研究紹介
巨大化学種を利用した低温物質合成の研究
固体反応を用いた無機合成
無機化合物の多くは、固体反応を用いて合成されます。多くの無機化合物では、物質移動に大きなエネルギーが必要なため、この合成反応に高い温度が必要となります。高温での反応の場合、反応過程の制御は難しく、しかも、熱力学的に安定な物質ができやすい傾向があります。
一般に低温相や準安定相は、対称性の低い機能的に面白い性質を示すものが多く、機能性材料の創製という観点に立つと、より低温で物質を合成する事は非常に魅力的であると言えます。また、低温で合成することは、高温で反応させる場合に比べてエネルギーの面においてもメリットがあります。

通常の合成法
下の図は、従来の合成方法を示したものです。この方法では高温で反応させる必要があります。
低温物質合成

巨大な化学種の性質を利用して…
しかし、私達は巨大な化学種が非晶質の固体を形成し易いという性質を利用して、物質を低温で合成する方法を開発しました。その方法を下の図に示します。
低温物質合成
非晶質固体の場合、不定比性(結晶の場合、ほとんど定まった組成でしか均一な化合物になり得ない。それ以外の組成では粒界をもつ二種以上の化合物の混合物となる。)が許容となり、様々な組成をもつ分子・原子レベルで均質な固体を調製することが可能となります。
目的物質に合致する組成を持つ非晶質体を調製すれば、基本的に粒界を跨ぐ物質移動の必要がないため、目的物質を低温で合成することが可能になります。

合成例
以下にこの方法を利用して合成されたアルカリ金属モリブデンブロンズの例を示します.
アルカリ金属モリブデンブロンズは電荷密度波に由来した様々な興味ある物性を示すため、新機能材料として期待される物質です。
低温物質合成
低温物質合成 低温物質合成

研究紹介一覧
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巨大モリブデン酸クラスターを用いた物質設計 低温固体反応の研究 水熱合成法の研究と物質探査 巨大化学種を利用した低温物質合成の研究
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