研究内容Research

医療イノベーション研究室

当研究室では、最終的に患者さんのためになる研究ならなんでも扱って構わないと考えています。そして、(医療)イノベーションは、(医療)現場に存在する未解決問題を見出し、それを解決すれば起きます。
大小のイノベーションがあると思いますが、一緒に取り組み、医療・健康分野で貢献していきましょう。

行っているのは、臨床検体を用いた研究と、そこから得た仮説を検証し、機序を解明するための動物実験を含めた基礎研究です。
理想としては、そこから問題解決につながる新規診断法や治療法を開発し、トランスレーショナルリサーチとして、
臨床応用することです。 
主な研究テーマを下に紹介いたします。

Single cell RNA sequence』を含む1細胞(シングルセル)解析の手法を臨床研究に取り入れて、疾患特異的な細胞の分類と同定を目指しています。2022年5月に、冠動脈の安定・不安定プラークに存在する炎症細胞の比較解析結果をCirculation誌に発表しました。(https://www.eurekalert.org/news-releases/951901?language=japanese)
循環器(血管領域)臨床研究でも、シングルセル・ゲノムオミックス研究の幕開けです。

さらに、炎症細胞、免疫細胞の源である骨髄から病気が始まるのではないかと仮説を立てており、骨髄の研究も行っています。
新たな循環器疾患の病態での知見を得て、新規治療法の開発につなげることができるように頑張ります。

腸から動脈硬化を予防する』というのは、我々の研究グループが2010年ごろに提唱した新規の概念です。
特に、腸管免疫修飾により、制御性T細胞を誘導することで炎症性疾患を制御できると考えており、発展させて臨床で使用できる新たな機序の心血管病治療法の開発につなげたいと考えています。

さらに、腸管と免疫に着目した動脈硬化研究から発展して、『腸内細菌と循環器疾患の関連調査』 を行い、冠動脈疾患患者に特徴的な腸内細菌叢のタイプを同定しました。日本の循環器領域では、当研究室が、この分野をリードしています。そして、動脈硬化を予防して、肥満も抑制できる抗炎症作用を持つ腸内細菌を発見し、新たな腸内細菌製剤の開発研究を進めています。 心不全・心房細動と腸内細菌の関係についても調査を行い発表しましたが、さらに新たな知見が得られています。
また、企業との共同研究にて、日本人の平均的な腸内細菌叢を報告し、肥満・やせ、生活習慣病との関係を調査しています。

研究室の運営方針

  • 臨床研究からのエビデンスを大切にします
  • 疾患の新規治療法開発や人の健康増進につながる研究に注力します
  • 所属する研究者の興味と得意技を尊重します
  • 企業との共同研究開発にも力を入れます

循環器疾患を予防し、高齢者を含めた健康管理に興味があり、それらの問題解決のために一緒にがんばる仲間を募集しています。
所属する研究者の多様性が重要と考えており、医学系研究者以外の、背景の異なる方に、参入いただきたいと思っております。
医学系であれば、臨床だけでなく、研究でも、患者さんに貢献したいと思っている医師・研究者・学生は、
山下(tomoya@med.kobe-u.ac.jp)まで連絡をいただければ幸いです。