広く途上国政治経済に関心をもっています。フィリピンを調査対象として具体性個別性を追究する地域研究に関わる一方、普遍性一般性を求める開発研究Development Studiesについても関わって検討してきました。さらにはアジア地域を中心とする平和・安全保障の問題にも関心を寄せています。
フィリピン研究
フィリピンの政治社会構造について関心を持ち、貧困状況および関連する政府政策、住民レベルの社会運動について研究をしてきました。最近はフィリピンにおける民主主義の問題についても取り組んでいます。
著書
-
『貧困の社会構造分析-なぜフィリピンは貧困を克服できないのか』 法律文化社 2018
-
『フィリピンを知るための64章』(大野拓司・鈴木伸隆・日下渉編著)「消費生活」「富の分配」 明石書店 2016
- State of the Environment in Asia 2006/2007 (Japan Environmental Council ed.)“Republic of the Philippines: Private Sector-Dependent Environmental Policy” United Nations University Press 2009
- 『アジア環境白書2006/07』(日本環境会議編)「フィリピン-民間依存の環境政策」(太田和宏・葉山アツコ) 東洋経済新報社 2006
- 『ポスト・エドサ期のフィリピン』(川中豪編)「未完の社会改革-民主化と自由化の対抗-」 アジア経済研究所 2005
- The State of the Environment in Asia 2005/2006 (Japan Environmental Council ed.)“Republic of the Philippines” Springer Verlag 2005
- 『アジア環境白書2003/2004年度版』(日本環境会議編)「フィリピン」 東洋経済新報社 2003
- The State of the Environment in Asia 2002/2003(Japan Environmental Council ed.)“Republic of the Philippines” Springer Verlag 2003
- 『アジア環境白書2000/2001年度版』(日本環境会議編)「フィリピン」 東洋経済新報社 2000
学術論文
- 「フェルディナンド・ボンボン・マルコス大統領の誕生-フィリピン政治と民主主義」 『アジア・アフリカ研究』第63巻第1号 2023
- 「フィリピン・ドゥテルテ政権下の6年-米中対立のはざまで」 『経済』第318号 2022.3
- 「参加型開発における住民の主体性:フィリピン・台風ヨランダ復興プログラムから(太田和宏・後藤聡美他)」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第14巻第1号 2020.9
- 「日本とフィリピンにおける戦争に関する社会的記憶の比較」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第12巻第2号 2019.3
- 「『貧困家庭向け条件付き現金給付プログラム』のインパクトと課題:フィリピン4Psの批判的検討(太田和宏・木嶋恭子他)」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第9巻第2号 2016
- 「コミュニティ組織型フェアトレードの可能性-フィリピンSPFTCの事例(太田和宏・存千夏子他)」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第8巻第2号 2015
- 「マイクロファイナンスによる生活の安定:フィリピン『南コタバト基金』の事例(太田和宏、正木奈保他)」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第6巻第2号 2013
- 「現代フィリピンの労働構造-グローバル時代の新接合」 『アジア・アフリカ研究』第53第第4号 2013
- 「商業化するマイクロファイナンス-フィリピンでの普及と貧困問題」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第4巻2号 2011
- Foreign Donors and the Philippine State:Policy Convergence and Domestication Journal of Social Transformation Vol.1. No.1 2011
- 「大規模ODAプロジェクトと住民問題-フィリピン・セブ総合開発計画を事例に(太田和宏、福島紘子他)」 『神戸大学発達科学部紀要』第14巻第2号 2007
- 「フィリピン農地改革の新形態-ルイシタ農園における株式分配方式の実態」 『アジア経済』第36号第10号 1995
- 「フィリピン、マルコス政権下の農地改革農業構造転換の一過程」 『アジア研究』第40巻第4号 1994
開発研究
貧困概念、貧困対策、開発政策を批判的視点から検討をしています。近代主義的アプローチを超える可能性と戦略について考えています。
著書
-
Migration Governance in Asia - A Multi-level Analysis (Sakai, Kazunari & Noemi Lanna eds.)“Migration and the Nation-State: The Contradictions of Globalization” Routledge 2022
-
『地域研究へのアプローチーグローバル・サウスから読み解く世界情勢』(児玉谷史朗, 佐藤章, 嶋田晴行編著)「貧困の系譜と地域研究ー「開発」の矛盾を克服するために」 ミネルヴァ書房 2021
- 『グローバルサウスとは何か』(松下冽編著)「グローバル化に抗する市民・運動・暴力」 ミネルヴァ書房 2016
- 『共鳴するガヴァナンス空間の現実と課題‐「人間の安全保障」から考える』(松下冽・山根健至編著)「東南アジアにおけるアソシエーションと越境的デモクラシー の可能性」 晃洋書房 2013
- 『新自由主義に揺れるグーバル・サウス-いま世界をどう見るか』(藤田和子、松下冽編著)「ASEAN諸国における国家・社会関係‐新自由主義下の展開をふまえて‐」 ミネルヴァ書房 2012
- 『館林発フェアトレード』(子島進他編) 上毛新聞 2010
- 『環境総合年表―世界と日本』(環境総合年表編集委員会編) すいれん舎 2010
- 『発達科学への招待』(神戸大学発達科学部「発達科学への招待」運営委員会編)「フェアトレード」 かもがわ出版 2008
- 『人間像の発明』(ヒューマン・コミュニティ創成研究センター編)「開発される人間-第三世界の現場から」 ドメス出版 2006
- 『キーワード 人間と発達』(神戸大学発達科学部編)「グローバリゼーション「もうひとつの世界」は可能か」 大学教育出版 2005
- 『開発とグローバリゼーション』(土生長穂編)「環境と開発-『サステナブル・ディベロップメント』を超えて」「ASEANの開発-『成功』の投げかける問い」 柏書房 2000
- 『アジア環境白書1997/98年度版』(日本環境会議編)「政府開発援助」 東洋経済新報社 1997
学術論文
- 「新しいグローバル連帯の模索ー東南アジアの労働実態と運動」 『学習の友』2025年8月号No.864
- 「斎藤幸平『人新世の資本論』集英社新書をどう読むか(井口克郎・岩佐卓也・太田和宏・原将也・加戸友佳子・浅野慎一)」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第15巻第2号 2022.3
- 「SDGsと開発イデオロギー-途上国の視点から-」 『経済』第310号 2021.7
- 「東南アジアにおける新型コロナ対応と地域秩序」 『アジア・アフリカ研究』第61巻第1号 2021.3
- 「Developmentをどうとらえるか―21世紀のゆらぎ」 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第10巻第2号 2017.3
- 「新自由主義下の国家・社会関係-ASEAN諸国における展開」 『アジア・アフリカ研究』第52巻第1号 2012
- 「人間開発論からヒューマン・ニーズ論へ」 『アジア・アフリカ研究』第49巻第4号 2009
- 「グローバリゼーション下における人間開発戦略-その意義と課題」 『人間科学研究』第11巻第1号 2003
- 「政治的民主化と環境問題:台湾の事例」 『アジア・アフリカ研究』第41巻第2号 2001
- 「環境と開発-思想と対応の系譜」 『アジア・アフリカ研究』第39巻第3号 1999
- 「途上国環境問題への視点-より実態的な問題把握のために-」 『神戸大学発達科学部紀要』第6巻第1号 1998
- 「『貧困』概念をめぐって」 『アジア・アフリカ研究』第37巻第2号 1997
安全保障
近年世界の安全保障状況は大きく変わりつつあります。アジアにおいても朝鮮半島の核問題、中国の影響力の増大、それに関連した東南アジア諸国の対応等に大きな変化がみられます。そうした具体的状況について検討しています。
著書
-
『新自由主義の呪縛と深層暴力-グローバルな市民社会の構想に向けて』(松下冽・山根健至編著)「グローバル秩序の正当性」 ミネルヴァ書房 2023
-
『日本の国際協力 アジア編:経済成長から「持続可能な社会」の実現へ』(重田康浩・太田和宏・福島浩治・藤田和子編著) ミネルヴァ書房 2021
-
<翻訳>
『グローバル警察国家:人類的な危機と「21世紀型ファシズム」』William I Robinson著(共訳)松下冽監訳, 太田和宏, 岩佐卓也, 山根健至 花伝社 2021.10 - 『社会環境と人間発達』(社会環境論研究会編)「日本とアジア」 大学教育出版 1998
学術論文
- 「核管理体制の矛盾-ロシアのウクライナ侵攻の問いかけるもの-」 『アジア・アフリカ研究』第63巻第4号 2023
- 「開発協力大綱と日本の外交戦略-内向きな『国益』追求」 『アジア・アフリカ研究』第59巻第3号 2019
- 「アジアの中の日米安保-南シナ海問題に関連して」 『法の科学』第47号 2016.8
- Japan's ODA Strategy: From an Auxiliary State to a Leading State Quarterly Bulletin of Third World Studies Vol.48, No.3 2008
- 「日本の政府開発援助ODA政策-グローバル国家への『戦略』(下)」 『行財政研究』第58号 2005.3
- 「日本の政府開発援助ODA政策-グローバル国家への『戦略』(上)」 『行財政研究』第57号 2004.11
現在の研究課題
・フィリピン歴史認識研究
・フィリピン労働問題
・途上国における民主主義