自己活性化ホスト-ゲスト錯体を用いる超分子化学反応

大阪大学大学院工学研究科物質化学専攻(大島研究室)

 無数の細胞からなる生体が複雑な生命現象を円滑に行っていくための、アルカリ、そしてアルカリ土類金属カチオンの細胞間情報伝達物質としての働きが注目されてきました。これらのカチオンはそれぞれ固有の電荷とサイズを有するために、生体はそれぞれに対するレセプターを合成し、その認識によって様々な情報を細胞間でやり取りできます。つまりこのカチオン認識は生体内における複雑な反応を引き起こすための1つのトリガーとなっているのです。このような観点から本研究では、環状および非環状構造のオリゴエーテル鎖を有するキノン誘導体のカチオンとのホスト-ゲスト認識効果によるシクロペンタジエン(CP)とのDiels-Alder反応の加速効果を検討しました。ホストとゲストのサイズがフィットする組み合わせにおいて大きな加速効果が得られるすことがわかりました。非環状タイプのキノンとSc3+イオンとの組み合わせにおいては、驚くべきことに、約20万倍の反応の加速効果が得られることがわかりました。