大 木の倒木リスクと事故の防止について

黒田慶子   神戸大学大学 院農学研究科 森林資源学研究室


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研究としての取り組み
 樹木折損による文化財建築破壊をどう食い止めるか

1.樹木の折損により建築物を破壊、人身 事故の発生
2.文化財的な老齢巨木の枯死や折損
  実例:大湫町神明神社の大杉倒壊に関する研究と成果→ ここをクリック
 

人的な要因

・社会の認識不足や知識不足

・造園業者の技術不足 

・誤った情報(素人判断)

・巨木・大木の崇拝

原因は,大きく分けると3つ

  ①腐朽による折れ(幹と枝折れ,根返り)

  ②健全木の大木化→突風や台風で折損,根返り

  ③マツ材線虫病、ナラ枯れなどの伝染病による枯死

室生寺の五重塔(創建 770ー781年)を壊したスギ

倒木の原因を強風あるいは不明としている場合が多い

多くの人に見えていない事柄

  1. ❖樹木は日々成長 する
  2. ❖枝は折れて落下 する→屋根の上の枝
  3. ❖根は何mも横に のびる
      →建築物の基礎を傷める

国道(富山県)へのブナの倒木で車が大破  

鶴岡八幡宮の大銀杏が倒伏

建物の近くの樹木は

  1. ❖大木になる樹種は植えない
  2. ❖大木になる前に伐る
  3. ❖伝統的庭園の樹木は、
  4. ❖樹木のサイズを設計時の状態に保つ
  →剪定で調整可能。放置は不可
  1. ❖「自然」という 意味の誤解

↑奈良県報告書

腐朽に関する情報がない

倒木した場合、本殿との接触危険木について、接触重量 が0.5t以上の個体を下図に示した。

Aの個体は個体重量が17tと最も大きいが、接触重 量が最も大きいのは個体重量がAの約半分であるBである。これは、建造物からの距離が、Aは17mであるのに対 しBは10mと、BはAより建造物に近い位置にあるためである。

このように、建造物との距離も危険性把握の重要な要因 となる。また、最も接触重量が大きいBの個体が倒木した場合、樹木の枝の広がりも考慮すると、本殿北側の約半分 が被害を受けることが予想される。









・最初から詳細に調査するのは困難

 →関係者やボランティアでできることから進める

樹木医への詳細な調査の依頼

建造物管理者の判断

倒木・落枝の危険性

(腐朽の有無等)