[001] 追わず 求めず 止まらず
[002] 個人 個性 個戦 孤独 孤高 孤軍 ひたすら 個孤として生きる
[003] 死を愛さず さりとて死を拒まず 生のままに立つ
[004] 地を見ず 天を仰がず 前を見ず 後ろを向かず ただ 我が身をじっと見つめる
[005] 心にさざなみが立ち 想いが渦を巻く 夜光虫の輝きに抗うように 白く 泡音をたてながら
[006] 時に 忘れかけた人を思い出す 時に すれ違った人を振り返る 時に 明日会う人に語りかける 時の無邪気さ 憎むべきか 感謝すべきか
[007] 行きたければ 行くがいい 帰りたければ 帰るがいい 誰も引き止めず 誰も悲しまず 虫だけが 木陰で 鳴いている
[008] 名を誇らず 力を驕らず 朝の空に おはよう 夕べの空に またあした 時を憂えず 人を恨まず 南の人に 暑くはないか 北の人に 寒くはないか
[009] 白い日傘にさえぎられ 日差しは中へ入れない 夜のとばりに囲まれて 中の様子はわからない 固い鎧に拒まれて 所在無く 名を呼んでみる
[010] いつものように 日が昇り いつもになく 涙する いつものように 鳥が鳴き いつもになく こころ乱れる いつものように 花が咲き いつもになく 血が落ちる
[011] 天を仰ぎみて そう 目を伏せず そして語らず 地に立って そう 逃げ出さず そして媚びず 人に交わって そう 埋もれず そして目立たず
[012] 花の姿は 花には見えず 花の香りは 花に届かず 人の心は 人には見えず 人の想いは 人に届かず
[013] 天空に抱かれて 海を渡る 自分がいる 草原に寝そべって 夢をかける 自分がいる 人びとに交わって 愛を語る 自分がいる
[014] 草をひく 小枝を落とす 集めて乾かす 煙が立ちのぼり 西へ流れて 夕日と交わる
[015] 独り善がりの一人芝居 自己満足と自己嫌悪 騒いでしまった愚かな自分だけが残った
[016] 背中に彫ったものは 人に見えて自分には見えず 胸に刻んだものは 自分に見えて人には見えず
[017] 人を 問いつめてはいけません 人を 追いつめてはいけません 人を 見つめてください 優しく 包み込むように
[018] あわてず あせらず あきらめず 思いを込めて 遠くを見つめて 一歩を踏みしめる
[019] 昇りゆく朝日に照らされて 露天風呂 森羅万象 すべての命が蘇える ああ この世のよろこびよ 暮れなずむ夕日に抱かれて 露天風呂 時空千里 すべての営為が沈みゆく ああ この世のせつなさよ
[020] 白煙に思う 人の業 湯煙に思う 人の情 彼岸花 まっすぐ赤く 畔に咲き どんぐり 音をたてて 屋根に散る 問わず語らず 夢化粧 触れず触らず 夢衣装
[021] 大阿蘇をわがものとして生きる 風が吹き 雨が降り 虹が出る 今日も 変わることなし わが大阿蘇よ 明日も 代わるものなし わが大阿蘇よ
[022] 愛したくとも 愛する人を失った人がいる いかに支えればいいのだろう 同じ想いを重ねてみる 生きたくとも 生きる場を失った人がいる ああ どのような言葉も消えてゆく そっと隣に座る
[023] 話したくても 話せないとき 泣きたくても 泣けないとき 死にたくても 死ねないとき 心に闇が生まれ 抗いが起こる いつしか 光に照らされながら 諦観と自脱 すべてが無に帰る
[024] 柱時計が時を刻む 時刻には鐘が鳴る 一緒に数を数える 一で始まり一二まで数える 一で始まり一で終わるとき 無限の空白が続く
[025] 心平の わんわんわんが 迫りくる いまなお続く 阿蘇の大地に
[026] 漱石を 尋ね求めて 内牧 二百十日の 恵比寿はありや
[027] 家がたち くれない染まる森のなか あすのいのちを ひそかに願う
[028] 山の上 紅いもみじに照らされて 契りを交わし いま並び立つ
[029] 震災に 娘の春を そっと見る
[030] かの山は 春夏秋冬 色変わり 住む人同じ 移り気ありや
[031] 春眠や とろりとろりと 夢ん中
[032] 春眠や 生まれはじめへ 里帰り
[033] 春の日に 忘れかけてた 眠りかな
[034] 何もなく 素足で駆け出す 子どもかな
[035] 母を見て 飛び出す子どもは 素足なり
[036] 素足見る 痛みと土の 香りかな
[037] やってはいけないことは 決してしない どんなに誘惑があろうとも やるべきことは 断固やる どんなに困難があろうとも 流れゆく、心清くに 身を正す さまよえる、心熱くに、身を立てる
[038] 自分を思うように 他の人を思いなさい 他の人を大事にするように 自分を大事にしなさい
[039] 苦に向かい わが身は常に 夢に在り 泣きぬれて わが身は常に 夢に在り 生きて死ぬ わが身は常に 夢に在り
[040] 夏休み 解かずに眺むる 参考書
[041] 八月に 会えて悲しや 虫が鳴く