第81号(2011年8月号[11/8/1発行])
8月は食品衛生月間です
いよいよ夏も真っ盛りですが、皆様、体調はいかがでしょうか。幸い、7月まではほどほどの暑さで済みましたが、これから一年で最も暑い時期になりますので、くれぐれも、熱中症にならないように水分補給などの対策を取って頂けますようにお願いいたします(今年7月のリウマチだよりをご参照ください)。
ところで、今年の4月に富山県などで発生したユッケを介した腸管出血性大腸菌O111による集団食中毒が記憶に新しいのですが、毎年8月はこの時期に多発する食中毒の防止と衛生管理の向上を図る「食品衛生月間」です。食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。厚生労働省が発表している「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を各ご家庭で実施していただきますようにお願いします(昨年7月のリウマチだよりをご参照ください)。
ゴリムマブ(シンポニー®)承認のお知らせ(第1報)
これまで、関節リウマチの原因となる炎症性サイトカインTNFαを特異的に抑制する生物学的製剤として、インフリキシマブ(レミケード®)、エタネルセプト(エンブレル®)、アダリムマブ(ヒュミラ®)の3剤が使用されてきましたが、当科でも治験を行ってまいりましたゴリムマブ(商品名シンポニー®、販売:ヤンセンファーマ・田辺三菱製薬)が新たに承認されました。ゴリムマブは、アダリムマブと類似したヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で、4週間に1回の皮下注射により投与されます。今後、薬価が収載され次第、使用できますように院内の手続きを進める予定です。処方が可能になりましたら、リウマチだよりでお知らせしますので、今しばらくお待ちください。
ミノドロネートマンスリー製剤(ボノテオ®錠50mg)承認のお知らせ
2009年に発売が開始された、骨粗鬆症に対する第3世代ビスフォスフォネート製剤であるミノドロネート(ボノテオ®、アステラス製薬)は、従来、1mg錠を毎朝内服する必要がありましたが、新たに、月に1回(正確には4週間に1回)内服するマンスリー製剤(50mg錠)が承認されました。他のビスフォスフォネート製剤は、毎日あるいは毎週1回の内服が必要ですので、服薬の頻度が下がることにより、利便性が向上することが期待されています。こちらも、薬価が収載されましたら、手続きを進める予定です。
新規生物学的製剤治験のご案内
整形外科リウマチ診療部門では、現在、国際共同で開発が進められている新規抗リウマチ生物学的製剤の治験を行っております。新しい薬を世に送り出すために、「薬の候補」が持つ、人における効き目(有効性)と副作用(安全性)を調査する「臨床試験」のうち、厚生労働省から「薬」としての承認を得るために行われる試験を、特に「治験」と呼びます。今回、治験の3段階の最後に当たる第3相試験が行われている生物学的製剤は、海外では関節リウマチと同じく膠原病のひとつである全身性エリテマトーデスの新しい治療薬として米国で本年承認されたベリムマブと同様に、主にBリンパ球に作用するBAFFというサイトカインに対して特異的に結合する抗体製剤で、関節リウマチに対しても高い有効性が期待されています。
製薬会社と医療従事者だけが頑張っても、新しいリウマチ薬を誕生させることは決してできません。リウマチ患者さんやご家族の協力があって、初めて可能になります。治験に際しては、より一層の安全性の確保と、経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに様々な配慮がなされています。皆様のご協力をいただけましたら幸いです。
治験への参加に興味をお持ちになられた患者さんは、是非、主治医までお声掛けいただけますように、お願い申し上げます。なお、治験に参加いただくには、一定の条件を満たす必要がありますので、せっかく、お申し出を頂いても、ご参加いただけない場合もありますので、その際はどうかご了承ください。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科リウマチ診療部門では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。
関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。
さて、8月のリウマチ教室では、毎年恒例のリウマチ患者さんと家族のおしゃべり会を、整形外科外来の小林副看護師長と看護部スタッフ、保健学科学生の学生を交えて開催する予定にしております。暑い時期ではありますが、皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。
2011年8月-12月の整形外科リウマチ教室の予定
日時:2011年8月25日(木) 午後1-2時30分
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」
講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ、保健学科学生
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2011年9月29日(木) 午後1-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「食事療法のワンポイントアドバイス」
講師:栄養管理部 三ヶ尻 礼子 管理栄養士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2010年10月27日(木) 午後1-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師: 東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2011年11月24日(木) 午後1-2時
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「新薬と治験について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
*12月は年末につき大学病院でのリウマチ教室はお休みです
第7回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。
日時:2011年12月17日(土) 午後2時-4時30分 (午後1時30分開場)
会場:コンフォートヒルズ六甲 1階多目的ホール(神戸海星病院山側)(神戸市灘区篠原北町3丁目11-14)
演題:次号で詳細をお知らせ予定です
参加費は無料ですが、定員がありますので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部 電話:078-871-5201
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)