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膜工学について

“膜”と聞いても、なかなかイメージしにくいですよね。
例えば水処理などに使われる膜には大小(といってもミクロなものですが)様々な孔(穴)があって、そこに水などを通すと必要なものは通して不要なものは通さなかったり、またその素材や孔の大きさを変えることによって分離するものを変えることができます。天然水ならミネラル分は通して不純物は取り除く、ガスなら有毒なものを分離してきれいな空気にする、など。コーティングする膜で一番身近にあるのは、自動車のボディを綺麗に塗装しているコーティング被膜です。他にも、特殊な微粒子でコーティングした薄膜は、携帯電話などに使われているリチウムイオン電池をはじめとした電子デバイスなど多くの分野で使用されています。膜技術は私達が便利で快適な生活を送るために、あらゆるところで活躍しています。

例えば家で

 

家庭用浄水器

 

一般的な家庭用浄水器。あの浄水器の中には細かいミクロの孔が沢山あいたストロー状のものが何本も束ねてあります。これは中空子膜といって、水道水中の不要な成分を濾過しています。水道水がおいしく飲めるのもこれのお陰ですね。

 

お菓子の包装

 

個別包装されているお菓子。新鮮な味をより長く維持するためにガスのバリア膜が使われています。

例えば街で

 

太陽光発電のパネル

 

太陽光発電のパネルにも膜技術は使われています。現在主に使われているソーラーパネルはシリコンという半導体材料でできていますが、研究が進んでいる次世代のものは、有機材料をコーティングした薄膜が太陽電池として働きます。非常に軽く、安価になると期待されています。

 

ウォーターサーバー

 

病院などにおかれているウォーターサーバー。最近は家庭用もでていますが、これは1000万分の1mmという小さな孔を持つ膜で水以外の不純物をすべて取り除いた後にミネラルを添加しており、安定した品質の安全で美味しい水を提供しています。

例えば地球に優しいこと

 

工場や車の排気ガス

 

排気ガス中に含まれるCO2ガスは、地球温暖化の原因と言われています。酸素や窒素などはほとんど通さず、CO2だけを透過するガス分離膜を用いて排気ガスから取り除き地中に閉じ込めることで、大気中への排出量を減らすことができます。

 

下水処理

 

下水処理施設では、バクテリアが水中の栄養分を食べることによって下水を浄化しています。その後、水とバクテリアを分けるのに広い沈降池が必要でした。膜を使うと、水とバクテリアをコンパクトな装置で分けることができます。

 

海水の淡水化で飲み水確保

 

1000万分の1mmという小さな孔を持つ膜で海水をろ過すると、塩を取り除いて真水を取り出すことができます。雨の少ない地域でこの膜を使って海水淡水化を行うことで、渇水時にも飲み水を確保することができます。

 

膜技術は生活の身近なところにたくさん応用され、エコにも貢献しています。意外に活躍しているでしょう?
先端膜工学センターを構成する研究室ではこのような多種多様な膜を扱い、日々研究に取り組んでいます。
これを機に“膜”に興味を持っていただければ幸いです!