Dr. Ryuichi Okada

研 究:研究テーマResearch: theme

研究の興味  Interests

動物の行動は脳・神経の働きによって実現されています。私は、どのような脳・神経のしくみで行動が起こるのかを明らかにすることを目指しています。特に、昆虫に注目して研究しています。

昆虫は地球上に約70万種生息し、地球上の動物種のおよそ70%を占めます。昆虫は多様な行動を示す割に脳の神経細胞が哺乳類の脳に比べて少ないので動物の脳・神経のしくみを解明するためのよいモデルとして利用されてきました。

昆虫の脳の基本構造は形態的にも機能的にも互いに似ているので、テーマによって適した昆虫種を用いて実験し、研究成果を昆虫全般に一般化することができます。そのため、私はゴキブリ、ミツバチ、ショウジョウバエの利点を生かしながら、電気生理学、解剖学、行動学、分子生物学、計算機工学のさまざまな方法を組み合わせて、高次行動に関わる神経メカニズムの研究を進めています。

研究テーマ  Research topics

動物の空間認識の脳メカニズムBrain mechanism of the spatial recognition

トンネルの中を飛行するミツバチ
人工餌場に採餌に来たミツバチ

ミツバチは、餌場や巣の場所を記憶して採餌活動を行っています。このことはミツバチが高度なナビゲーション能力を持っていることを示しています。ミツバチがどのように場所を記憶し、その記憶をもとに目的地へ移動するのかを行動学的実験と電気生理学的実験を組み合わせて調べ、ナビゲーションの神経メカニズムを明らかにすることを目指しています。<わかったこと(results)>

ミツバチの社会性行動に関する研究Social behavrior of the honeybee

8の字ダンスをするミツバチ
採餌シミュレーションの画面

昆虫が示す行動のうち、最も複雑な行動のひとつは社会性行動です。ミツバチは8の字ダンスというコミュニケーション手段を用いて、良質な餌場の情報を巣の仲間に伝え、採餌効率を上げ、その結果としてコロニーを維持していると考えられています。8の字ダンスがコロニーを維持するのに実際どれくらい効果があるのかを行動学的実験とシミュレーション実験理論で調べています。<わかったこと(results)>

匂い連合学習の神経メカニズムに関する研究Brain mechanism of the olfactory learning

学習して吻を出すミツバチ
学習関連神経の入力部位

ミツバチはにおいと餌(砂糖水)の関係を学習します。学習すると餌がもらえる匂いを長期間記憶することができます。この能力に着目し、記憶・学習にかかわる脳のしくみを、行動中のミツバチの脳の活動を記録する特殊な方法を使って調べています。<わかったこと(results)>



脳の匂い情報処理メカニズムに関する研究Brain mechanism of olfactory information processing

GABA合成酵素を発現している神経
1次嗅覚中枢の局所介在神経細胞

動物がどのように匂いを識別しているのかを、神経生理学、解剖学、組織学、遺伝学の手法を用いて調べています。とくに、ショウジョウバエの嗅覚の1次中枢である触角葉に着目して、どのような神経がどのように活動するのか、さらに、どのような神経とつながっているかを調べています。<わかったこと(results)>

脳の運動制御メカニズムに関する研究Brain mechanism of the motor control

歩行直前に活動が始まる神経の例
ゴキブリの脳の下降性神経群

われわれが行動をするとき、脳はさまざまな情報をもとに行動が適切に行われるように制御しています。脳がどのように行動を制御しているのかを明らかにすると同時に制御にかかわる脳の基本構造を調べています。<わかったこと(results)>

update on 16th Dec, 2020