いわば近年の「社会観察の記録」です。この間の生活で見聞きした社会的素材を全面的に一度解体し、一定の主題に即して、用意した虚構空間に再構築してみました。文末に示しています「初出」からもおわかりのように、なかには、地元の文化雑誌へ寄稿したものもあります。大事な記憶が遠ざかる前に、したためておきたいと思います。

(二〇二一年初夏)