中山修一著作集

著作集23 残思余考――わがデザイン史論(下)

はじめに / 目次
第一部 ウィリアム・モリス論
第二部 富本憲吉・富本一枝論
第三部 高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論
序に代えて
第一話 「三つの巴」画像集
第四部 デザインのモダニズム論
著者について
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第三部 高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論

序に代えて

この、著作集23『残思余考――わがデザイン史論(下)』の第三部「高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論」は、「目次」にもありますように、以下の一話から構成されています。
 
 第一話 「三つの巴」画像集
 

この第三部「高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論」は、著作集22『残思余考――わがデザイン史論(上)』の第三部「高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論」を引き継ぐものとして用意されています。

現在のところ私は、第一部「ウィリアム・モリス論」におきまして、世紀と地域を越えるも同じデザイナーであるウィリアム・モリスと富本憲吉に関しての比較研究を行ない、第二部「富本憲吉・富本一枝論」におきまして、富本憲吉と富本一枝という夫婦のなかに発生する事象を巡る男女間の反応の差などに着目して比較考量し、加えて第四部「デザインのモダニズム論」におきまして、日英双方のデザインのモダニズムにかかわる同位と差異につきまして、比較検討することを予定しています。そこで、この第三部「高群逸枝・橋本憲三・石牟礼道子論」につきましては、モリス、憲吉、一枝から、あるいはデザインや英国から、幾分離れた所に居場所をもつ火の国肥後人に焦点をあて、その相対化のなかにあって見え隠れする同質性や異質性に関連して、浮き彫り的な立体感をわずかなりとも可視化できないかと、いま私は思いを巡らせているのです。

最後に、読み手のみなさまに申し添えます。一話一話はそれぞれに独立完結したものであり、連続したものではありません。そこで、まず目次をご覧になり、興味を引く題目を選び取り、気の向くままに、一話、そしてまた別の一話を読み進められることをお勧めいたします。その結果、全体として、ウィリアム・モリスと、火の国の女である高群逸枝および石牟礼道子とのあいだに存する空気感が、どのようなものであったのかを、わずかなりとも感じ取っていただけるにちがいありません。そうなれば、書き手としての私の大きな喜びにつながり、先立って、ここにお礼を申し上げたいと思います。

(二〇二五年陽春)