[001] そんな顔をして どうしたの いつものあなたとは 違っているわ そんな顔をして どうしたの 野辺の花のように 笑ってほしい
[002] 誰かが言っていた 酒は飲むものではなく 酔うためのものだと そう 水を飲めば からだが生き返り 酒に酔えば こころが蘇える
[003] 小雨が降る降る 湯船をたたく 阿蘇の五岳に わが身をゆだね 流れた月日を 愛しむように いつか夢見た 御神火の里 小雪が舞う舞う 湯船に消える 阿蘇の噴火を 遠くに眺め 帰らぬ月日を 求めるように やって来ました 火の山の里
[004] 涙こらえて 西の彼方を見上げれば 消える 消える あなたが消える 手を伸ばしても 届かぬ想い こころ尽くして いのち燃やして ああ 離れたくない 飛翔千里 恋心 潤む瞳で 飛び立つ空を見送れば 見えぬ 見えぬ あなたが見えぬ 手を握りしめ 震える体 こころ与えて いのち削って ああ 放したくない 飛翔千里 恋心
[005] 思いきれるもきれないも 晴れぬ想いを噛みしめながら 曇る窓辺に問いかける 秘めて訪ねたひとり宿 小雨ちらつく火の山よ 私の心を 焼いて 焼いて 焼いてほしい 女意気地のやるせなさ 別れきれるもきれないも 迷う気持ちを捨て去りながら 飲めぬお酒に涙する 紅く燃え立つひとり宿 小雪舞い散る火の山よ 私の体を 抱いて 抱いて 抱いてほしい 女未練のいとおしさ
[006] からすが鳴いて いつしか雪が舞い落ちる 景色が消えて 気づくと風が迫りくる 過去は悔悟と夢のなか 今は不安と夢のなか
[007] 晩秋の朝の陽ざしに手をかざし 空が高くて空気が甘いと その少女は自分の故郷と重ね合わせる ホームにたたずみ彼を待つその少女は 泣けない女のやさしい気持ちを 誰はばかることなく大きな声で歌う その少女は午後の紅茶をほほにあて 会いたいは温めることと 独りうなずきさりげなく笑う
[008] 世捨て人の子守歌 一. 泣かずに 坊や 寝んねしな あんたにゃ かあちゃん いないから あたいが 代わりに 歌うたる はーい はーい はーーい すべてを忘れ 好きなだけ あたいの乳を 飲むがいい 二. 笑って 坊や 寝んねしな あんたにゃ とうちゃん いないから あたいが 代わりに 聞いてやる はーい はーい はーーい すべてを捨てて 思い切り あんたの悲しみ いうがいい 三. 夢見て 坊や 寝んねしな あんたにゃ にいちゃん いないから あたいが 代わりに 遊んだる はーい はーい はーーい すべてを止めて いますぐに 木戸の外に 出るがいい
[009] 悲しみ抱きしめて 一. この世の悲しみ 抱きしめて 多くを語らず 黙々と 濡れた心が 震え出す 二. この世の辛さを 握りしめ 涙を流さず 散々と 耐える思いが 地に落ちる 三. この世の暗さに 閉ざされて 行く手を失い ひしひしと 流れる星に 手を伸ばす
[010] かきつばた はじめて会うは 誰々か 人に交じりて 吾訪れん