送粉ネットワークの構造を制限する生物学的要因

多くの被子植物は花粉媒介を昆虫などの動物に依存しています。それぞれの植物のつける花にどのような昆虫がくるのかを調べ、二つの生物群間に結ばれる関係性を送粉共生ネットワークとしてとらえ、研究する試みが21世紀に入り、世界的に行われています。

研究室では、兵庫県の里山や立山の高山帯、関東地方の海岸にみられる送粉共生ネットワークを対象に研究を行っています。これまでの研究から、ネットワークを形作る上で時空間的な開花と昆虫の出現の一致が重要であることが明らかになりつつあります。また、花と昆虫の形態の一致がネットワーク形成にどのように寄与するのかを解析しています。

世界的にマルハナバチ類やチョウ類など長い口吻を持つ送粉者が人間活動の影響により減少していることが報告されています.この長口吻送粉者の減少が植物群集にどのような影響を与えうるのかを明らかにすることが重要課題となっています.この研究では,長口吻送粉者が欠けることが知られている伊豆諸島(海洋島)の海浜群集をモデルケースとして,長口吻送粉者の不在が他の送粉者の行動や植物の繁殖成功にどのような影響を与えうるのかを調査し,長口吻送粉者の不在は短口吻送粉者による長花筒花利用の増加をもたらし,その結果として長花筒花の繁殖成功を減少させうることを明らかにしました.

Hiraiwa MK & Ushimaru A (2017) Proceedings B 284: 20162218.


Valid XHTML 1.0 Transitional