光オン・デマンド有機合成法の開発と社会利用

 私達の研究グループは、アカデミアの視点から、挑戦的な基礎科学研究を重視した研究に取り組み、そしてそれらの研究から得られる新たな科学や技術が、我々の社会をより豊かにすることを願って研究活動に取り組んでいます。汎用の有機溶媒として用いられているクロロホルムやパークロロエチレンなどのハロカーボンを原料とする、当グループオリジナルの「光オン・デマンド有機合成法」を用いて、ポリカーボネートやポリウレタンなどのポリマー、イソシアネート、ウレア、アルデヒド、エステル、クロロギ酸エステル、アミノ酸NCA、ビルスマイヤ−試薬 などの医薬品中間体などの有用既知化合物、ならびに、全く新しい機能を持つ機能性化合物やポリマーなどの合成研究を行っています。当グループオリジナルの化学と、それらを基礎とする工学的な視点から生み出された数多くの技術を駆使して、有機化学分野に新なイノベーションを創出することを一つの重要な目標としています。国や自治体、多数の国内企業や銀行、科学技術振興機構(JST)NEDOなどと連携し、また国内・国外の医薬学系大学とも協力し、オールジャパン体制で、「産学官金コンソーシアム」による活発な研究・教育活動を行っています。

 津田グループが目指す研究とその背景
 
 
 
津田研究室オリジナルの化学と技術
・ハロカーボンの光酸化生成物(図1)を用いる光オン・デマンド有機合成法
図1. ハロカーボンの光酸化反応
 
・有用だけれども取り扱いの難しい化学薬品を原料とする有機合成を光とハロカーボンで 安全・安価・簡単・低環境負荷で実施できます(図2)。
図2. メタンから製造されるクロロホルムを原料とする光オン・デマンド合成の概要
 
・ユーザーの求める仕様にあわせてシステムをカスタマイズして、実験室スケールから工業スケールまで利用できます(図2,3:当グループで独自に開発した光反応システムの二つの例)。オン・サイト、オン・デマンドで使用可能です。
図3. バッチ式反応システム(実験室利用に適しています)
 
図4. フロー式反応システム(工業利用に適しています)
 
*関連する研究プロジェクト。
(1)「研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業/ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)/躍進コースA」(代表) 光オン・デマンド合成法による化学品合成と連続生産システム開発
 
(4) 2023年4月-現在 神戸大学GAPファンドプログラム“うりぼーFund” :JST 研究成果展開事業 START 大学・エコシステム推進型 大学推進型
課題名:光オン・デマンド有機合成システムを用いる医薬品原薬・中間体生産とライセンス事業の展開
(3) 2023年4月-現在 神戸大学イノベーションファンド:JST 研究成果展開事業 START 大学・エコシステム推進型 大学推進型
課題名:光オンデマンド合成法によるポリマーや医薬品原料の安全で安価なエコ生産システムの事業化
課題名:含フッ素カーボネートを鍵中間体とする安全な製造プロセスによる高機能・高付加価値ポリウレタン材料の開発
企業名:AGC株式会社, 研究者名:津田明彦
(1) 2018年10月-2019年9月 フィージビリティスタディ[FS]
課題名:含フッ素カーボネートを鍵中間体とする安全な製造プロセスによる高機能・高付加価値ポリウレタン・ポリカーボネート材料の開発
企業名:AGC株式会社, 研究者名:津田明彦
 

研究課題

(1) ハロカーボンを原料とする光オン・デマンド有機合成  LinkIcon 詳しくはこちら  [特許]
(2) 音に応答するナノスケール物質の創成 LinkIcon 詳しくはこちら
(3) 踊るナノファイバー LinkIcon 詳しくはこちら
(4) 物理刺激に応答して構造や性質を変化させる機能性分子の開発 LinkIcon 詳しくはこちら
(5) 超分子錯体を用いる自己活性化反応の開発
(6) 2008年以前の研究 [ LinkIcon 東大(相田研にて), LinkIcon 京大(大須賀研にて), LinkIcon 阪大(大島研にて)]

  

津田研究室で学びたい・研究したい学生や研究者の方々へ:

 津田研究室は神戸大学理学研究科にあります。また、中国の内蒙古医科大学薬学院には、当グループとの国際共同研究チームの研究室があります。当研究グループは、国内・国外の企業、大学、研究所などと連携して、活発な研究を行っています。そのような理由から、アカデミックの知識だけでなく、社会で役に立つ知識、技術、そして経験を身につけることができます。基礎学術研究に加えて、産学連携および国際連携を積極的に推し進める当グループの研究・教育環境は、学生や研究者の皆さんに世界レベルでの活躍の場を提供でき、また幅広い研究者のネットワークを身につけてもらうことが可能です。また、学生や研究者の皆さんの研究や生活そして進路などを、研究室レベルでサポートするシステムも充実しています。
 神大は六甲山の麓に広大なキャンパスを持つとても自然豊かな美しい大学です。特にキャンパスから一望できる神戸ー大阪の夜景は、毎日見ていても飽き足りることがありません。摩耶山、六甲山、そして有馬温泉で自然を満喫し、その一方で、神戸・三宮の港街で異国情緒あふれるエキゾチックな雰囲気を感じることができます。ご興味をお持ちいただけましたら、気軽に当研究室をご訪問ください。