都市近郊の樹木を資源と認識する

黒田慶子   神戸大学大学院農学研究科 森林資源学研究室

銘木でない広葉樹材に価値は無いのか

 

KOBE STYLE のショールーム

エノキの突き板が高級キッチンユニットに

搬出できる業者が居ない

遠距離から→費用がかさむ

都市近郊の樹木や街路樹が、植栽から半世紀を経て大木となっています。環境が保全されて「素晴らしい」ととらえられますが、その反面、危険であることをご存じでしょうか。直径50cmの広葉樹の重量は数トンにもなります。倒木や枝折れによる事故のリスクがあるため、都市の樹木はある程度の大きさで伐採せざるを得ません。

兵庫区材木町の三栄製材

以前は外材の製材、絶滅危惧の業種

大学内で桟積みをして乾燥

乾燥場所の確保が困難

直径60cm程度の丸太

一本の重量は200kgほど

伐採木は8m3あった

銘木でなくても好まれる個性

思いがけなく使ってもらえた・・・

価値観の違い

  1. 西洋的センスでは個性的な木目はOK

  2. 和の感覚では低質材とされる

    1.    肌理が荒い、変色、色が悪い

  3. エノキはダメな材ではないはず

  4. 工芸的利用以外の木材も必要

輸入材への依存

  1. フローリングやテーブル天板は「輸入材」である必用はないのに、国産広葉樹が使われない

  2. オークやウォールナットは日本にもある

課題:伝統的木材産業で扱っていない材をどう流通させるのか

アキニレとエノキの材で、農学部共用スペースのテーブルを作りました。 2018年4月

エノキの材が研究室のテーブルになりました。2018年4月

新しいノートブランド TETO(大阪市中央区)

では天井板 に、 SHARE WOODS のfacebookより

神戸大学農学部では、実験用圃場が日陰になるため、エノキの大木が伐採されました。農学部がこの地に引っ越した頃に芽生えた木のようで、 約50年生です。伐採丸太は、産業廃棄物として処分費用が発生し、勿体ないことが起こっています。そこで、伐採された丸太を材として利用してみました。すると、いろいろな用途が出てきたほか、今後の課題が見えてきました。

目次

研究内容の紹介

入門編