金属ポルフィリンを酸化的縮合反応によって連結することによる様々な新規縮環ポルフィリン多量体の合成に成功しました。5,10,15-ジアリール金属ポルフィリン を(p-BrC6H4)3NSbCl6で酸化することによって得られるmeso-β縮環ポルフィリン二量体の発見をきっかけに、meso-meso結合ポルフィリン二量体 からその完全縮環体の合成に成功し、続いてmeso-meso結合ポルフィリン多量体 (5, ~12 mer) から完全縮環ポルフィリンテープの合成に成功しました (Figure 1)。

Figure 1. Fused Porphyrin Dimers and Oligomers
得られたポルフィリンテープのHOMO–LUMOギャップは著しく小さく、驚くべきことに、その吸収バンドは紫外・可視領域から赤外領域にまで達することがわかりました (Figure 2)。完全縮環ポルフィリンテープの興味深い構造や物性は、物理化学者や計算化学者など異分野の研究者を魅了し、現在その電子的性質や光化学的性質が明らかになりつつあります。

Figure 2. Absorption Spectra of Fused Porphyrin Tapes