送粉者の行動を制御する花向きの進化

花の咲く向き(角度・方位)の研究 花はどこを向いて咲くのか?花向きは、花の大きさや色、形、咲く時間、繁殖様式(自殖か他殖か)などと共に重要な花形質の一つであるが、他の形質と比べ研究例が少ない(向日性に限ってのみ多くの研究がなされている)。花向きには多くの植物で共通する傾向がみられるが、その適応的意義や生理的メカニズムについての研究は非常に限られている。
 研究室では、左右相称花が横向きに咲くという現象を、ツユクサを対象に野外実験を行い、花が横向きに咲くことによって送粉者の行動を制御し、送粉効率を高めていることを明らかにした。また、斜面上に咲く花(特に横向き花、下向き花)では、花の咲く方位が斜面方位と一致する、つまり斜面下部を向いて咲くことを指摘し、この斜面下部を向いて咲くという形質が適応的であることを示した。

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