著作集１２　研究追記――記憶・回想・補遺

第二部　わが肥後偉人点描

第三話　石牟礼道子の「沖宮」の能衣裳を監修した志村ふくみの原風景

はじめに

石牟礼道子が死去したのは、二〇一八（平成三〇）年二月一〇日のことであった。この日、愛知県にある名都美術館では特別展「志村ふくみ――いのちの色に導かれて――」（平成三〇年一月一二日から三月一八日までの会期）が開催されていた。志村ふくみはこのとき、どのような思いで石牟礼の死亡の知らせを受け止めたのであろうか。その喪失感は、筆舌に尽くしがたいものがあったものと思われる。

二〇一一（平成二三）年九月八日に石牟礼は、志村に宛てて一通の手紙を出した。

能衣裳の製作依頼を受けた志村は、一週間後の九月一五日、このような返信を石牟礼へ書き送った。

年が変わると、二〇一二（平成二四）年一月二〇日に、石牟礼は志村に次のような内容の手紙をしたためた。

そして、一箇月後の二月二四日の手紙の末尾に、「まだまだ不出来でございますが、『沖宮』をお送りいたします。御笑覧くださいませ」４の一語が記されていた。

以上の四通の書簡からもわかるように、生前にあって、石牟礼は絶筆を意識した新作能「沖宮」５（「天草四郎」を改題）を書き進めるなか、主人公の天草四郎がまとう「みはなだ色（天青の色）」の装束と、五歳の童女・あやが身に着ける「緋の色（紅花の色）」の衣裳とを志村に依頼していたのであった。

石牟礼の死去から四日が過ぎた二月一四日の熊本日日新聞は、「沖宮」の公演について、こう報道した。「一〇日に九〇歳で亡くなった作家の石牟礼道子さん原作の新作能『 沖宮 （ おきのみや ） 』が、初めて舞台化されることが一三日までに決まった。一〇月六日の水前寺成趣園能楽殿（熊本市中央区）を皮切りに京都、東京で上演。衣装は石牟礼さんの長年の友人である、染織家の志村ふくみさん（九三）＝京都市＝が手掛ける」。そして、続く七月一日の同新聞は、「友人で人間国宝の染織家志村ふくみさんが二九日、京都市右京区の 都機 （ つき ） 工房で監修した衣装を報道陣に披露した」ことを伝えた。

そこでこの機会にあわせて、富本憲吉と一枝夫妻との交流を軸に、染織家・志村ふくみの揺籃期の原風景といえるものを、これまでに本人が書き残している幾つかの断片を拾い集めながら、それを素材に少し描写しておきたいと思う。

一．実母の織物への情熱と挫折

晩年志村は、自著の『伝書　しむらのいろ』の巻末に掲載されている「結、しむらのいろ　三代をとおして」のなかで、一代目に相当する、実母の小野 豊 （ とよ ） について、こう書いている。

尾竹一枝の妹の福美もこの女学校に通っていた。そのときの福美の同級生に小野豊がいた。年の近い三人は、よく一緒になって遊んだ。志村「ふくみ」の名は、一枝の妹の福美からとられているという。

志村の別のエッセイに、「母との出会い・ 織機 （ はた ） との出会い」と題された一文があり、そのなかで、実母の豊が、若き日に大和（奈良）の安堵村に一枝を訪ねていたことを紹介している。「やがて三児の母となった或る日、阪急電車の中で、音信の絶えて久しい尾竹一枝さんにばったり出会った。その時は既に結婚され、富本憲吉夫人になっていたのであるが、偶然の再会を喜び合い、その時より終生の深い友情で結ばれることになった。母はいまも小筥に一枝夫人の手紙を大切にしまっているが、巻紙にあふれるような豊かな筆致で、率直すぎるほどに母を戒め、いたわり、なかには三メートルに及ぶほどの手紙もある。先日、それをみせてもらっていると、はからずも再会の日の手紙が出てきた」７。一枝からのその手紙には、こう記されていた。

一枝は、女学校を卒業すると、しばらく絵の勉強をするも、一九一一（明治四四）年九月に平塚らいてうによって創刊された『青鞜』に魅了されると、さっそくその社員に加わり、退社したのちは、英国の地で、工芸家で詩人にして社会主義者でもあったウィリアム・モリスの思想と実践を学び、帰朝したばかりの富本憲吉と結ばれ、翌年の一九一五（大正四）年三月に東京を離れ、夫の生地である安堵村に移ると、憲吉は製陶の道へ歩みはじめ、一方の一枝は、『婦人公論』や『婦人之友』などへの常連寄稿者として自らの活路を見出そうとしていた。

阪急電車のなかでの最初の再会からしばらくして、豊のもとへ一枝からの電報が届いた。「カマヒラク　アスコラレタシ」。志村は、そのときの母の様子をこう記す。

豊は、安堵村での一枝の生活に、このように驚いた。そしてまた、次のように、目を見張った。

豊と一枝が阪急電車の車内で偶然にも遭遇したときには、まだ、第四子であるふくみは生まれていない。ふくみが生まれるのは、一九二四（大正一三）年九月三〇日のこと。しかし、二歳のときにふくみは、実父母である小野 元澄 （ もとずみ ） と豊の手から離れ、元澄の実弟で日本郵船会社に勤務する志村哲・ 日出 （ ひで ） 夫妻の養女に出される。そして養父母に連れられて、東京吉祥寺に移り住むことになる。

一方、その出来事の前後にあって豊は、富本夫妻を通じて柳宗悦の知遇を得、民芸の世界に接することになる。民芸作家のなかに、 青田 （ あおた ） 五良 （ ごろう ） という機織りをする青年がいた。ふくみは、「母との出会い・ 織機 （ はた ） との出会い」のなかで、さらにこう綴る。「その頃、上賀茂の社家の一隅では、陶器、木工、金工、染織と新しい民芸運動がはじまっていた。その中に青田五良という青年がいて……青田さんは貧乏のどん底で、糸を紡ぎ、染め織り、体がボロボロになるまで苦闘して、遂に夭折してしまった。母が青田さんに織物を習ったのはその時期わずかであったが……『まだこの道は暗く、人のかよわぬ道だが、いずれは誰かが歩いてくるだろう。私はその踏台になる』といっていたという」１１。豊は、本心から織物を続けたかった。しかし、家庭婦人にはそれは限度を超える望みだったのであろう。断念した。そして、納屋に機道具がそのままにして残された。

二．実母との出会いと織機の発見

一九二六（大正一五）年の秋、富本憲吉一家も、東京の祖師谷へと移住する。どういう経緯でふくみが、一枝の家を訪問したのかは定かでないが、訪れた時期は、文化学院に転入学することになる一九四〇（昭和一五）年の年が明けたころだったのではないかと思われる。ふくみは、一枝にはじめて会ったときのことを、こう回想する。

このときの訪問は、ふくみにとって、まさしく天地動乱に匹敵する、人生最大の過酷な事件であったにちがいなかった。

さらに後年、ふくみは、「富本憲吉と西村伊作の文化生活――暮らしをデザインする」展の図録に一文を寄稿し、そのなかで文化学院入学と一枝について触れ、このように述べている。「その頃、昭和十六年は大東亜戦争がはじまった年だった。午後三時、お茶の水駅に花が降るといわれたほど、文化学院の生徒はお洒落で華やかだった。……偶然にも私を文化学院に導いて下さったのは富本憲吉夫人の一枝さんだった」１３。文化学院は一九二一（大正一〇）年に西村伊作によって開学された学校で、『我に益あり・西村伊作自伝』（紀元社、一九六〇年）に記述されているように、その学校は、決して権力に屈することのない真の自由と、それに基づく文化の創造を標榜していた。富本夫妻が、新宮の西村家をはじめて訪問したのは、一九一七（大正六）年のことで、それ以降も、一九三二（昭和七）年の座談会「今と昔の先端婦人」（『婦人画報』八月号）では、一枝は、伊作の娘の西村アヤと同席しているし、一九三五（昭和一〇）年の「家を嫌ふ娘を語る座談會」（『婦人公論』五月号）では、文化学院院長の伊作本人と直接言葉を交わしている。また、自分の娘の陽も、一枝は文化学院に入れていた。こうした西村伊作との親交の継続が背景にあって、当時長崎に住んでいたふくみの養父の漢口への転任に際して、日本に独り残すふくみの勉学の場について、おそらく豊に相談を受けた一枝は、長崎の活水女学校から東京の文化学院への転入学を斡旋したものと推測される。文化学院の自由教育は、ふくみの感性を見事なまでに育んだ。ふくみは、文化学院での生活をのちに顧みて、「ほんとに短い期間なのに、その一年が自分の生き方に強烈な影響を与えています」１４と、鶴見和子に語っている。

しかしその一方で、一枝との最初の出会い以降、この間のふくみの胸中は、出生の不安で張り裂けんばかりの状態にあった。文化学院在学中の一九四一（昭和一六）年の正月、ふくみは、近江八幡の小野家で、はじめて元澄と豊が、自分の実の両親であることを知らされるのである。そしてそのとき、一台の織機がふくみの目に留まった。これこそが、豊が安堵村で受けた感動の一条の糸が、さまざまな出来事に翻弄されながらも、その後、実の娘のふくみへと、しっかりとつなぎ渡されてゆく、まさにその端緒となる瞬間でもあった。

三．染織家としての旅立ち

戦争が終わり、志村は、一九四九（昭和二四）年に結婚し、洋子と潤子のふたりの子どもをもうけるも、結婚生活に悩む。そのとき一枝は、ふくみにこう助言した。

志村は、夫と別れ、東京の養父母に二児を預けたまま、近江八幡の実家へ帰る。そこから、志村の織物への道がはじまるのである。志村、三一歳の転機であった。そのときの気持ちを、後年志村はこのように書く。

そうしたふくみの心を支えたのが、実母の豊であった。しかし、「母は織物に対する智識はまことに幼稚で専門の技術などまったく知らなかったから暗中模索の日々であり、失敗の連続だった」１７。それでも「母以外に師はなく、平織を植物染料からなる色彩だけを唯一たよりにして、前人のいない道を歩いていった。しかし私の中には柳宗悦著の、『工藝の道』が深く根づき一すじの道を指し示していた」１８。

この道に入って三年が過ぎた。一九五八（昭和三三）年に、志村は、日本伝統工芸展に紬織着物《秋霞譜》を出品して、奨励賞を受賞した。しかし、これが柳宗悦の逆鱗に触れることになる。

柳の工芸論は、無署名性（アノニマス・デザイン）にひたすら価値を見出し、作家の個性や独創性に重きを置くものではなかった。柳の見解は、次の一文にもよく表われている。

こうして志村は、私淑する柳から「破門」を宣告され、途方に暮れるも、「個人作家」という、すでに胎内に宿した「近代的な自我」を捨て去ることもできず、自然と民芸から離れてゆくことになる。ちょうどそのころのことであろうと思われるが、一枝が柳邸を訪れている。柳は病床にあった。以下は、応対した妻の兼子の、そのときの記憶である。

これが、単なる病気見舞いであったのか、それとも、ふくみが「破門」されたことを知った豊からの連絡を受けて、一枝がそれについての事情を聞くために柳に会いに行ったのか、それはいまとなっては確かめようがないが、いずれにしても、前途を失いかけたふくみを気遣う豊と一枝が、その陰にあって存在していたことは間違いないであろう。

他方で、いっさいの模倣も骨董趣味も否定し、「模様より模様を造る可からず」を揺るぎない信念とする富本憲吉は、すでに柳とは対極の考えをもつようになっており、国画会を一度脱会した民芸派の人たちが、戦後ただちに復帰を計ろうとしたときは、富本は、民芸派の工芸観のみならず、その理不尽なる振る舞いにも耐えかねて、長年にわたって自分が産み育ててきた国画会工芸部を自ら出て、新たに新匠美術工芸会（のちに新匠会に改称）をつくるに至っていた。後年富本は次のように語る。「民芸は他力本願の芸術を説くが、私は自力本願ですよ。梅原（龍三郎氏）を仲介に入れて柳（故宗悦氏）と一晩けんかをしたが、合うはずがない。それで国展を飛び出して戦後に新匠会を結成した」２２。志村が、新匠会に出品するのは、この「破門」に先立つ一年前からであった。

志村の書いたもののなかに、「富本先生にいただいたことば」という題のエッセイがある。以下はその挿話である。憲吉は、終戦の翌年に家族を残したまま独り祖師谷の家を出て、京都の地で作陶に励んでいた。

そして、憲吉は、続けてふくみにこう諭した。「あなたは何が好きか。文学ならば、国文学でも仏文学でも何でもよい。勉強しなさい。私はこれから数学をやりたいと思っている。若い頃英国に留学した時、建築をやりたいと勉強したが、それが今大いに役立っていると思う」２４。一瞬の出来事であった。志村はいう。「私は全く予期していなかったせいか、あっと思い、いきなり心の中に何かを呑み込んだ感じであった。後で考えればまことに分かり切った事であるが、わざわざ私を呼んで『これが云いたかった。』と率直な口調で云われた事が、実に鮮明な印象としてのこった」２５。

憲吉は、本格的な製陶の世界に入るに先立って、ウィリアム・モリスの例に倣い、さまざまな工芸の実践に手を染めている。織物の試作も、そのひとつであった。そのときのインスピレイションの源泉となったものは、存命中に父豊吉が残していた推古布と呼ばれる標本であった。「實は私の父が生存中に集めておいた二十種ばかりの推古ぎれと云ふ標本を持つて居ります、此れで見ると小さい一寸四方程のきれが語る當時の支那印度遠くは中央亞細亞の文明、それが長時間に美しくされた植物や礦物の染料、模樣の形式の面白み、私は或日獨り畫室に坐りこむで自分で織物を始めようと云ふ決心を此れを見て致しました」２６。さっそく行動へと移された。「先づ倉へ行つて曾祖母が使つたと云う最もプリミティーブな『手ばた』と云ふのに糸をのべて最初の試作をやりました、只今は研究中で何むとも申し上げられませむ、此の『手ばた』と云ふのはモー私の地方の百姓の手から亡むで仕舞つたもので、隨分器機の方から申せば馬鹿げたものです」２７。バーナード・リーチとの出会いがなければ、憲吉は陶工ではなく、織工として身を立てていたかもしれなかった。おそらく本人たちの誰も気づかなかったであろうし、また、特段強調する必要もないが、実はここに、豊、ふくみ、洋子の三代にわたる織り姫たちの前に立って先導するかのような、憲吉の後ろ姿があった。まさしくそれは、 縁 （ えにし ） と呼ぶにふさわしい糸で織りなされた、いまも歴史のなかにあって密かに息づく人間模様なのである。

志村は、一枝の辛辣な作品評にも耳を傾け、他方、憲吉を自ら進んで師と仰いだ。「織物の道に志した時、まず一枝さんに受けた助言は鮮烈で、厳しいものだった。その後、京都に住んでから唯一の師は富本憲吉だった。折にふれ先生の住所をたずね、作品をみていただいた。陶芸と染織の道はことなるが、私は富本憲吉の弟子だとかたく思っている」２８。

一九六三（昭和三八）年に憲吉が、続いて一九六六（昭和四一）年に一枝が、この世を去った。これにより、染織家としての志村の揺籃期は終わり、成熟期へ向けて新たな旅につくことになる。「何でもいい、何か別のことを勉強しなさい」――この言葉は、憲吉からふくみへの遺言だったのかもしれない。その後ふくみは、日本の伝統色を研究し、ゲーテの色彩論を学び、独自の理論世界を展開しながら、究極の「しむらのいろ」へと到達してゆく。一九八一（昭和五六）年には、娘の洋子も、ふくみを師として染織の道に入り、かくして「しむらのいろ　織女三代記」が幕を開け、その八年後には、都機工房を設立。そしてふくみは、あたかも師の受賞歴を追うかのように、一九九〇（平成二）年に重要無形文化財保持者（人間国宝）に認定され、二〇一五（平成二七）年に文化勲章を受章する。

おわりに

述べてきたように、志村ふくみの染織家としての原風景には、富本憲吉と一枝の存在が大きな位置を占めていた。志村の実父母が小野元澄と豊、そして養父母が志村哲と日出であった。そうすれば、志村にとっての憲吉と一枝は、製作するうえでの、あるいは生きるうえでの見習うべき手本としての第三の両親ということになろうか。一枝は、青鞜の時代、よくも悪くも、「同性の恋」や「五色の酒」そして「吉原登楼」といった話題をさらって、「新しい女」の一面を社会に見せつけた。一方憲吉は、結婚に際して一枝に、「例へ法律とか概観で、そうでないにしても尾竹にも富本にも未だ属しない、ひとつの新しい家が出来るわけである。そう考へて居て貰ひたい」２９と告げている。つまりそこには、良妻賢母思想の旧い生き方も、家父長的な旧い家制度も否定され、新しい女性の生き方や新しい家族のあり方が展望されているのである。工芸も美術も、同じくこの観点に立って、「視覚の制度」も「製作の制度」も、旧来の価値が刷新されなければならなかった。ここに、広くモダニズム（近代主義）の内実があった。師の憲吉が、ウィリアム・モリスと尾形乾山（初代）をもって父と母としたように、志村の場合は、こうしたふたりを人生の父母としながら、大成の染織家へ向けて、その揺籃期を過ごしていったことになる。

そうした揺籃期の原風景に立つ志村は、「はじめに」において言及した、新作能「沖宮」の原作者である石牟礼から依頼があった「みはなだ色（天青の色）」と「緋の色（紅花の色）」を、その後、どのような思いを込めて染めていったのであろうか。一〇月六日、水前寺成趣園能楽殿において「沖宮」はその初演を迎えた。この物語のハイライトは、島原・天草の乱で命を落とした総大将の天草四郎と、雨乞いの人柱となって沖へ流される幼子のあや、このふたつの魂による、いのちたちの母である 大妣君 （ おおははぎみ ） が住む海底の沖宮へと向かう道行である。志村の著書に『母なる色』と題された書物がある。そのなかの一節の「処女マリヤの衣――受胎告示」に、「ここ数年、ヨーロッパの美術館を訪れるたびにマリヤの衣裳が印象にのこった。……必ずといっていいほど処女マリヤの衣は青と真紅だった」３０という言葉を見出すことができる。そのこともあわせて類推すると、染織家・志村ふくみにとっての「沖宮」の衣裳は、遠くには「処女マリヤの衣」に表現された「青と真紅」に、そして近くの現実世界にあっては、上で述べた三組の両親の「母なる色」に、そしてさらにいえば、石牟礼が死去した、ちょうどそのときに名都美術館で開催されていた「志村ふくみ」展の副題にある「いのちの色」に、あたかも導かれるかのようにして、その製作と監修が進められていったと考えることはできないであろうか。そうしたことも視野に入れながら、石牟礼道子の「沖宮」については、今後、稿を改めて考察してみたいと思っている。

最後に、本稿をまとめるにあたって私は、鬼頭美奈子「志村ふくみを育てた眼――富本一枝・白洲正子・佐久間幸子――」『志村ふくみ』（展覧会図録、名都美術館、二〇一八年、九―一六頁）に多くの恩恵を受けており、ここに記して感謝の意を述べる。

注

【初出：「石牟礼道子の『沖宮』の能衣裳を監修した志村ふくみの原風景」『KUMAMOTO』No. 25号、くまもと文化振興会、2018年12月、166-177頁。】