レクチャーノート

本勉強会のレクチャーノートです。講師から修正があった場合,随時アップデートします.

 若狭氏 2016LectureNote_Wakasa.pdf (Last updated on 2017.10.2)
 中尾氏 2016LectureNote_Nakao.pdf (Last updated on 2017.8.16)


日時

平成28年12月8日(木) ~ 12月10日(土)


場所

神戸大学深江キャンパス (住所:神戸市東灘区深江南町5丁目1-1)
4号館3階 (12月8日午後〜12月9日午前は4301講義室、12月9日午後〜12月10日は4304講義室)


講師&講演テーマ

講義A: 線形化固有値問題の解析と大域的分岐問題への応用
講師: 若狭徹 氏 (九州工業大学)
アブストラクト

非線形微分方程式の解の安定性や分岐問題を考察するときには線形化固有値問題の解析が不可欠となる.反応拡散方程式や
(主に2成分の)反応拡散系の特異摂動問題に関しては,古典的なSturm-Liouville理論やSLEP法などがこれを解析する標準的
なツールである.一方で,空間1次元の方程式のうち特別な非線形項を持つ非線形微分方程式については,Jacobiの楕円関数
による解の表現が可能であり, さらに限定的な状況においてその線形化固有値問題の固有値・固有関数を構成的に与えることが
可能である.無論,このような初等的解法は,一般的な問題に適用することは難しく,汎用的な解析手法とはいい難い.一方,
非局所を含む非線形微分方程式の大域分岐問題など,特定のモデル方程式系の理論解析について有用な情報を与えることが期待
される.これに関し,本勉強会では筆者と龍谷大学・四ツ谷教授との共同研究による線形化固有値問題の解析,およびその細胞
局在モデルへの応用などを取り上げる.講演では,第3種楕円積分を含むさまざまな楕円積分量の取り扱いについて,基本的な
事項から解説を試みる予定である.


講義B: ネットワーク上の反応拡散系におけるパターン形成と集団ダイナミクス
講師: 中尾裕也 氏 (東京工業大学)
アブストラクト

Turingにより1952年に提案された反応拡散モデルは,自然界における様々な時空パターンの自己組織化現象の理解に中心的
な役割を果たしてきました.既に1971年にOthmerとScrivenによって指摘されていたように,反応拡散モデルはそのまま
ネットワーク上に一般化されます.今回は,ネットワーク上の反応拡散系におけるパターン形成と集団ダイナミクスについて,
その概略といくつかのトピックスを話します.まず,ネットワーク上の活性-抑制因子系において,ふたつの因子の拡散定数の
比が大きければ,連続媒質と同様にTuring不安定生が生じ,一様解が不安定化してネットワーク上にパターンが形成される
可能性があること,特にスケールフリーネットワークのような次数不均一性が大きなネットワークについては,平均場近似に
よって形成されたパターンをある種の分岐図として理解できることなどを説明します.また,近年行われている様々なモデルの
拡張について触れるとともに,未解決の興味深い問題,例えば,分岐の分類,多重安定性,自己無撞着解析,グラフ極限と
非局所結合系の関係,ランダムネットワークのLaplacian固有ベクトルの局在性などについて述べます.さらに,ネットワーク
上の振動性媒質においても,Turing不安定性と同様の拡散誘起不安定性であるBenjamin-Feir不安定性により,一様振動解が
不安定化して様々なネットワーク上のパターン形成あるいはカオスに導くことなどを述べます.講演者は物理学を背景とする
ため,数学的なスタイルの講演とはなりませんが,どのような数理的問題が未解決なのかについて述べますので,聴衆の方々
からご助言頂ければと思います.


プログラム

12月8日(木)

 14:30-16:00 講義A Part 1 (講義室:4301)
 16:20-17:50 講義A Part 2 (講義室:4301)

12月9日(金)

 09:40-11:10 講義B Part 1 (講義室:4301)
 11:30-13:00 講義B Part 2 (講義室:4301)
  (昼休み)
 14:30-16:00 講義A Part 3 (講義室:4304)
 16:20-17:50 講義A Part 4 (講義室:4304)

12月10日(土)

 09:40-11:10 講義B Part 3 (講義室:4304)
 11:30-13:00 講義B Part 4 (講義室:4304)
 講演終了後〜  Free discussion

プログラムのPDF版はこちら


本勉強会は

 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤(B) 課題番号:26287024 (代表:二宮広和)
 日本学術振興会科学研究費補助金 基盤(B) 課題番号:15H03632 (代表:石渡哲哉)

の援助を受けて開催されます.


世話人
石渡哲哉 (芝浦工業大学) tisiwata(at)shibaura-it.ac.jp
高坂良史 (神戸大学) kohsaka(at)maritime.kobe-u.ac.jp