現在開講中、過去に開講した授業科目、客員教授科目などについて、説明しています。以下の一覧から、ご覧になりたい科目をクリックして下さい。

2013年度 2012年度 2011年度 2010年度
2009年度 2008年度 2007年度 2006年度 2005年度
2010年度開講科目
2010年度 国際機構法(法学部)/国際機構法特別特殊講義(大学院)
2010年度(前期) 国際環境法
4月12日 授業概要・計画等の説明

第1回 国際環境法の「現場」
必読文献:特になし

4月19日 第2回 国際環境法「俯瞰」

必読文献:以下の教科書のいずれか1つにつき「国際環境法」の章

予  習:教科書を読んで、国際環境法を理解する上で重要であると考えるポイントを整理し、なぜそれが重要かにつき発言できるように準備しておく。

対象教科書:中谷他『国際法(有斐閣アルマ)』(2006、中谷担当)、松井他『国際法[第5版](有斐閣Sシリーズ)』(2007、薬師寺担当)、柳原他『プラクティス国際法講義』(2010、児矢野担当)。

4月26日 第3回 国際環境法の一般国際法上の位置づけ

必読文献:Daniel Bodansky, Jutta Brunnée and Ellen Hey, “International Environmental Law: Mapping the Field,” in Daniel Bodansky, Jutta Brunnée and Ellen Hey eds., The Oxford Handbook of International Environmental Law (Oxford University Press, 2007), pp. 1-25.

予  習:この論文を読んで、国際環境法と一般国際法との関係について理解したことを発言できるように準備しておく。

山本草二「国際環境協力の法的枠組の特質」『ジュリスト』1015号(1993年1月)145-150頁。兼原敦子「地球環境保護における損害予防の法理」『国際法外交雑誌』第93巻3/4号(1994年)160-203頁。村瀬信也「国際環境レジームの法的側面」同『国際立法』(東信堂、2002年)343-364頁(初出1999年)。Patricia W. Birnie, Alan E. Boyle, International Law and the Environment (2nd ed., Oxford University Press, 2002), pp.1-12.

5月10日 第4回 環境保護に関する国際法概観1:領域管理責任

必読文献:(1)トレイル熔鉱所事件仲裁判決(判例国際法)。以下の予習課題に応えるのに必要な範囲で原文Trail Smelter Case, International Environmental Law Reports Volume 1 (1999), pp.231-331.を読む。(2)ストックホルム人間環境宣言21原則

予  習:トレイル熔鉱所事件の事実概要に月整理しておき(特に、1931年の合同委員会報告書の意義、1935年の付託合意書の内容)、2つの判決については、(1)因果関係の認定、(2)認定された損害の範囲、(3) 適用法の淵源と性質、(4)いわゆる領域使用の管理責任を宣明した一文の理解、につき確認すること。「トレイル原則」とストックホルム宣言第21原則との異動につき検討しておくこと。

5月17日 第5回 環境保護に関する国際法概観2:事前協議・通報義務

必読文献:臼杵知史「事前の通報及び協議の義務」『国際環境法』(水上他編、有信堂、2001年)178-195頁。国連国際法委員会(ILC)”Prevention of Transboudary Harm from Hazardous Activities (2001)”

予  習:上記を読んで、事前通報・協議義務の内容とその法的地位につき整理した上で、2001年条文が具体的にどのように機能しうるかにつき検討し、その検討結果につき発言できるようにしておく。

5月24日 第6回 国際環境法の形成:法源

予  習:慣習国際法に関する議論を、教科書等を基に、確認しておくこと。授業では、下記参考文献を基に現代慣習国際法法形成過程の諸問題を環境分野の国際法に当てはめて議論するので、下記参考文献も読んでおくと授業の理解が促進される。

参考文献:P.-M. Dupuy, “Formation of Customary International Law and General Principles,” in Oxford Handbook (2007), pp.449-466.

5月31日 第7回 国際環境法の形成:動態

必読文献:村瀬信也「地球環境保護に関する国際立法過程の諸問題」『国際立法』(東信堂、2002年)379-392頁(初出1990年)。

必読文献:柴田明穂「締約国会議における国際法定立活動」『世界法年報』第25号(2006)43-67頁。

予  習:上記2論文がいかなる視点から国際環境法の「動態」を捉えようとしているか、特に、村瀬論文における国際環境法形成における「国家主権」の位置づけ、柴田論文における国際環境法形成における条約法の役割という視点から整理しておく。

6月7日 第8回 国際環境法の実体的規範構造:国家の権利義務

予  習:以下の3つの環境条約を分析し、条約に規定された締約国の権利義務の構造をA4一枚に図式化し、15枚コピーして当日持参する。分担は以下のとおり。

  • (1) 1971年湿地保全に関するラムサール条約
  • (2) 1989年有害廃棄物の越境移動の規制に関するバーゼル条約
  • (3) 1992年気候変動枠組条約

3条約の英語原文は、授業時に全員に配布する。訳は条約集等を参照。

6月14日 第9回 国際環境法の実体的規範構造:予防原則

必読文献:高村ゆかり「国際環境法における予防原則の動態と機能」国際法外交雑誌第104巻3号(2005年)1-28頁。

参考文献:兼原敦子「環境保護における国家の権利と責任」『日本と国際法の100年第6巻 開発と環境』(2001年)28-55頁。

予  習:高村論文を読み、予防原則がいかなる意味で「法原則」であると言えるのか考えておく。その際、兼原論文を参考にすると、本問題に対するアプローチの違いが際立ち、論点・課題も明確になる。

国際環境ライアビリティ制度の現代的展開(全5回)
6月21日 第10回 国家責任とライアビリティ

必読文献:M. Fitzmaurice, “International Responsibility and Liability,” in Oxford Handbook (2007), pp.1010-1035.

参考文献:高村ゆかり「環境損害責任に関する国際的潮流」『環境管理』43巻11号(2007年)29-36頁。加藤信行「環境損害に関する国家責任」『国際環境法』(水上他、有信堂、2001年)148-164頁。薬師寺公夫「越境損害と国家の国際適法行為責任」『国際法外交雑誌』93巻3-4号(1994年)75-129頁。

予  習:上記必読文献を読み、環境保護の分野における国際責任とライアビリティの概念につき整理して報告できるように準備する。 当日は、参加者より必読文献の節毎に概要を説明してもらう。上記3つの参考文献は、全5回通しての参考文献である(高村論文は全員の配布)。

6月28日 第11回 環境損害に対する民事責任

必読文献:道垣内正人「環境損害に対する民事責任」『国際環境法』(水上他、有信堂、2001年)165-177頁。

参考文献:出口耕自「国際的環境損害の民事責任」『国際法外交雑誌』104巻3号(2005年)44-59頁。

予  習:上記必読文献を読み、環境損害に対する民事責任の概念につき整理して報告できるように準備する。

7月5日 第12回 カルタヘナ議定書「責任と救済」条約交渉の現状

必読資料:LMOの越境移動より生じる損害「責任と救済」補足議定書案

予  習:当日は、第3回共同議長フレンズ会合にて条約交渉の現場に立ち会った3人の院生から、条約案の概要と交渉の現状につき報告がある。

7月12日 第13回 環境損害に対する損失配分の原理(allocation of loss)

必読資料:ILCが起草し国連総会で採択された「損失配分」原則文書

参考資料:臼杵知史「危険活動から生じる越境損害に関する損失配分の原則案」『同志社法学』60巻6号(2009年)1-40頁。

予  習:当日は、本文書を研究しているTA奥村 舞が同原則文書につき報告をし、TA主導にて議論を行う。

7月26日 第14回(最終回) 環境損害に対する行政的アプローチ

必読文献:藤井麻衣「EU環境ライアビリティ指令における『行政的アプローチ』−その国際法への示唆」『国際協力論集』17巻2号(2009年)137-162頁。

参考資料:大塚・高村・赤渕「環境損害の未然防止及び修復についての環境責任に関するEU指令」『環境研究』139号(2005年)141-152頁。

参考文献:大塚直「環境損害に対する責任」『ジュリスト』1372号(2009)42-53頁。

予  習:当日は、この問題を研究しているD2藤井麻衣が2004年EU指令につき報告をし、藤井主導にて議論を行う。