我々は、膜ろ過の駆動エネルギーを最小限に削減することを目的とし、浸透圧エネルギーを利用した少エネ/創エネな膜ろ過法に関する研究を行っています。浸透圧(フォワードオスモシス:FO)法では、これまで大きなエネルギー消費割合であった圧力ポンプの動力を大幅に削減できるだけでなく、浸透圧エネルギーから電力を得る創エネプロセスへと繋がる可能性を持っています。
![]() 図1 圧力駆動の膜分離(左)と浸透圧駆動の膜分離(右) |
1. 膜の開発および基礎性能評価浸透圧駆動の膜は、加圧駆動の膜とは駆動方式が異なるため、浸透圧駆動に適した膜の開発を行う必要があります。膜の操作方法・操作条件・水の種類といった基礎パラメータが膜性能にどう影響するかを深く理解することで、更に高性能な膜の開発だけでなく、最適な膜モジュール設計などに繋がります。 |
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2. 低エネルギー濃縮プロセス海水と淡水の間に生じる浸透圧差は、約3 MPaの圧力差に相当します。塩水濃度を濃くすることによって、更に10倍以上の浸透圧差を得ることも可能です。この浸透圧差を利用し、これまでNF膜やRO膜で行われている濃縮操作をFO法に置き換え、より少エネな濃縮プロセスを提案し研究を行っています。 |
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3. 浸透圧差を利用した創エネルギープロセス海水と河川水の間に生じる浸透圧差は、高さ約300 mのダムに相当します。浸透圧差から生じる自発的な水の流れを水力とし、後段のタービンで水力発電を行う浸透圧発電に関する研究を行っています。 |
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4. 塩水駆動溶液(Draw solution:DS)の開発浸透圧差を生み出すためには塩水が必要です。海水を想定するとその量は膨大ですが、内陸部での使用は困難になります。そこで我々は、海水に置き換わる新規なDSの開発とその再利用に関する研究を行っています。 |
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5. 膜ファウリング有機物や無機物など様々な要因によって膜が詰まり(ファウリング)、膜性能が劣化してしまう問題があります。我々は浸透圧駆動における膜ファウリングの挙動解析やその評価を通じて、ファウリングの原因解明やファウリングを防止する運転方法の模索を行っています。 |
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