※全文をPDFファイルでダウンロードしてご覧いただけます。 [PDFファイルについて] 『著作集13』PDFダウンロード (12.9MB) 更新日:2024年4月5日
ここに公開する著作集13『南阿蘇白雲夢想』は、次の四つのパートによって構成されています。 第一部 詩歌の夢の響き(詩歌集) 第二部 南阿蘇の庵にて(日誌集) 第三部 燎原に幻影あり(小説集) 第四部 日々好々万物流転(随筆集)
二〇一三(平成二五)年の三月末日をもって私は、神戸大学を定年退職し、それ以降、南阿蘇(南郷谷)の小庵に蟄居し、執筆活動に専念することを決意しました。神戸大学在職中は、学術論文の執筆や講演活動などが研究上の主要な柱となっていましたが、定年後は、それに加えて、詩歌や小説、随筆などの創作表現に加えて、わが熊本の郷土人の紹介にも積極的に関心を拡げ、取り組んでまいりました。
著作集13『南阿蘇白雲夢想』は、大阿蘇のなかでの生活を、創作という形式をとおして讃美するものです。第一部は、表題の「詩歌の夢の響き(詩歌集)」からもおわかりのように、創作した詩歌を、「自然を讃えて」「人生を見つめて」「亡き歌姫たちへ捧ぐ」の三つの主題に分けて掲載しています。次の第二部「南阿蘇の庵にて(日誌集)」は、普段の心象風景を短く描写した日記文で、一年ごとの編集となっています。続く第三部「燎原に幻影あり(小説集)」は、この間の生活で見聞きした素材をテーマ化し、虚構空間に再構築されたフィクションを集めたものです。そして、最後の第四部「日々好々万物流転(随筆集)」は、日々の暮らしのなかで遭遇した出来事についての思い思いの散文となっています。
いずれのパートも、都会から離れ、自然と直接向き合いながら生活を営むなかで生まれた私自身の生の記録です。自然は美しくもあり、過酷でもあります。あるいはまた、思い出を紡ぎ、いまとあすとを見つめるのにふさわしい場でもあります。巡りゆく季節のなかにあっての一片一個の感動を書き残しておきたいと考えています。しかし、紙幅の都合もあり、一応ここで著作集13『南阿蘇白雲夢想』は完結とし、その続きは、次の機会に(たとえば、著作集23『残思余考――隠者の風花余情』に)譲りたいと思います。
二〇二三年一二月二一日 暮れゆく阿蘇南郷谷の小さきわが庵にて 中山修一