第80号(2011年7月号[11/7/1発行])

熱中症と節電対策について

 梅雨もまだ空けていないうちから激しい暑さが到来しておりますが、皆様、体調は大丈夫でしょうか。6月23日付けの日本気象協会による近畿地方の長期予報では、7-9月の平均気温は、平年並の確率が40%、平年より高い確率が40%、平年より低い確率が20%と発表されており、涼しい夏は期待できそうにありません。あまりの暑さに6月のうちにすでに近畿地方でも熱中症による複数の死者が報道されています。 

 熱中症とは、気温や湿度が高い時期に、体から熱を逃がして、体温を一定に維持する機能に不調を来して、体の中に熱が貯まってしまう「うつ熱」状態が起き、その結果、引き起こされる様々な病態のことを言います。熱中症には、その程度により、こむら返りや立ちくらみを起こす「熱けいれん」(重症度Ⅰ度)、倦怠感、脱力感、めまい、頭痛、吐き気、体温の軽度の上昇などを起こす「熱疲労」(重症度Ⅱ度)、体温が40℃以上に上昇し、意識消失、うわごと、ふらつき、けいれんなど、中枢神経を含む全身の臓器障害と血液凝固障害を来たし、死亡に至る危険が高い「熱射病」(重症度Ⅲ度)に分類されます。

 熱中症は治療よりも予防が大切です。具体的な対策として、

①年齢、肥満、持病、薬、体力、体調などから、自分が熱中症にかかりやすいかどうか知っておく(基本的に関節リウマチの患者さんはリスクが高いと考えられます)

②睡眠不足を避け、風邪や下痢などにならないように体調の維持に努める

③夏の初めは、体が暑さに十分になれていないので、特に注意する

④熱中症の発症に影響する毎日の気温、湿度、天候などの情報を天気予報で予め知っておく

⑤屋内での発症が増えているので、家にいるから大丈夫と思って安心せず、対策を実施する

⑥夜になっても気温が下がらない熱帯夜もあるので、夜も油断せず、対策を継続する

⑦のどが渇かなくても、スポーツ飲料やスポーツ飲料より塩分が多い経口補水液(大塚製薬のOS-1など)で、水分と必要な電解質を定期的に補給する

⑧吸湿性や通気性の良い素材の衣服を着て、汗をかいたらこまめに着替える

⑨日中は適宜エアコンを使用して室温を下げる、下肢の関節が冷えて痛むようなら膝掛けを使用する

⑩外出が必要なときは朝夕のなるべく涼しい時間帯にする

⑪日中の外出時には帽子や日傘で直射日光を遮る

⑫直射日光が当たるので、車内温度は高くなくても、自動車内では特に注意する

⑬外出先でもすぐに水分補給できるように、水筒やペットボトルを持参する

⑭具合が悪くなったら、(1)速やかに体を冷却する(2)水分と塩分を経口で十分に補給する(3)涼しい場所で十分に休息を取るといった処置をすぐに行い、経口で水分補給ができない場合には、医療機関を速やかに受診する、以上の対策をお取り頂けますようにお願いします。

 一方で、今年は東日本大震災により、原子力発電所の定期点検からの運転再開が遅れていることから、近畿地方においても関西電力から15%の節電が要請されています。そこで、節電に協力するために、エアコンの利用を我慢されていませんか。夏の日中14時頃における在宅世帯の平均使用電力は約1,200ワットで、そのうち53%をエアコンが占めていますが、「暑さを我慢して熱中症になっては本末転倒」です。冷やしすぎは電気の無駄であるとともに体にも良くないのですが、暑さに応じてエアコンを利用くださいますようにお願いします。節電のためには、家庭にあるエアコン以外の消費電力の大きい電気製品の日中の使用を避けましょう。温水洗浄便座、電気ポット、食器洗い乾燥機、オーブントースター、掃除機、ドライヤー、洗濯乾燥機(乾燥機能)、浴室乾燥機、ジャー炊飯器、電子レンジ 、アイロン、IHクッキングヒーター等には、定格消費電力が1,000ワットを上回っている製品が多くあります。
経済産業省のホームページに詳しい節電方法が掲載されていますので、是非、参考にして頂いて、節電にも努めていただきますようにお願いします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科リウマチ診療部門では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。

 関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるようにスタッフ一同、心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。皆様の参加を心からお待ちしております。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果やお薬手帳などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での診療をご希望の場合には、水曜日の整形外科リウマチ外来を、できるだけ、かかりつけ医を通じて初診予約の上、受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、7月のリウマチ教室では、患者支援センターの塩川看護師から、介護保険の特定疾病である関節リウマチの患者さんは40才から利用可能な介護保険制度と在宅医療に関する講演をさせていただきます。8月は、毎年恒例のリウマチ患者さんと家族のおしゃべり会を、整形外科外来の小林副看護師長と看護部スタッフ、保健学科学生の学生を交えて開催する予定にしております。暑い時期ではありますが、皆様のご参加をスタッフ一同、心からお待ちしております。


2011年7月-10月の整形外科リウマチ教室の予定

日時:2011年7月28日(木) 午後1-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「介護保険と在宅医療について」

講師:患者支援センター 塩川 ゆり 看護師

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2011年8月25日(木) 午後1-2時30分

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「リウマチ患者さんと家族のおしゃべり会」

講師:整形外科外来 小林 久美子 副看護師長及び看護部スタッフ、保健学科学生

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2011年9月29日(木) 午後1-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「食事療法のワンポイントアドバイス」 

講師:栄養管理部 三ヶ尻 礼子 管理栄養士 

司会:三浦 靖史 准教授


日時:2010年10月27日(木) 午後1-2時

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「健康と音楽」

講師: 東京工科大学医療保健学部 山崎 郁子 教授

司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


第6回神戸海星病院リウマチ教室のご案内

 関連病院である神戸海星病院との共催で、4ヶ月毎に土曜日にリウマチ教室を開催しています。大学病院での平日のリウマチ教室に参加することが困難な皆様は、こちらにご参加ください。

日時:2011年7月23日 (土) 午後2時-4時30分 (午後1時30分開場)

会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)

演題:「感染予防について」 薬剤部 河井 順計 薬剤師

    「リウマチのリハビリテーション」 リハビリテーションセンター 井澤 克俊・石川 智昭 理学療法士

    「リウマチ生物製剤の自己注射について」 神戸大学 整形外科 三浦 靖史 准教授

参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。

申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201


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