(編者。梶川敦子と共著)
『就業規則からみた労働法』に続き、今度は実務上重要な通達と様式をとおして労働法を解説しようとする試み。労働時間の部分は、この分野の専門家の梶川敦子さんに執筆に加わってもらった。
労働法に関係する25のテーマをピックアップして、私独自の視点で持論を展開したもの。「会社は、美人だけを採用してはダメなのだろうか?」など、雇用社会で常識とされていることを疑うことの重要性を基本テーマとして書いている。教科書でもなく、学術論文でもない、こうしたタイプの本を刊行してくれた弘文堂には感謝。私にとっては、新境地を開くことになった記念碑的作品。労働法に関心のある人なら、私見に賛成かどうかはさておき、知的刺激は受けるはず。
日本労働研究雑誌に、本書に対する経済学者の川口大司氏の書評が掲載されている
(菅野和夫、土田道夫、山川隆一教授と共編)
2005年の初版、2006年の第2版に続く、第3版。
(浅尾裕他と共著)
労働政策研究・研修機構のプロジェクトに特別研究員として参加し、寄稿したもの。
神戸法学双書からの刊行。これまで労働組合に関係して執筆してきた論文をベースに一冊の本にまとめたもの。1999年の『労働条件変更法理の再構成』以来の本格的な理論書。本書の基本にある「労働者代表の正統性とは何か」という問題提起は、現実の労働組合運動を批判的に再構成しようとする試みで、これまでの日本の労働法学にはほとんどなかったものであり、そこに本書の独自性がある。 日本労働研究雑誌に、本書に対する浜村彰教授の書評が掲載されている
(菅野和夫、土田道夫、山川隆一教授と共編)
2005年に刊行された初版の第2版。
2002年に刊行された初版の改訂版。初版よりも、自分の見解をいっそう盛り込んだ。
(中山慈夫、藤原稔弘、小西康之、櫻庭涼子、原昌登と共著)
さまざまな企業の就業規則を収集して分析検討を行い、そこから望ましい就業規則モデルを作り、その条文解説まで試みたもの。私が座長をやった研究会の成果報告の意味もある。就業規則研究の重要性は、山口浩一郎先生から教わったことで、その教えを受けて、第一線の弁護士の中山先生にもご参加いただいた。
(菅野和夫、土田道夫、山川隆一教授と共編)
法科大学院が始まることから、菅野和夫先生をキャップに、ケースブックを編集。自分の先生と並んで編者として名前が出るというのは大変光栄なことであった。
(島田陽一、小嶌典明、古川陽二、野川忍、濱口桂一郎、丸谷浩介、中益陽子と共著)
欧州各国の労働事情をまとめたもので、1999年の『(改訂版)ヨーロッパ主要国の社会労働事情』の後継書。私は、中益さんとイタリアを担当。
(責任編集。小島浩、男澤才樹、竹地潔、國武英生氏と共著)
2004年の公益通報者保護法の制定を契機に、内部告発に対する法的規制のあり方を、実務家も交えて多角的に検討したもの。私がこのテーマでの研究会を行ったのは、内部告発者保護は、それ自体に意味があるのではなく、企業内での内部通報制度の構築へのインセンティブを与え、企業にとってもプラスになるという点に着目し、こうしたウィン・ウィンの視点が、従属労働者の保護に傾斜していた伝統的な労働法と違うことに興味をもったからである。
(大竹文雄、山川隆一と共編著)
2002年に刊行されたものの増補版。この間の労働基準法改正(2003年)で、解雇権濫用法理が成文化(18条の2)されたことを受け、巻末に編者3人による座談会が追加されている。
(編著。山川和義と共著)
労働紛争のなかで、労働条件変更紛争に焦点をあてて、一つひとつの判例ごとに、事案と判旨を紹介し、裁判所がどのような事案において、どのような事情に着目して判断を行っているかを徹底的に分析したもの。
労働実務において最も重要なのは就業規則であり、実際、労働紛争のほとんどが、就業規則の規定の適用をめぐる紛争であることから、就業規則を主役にして労働法をとらえたらどうなるかという発想が浮かび、本書の執筆を思い立った。本書の特徴は、就業規則の規定が、判例において、どのように解釈されて紛争が処理されてきたかの分析がなされているところにあり、これまでにはなかった新たなタイプの実務家向け概説書である。
(浜田冨士郎と香川孝三と共編著)
浜田冨士郎先生と香川孝三先生の還暦をお祝いして、門下生らが集まって、グローバリゼーションをキーワードに比較法的観点から寄稿した論文集。アメリカ、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア、EU、韓国、タイの各国における、グローバリゼーションの労働法に及ぼすインパクトが紹介されている。
イタリア労働法の全体像を、日本人向けに解説したもの。『イタリアの労働事情』の後継書であるが、同書が概説書であったのに対して、本書は比較法的視点を加味した理論書としての意味もある。巻末の用語対照表(イタリア語だけでなく、英語、ドイツ語、フランス語の労働法用語を対比している)は、外国人にも好評。
(大竹文雄、山川隆一と共編著)
日本労働研究雑誌491号の特集をベースに、解雇法制をめぐる論点を、法学の研究者と経済学の研究者が双方の立場から論じたもの。法学と経済学の思考の違いを浮き上がらせたという点で、今日の労働における法と経済の研究に関する先駆的業績の一つ。私も「解雇法制の”pro veritate”」という論文を執筆している。
1998年1月から、ビジネスガイドで連載していた「基本から学ぶ 応用力がつく労働法教室」の単行本化。労働法の教科書としては珍しく口語体で、判例の紹介を中心に労働法の全体を、主として初学者向けに解説したもの。
(田口晶子、熊田孝子、丸谷浩介、鈴木照夫と共著)
欧州主要国の労働事情を紹介したもの。私はイタリアを担当。
第22回労働関係図書優秀賞。
就業規則や労働協約により形成される集団的労働条件には、その内容形成の段階、個々の労働契約に編入される段階、そして使用者に権限を付与するタイプの労働条件については、それを具体的に行使する段階という3段階の構造があり、それぞれについての法的正当性は、第1段階では民主的正当性、第2段階では私的自治的正当性、第3段階では衡平性があてはまるという理論を提示したうえで、具体的な解釈論として、就業規則の不利益変更については、当時の判例法理(合理的変更法理)は私的自治に抵触するので、この法理に代わり私的自治に忠実な集団的変更解約告知という手法によるべきと主張し、労働協約については、組合員の加入意思により組合員の労働協約への拘束力が正当化されるとし(私的自治)、裁判所による内容審査は原則として不要であるという主張(同時に、ユニオン・ショップがある場合には私的自治的正当性に欠けるので、内容審査を必要とするが、もともとユニオン・ショップを有効と認める見解に問題があるとの主張)を展開した。
集団的労働条件を統一的な正当性原理でとらえて具体的な解釈論を展開した文献は、私の知る限り、国内外に関係なく、存在していない。
(山口浩一郎、諏訪康雄と共著)
イタリア労働法の全体像を解説したもの。これまで、ティツィアーノ・トレウ=山口浩一郎編『イタリアの労使関係と法』(日本労働協会)が、イタリア労働法の紹介に関する代表的な文献であったが、本書は、労働市場、個別法、団体法、社会保障という広範な分野を、日本人執筆者だけでカバーして紹介したという点で、画期的な意義がある。