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学部ゼミ
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学部「研究指導」の方針(2023年度以降適用)従来のゼミでは,経済学の範囲に収まっていれば,国際経済学に全く関連がなくても,かなり広範囲に自由なテーマの選択を認めてきました。 こうした自由な選択を認めてきたのは,一つには,ほとんどの学生諸君は経済学の専門家になるわけではないこと,また,経済学は非常に広大な社会の諸問題を分析するのに役立つ汎用性の高い学問なので,そのことを理解してもらうには,自由なテーマ選択が重要であろうと考えてきたことなどが理由です。 自由なテーマ選択というやり方は一定の成果を収めてきました。 実際,これまでに指導してきた学生諸君が執筆してきた卒業論文の中で,最も印象に残り,最も優れていた2編の論文は国際経済学とは関係のない「企業のブランド戦略」や「企業の社会的責任」をテーマとしたものでした。 これらの論文の執筆者は,経営学的なテーマを経済学的な手法や考え方にまとめ上げるのに苦労していましたが,彼ら自身の努力を通じて,大変立派な論文を仕上げることに成功しました。 しかし,こうした優れた前例があるにもかかわらず,運営方針を変更することにもまた理由があります。 経済学部のアドミッションポリシーでは,「経済学部の求める学生像」として「幅広く,豊かな教養とともに経済学を基盤とした専門的知識を身に付け,社会の様々な出来事を分析し,論理的・創造的に思考できる学生」が第一に謳われていることはご存じだと思います。 経済学部の8つの大講座は多様な授業科目を提供しており,それらを受講することを通じて「幅広く,豊かな」領域についての学習が可能となっています。 であるとすれば,ゼミのように特定の専門家の下で少人数に限定した学習時間を持つことの意義は「専門性を高める」ことに求められるはずです。 授業科目を受講することと,ゼミでの少人数指導を受けること,それらを区別することで学習上のメリハリを付けて,学生諸君が幅広さと専門性の深さの両方を身につける機会を持てるようにすることが大切であると思われるのです。 これが方針変更の第一の理由です。 また「自由なテーマ選択」を許容してきたことは,私自身の慢心に基づくものであったとの反省もあります。 自由なテーマ選択を認めるということは,一見すると受講生諸君の自主性を重んじていることのように思われるかもしれません。 確かに,そういった側面はあります。 しかし他方で「自由なテーマ選択を認めて卒業論文執筆指導を行う」というやり方は,私(中西)に「どのようなテーマでも指導する能力がある」ことを暗黙の前提として初めて意味を持つものでもあります。 もちろん,私にそのような能力は備わっていません。 この点,無自覚だったとはいえ,これまでの不遜と慢心を大いに反省しなければなりません。 上で示した優れた論文を書き上げた諸君が(私以外の)適切な教員による指導を受けていれば,もっと優れた論文を書き上げていたはずです。 見せかけだけの「自主性の尊重」を掲げることによって,受講生諸君が一層能力を高める機会を逃してしまうことは避けたいものと思います。 これが方針変更の第二の理由です。 私の専門的な研究領域は「国際経済学」です(「ゲームの理論」についても専門家を名乗ってよいと自負していますが,学部ゼミ全体としては重視していません。ゲームの理論に関心のある人は個別に相談してください)。 上に述べたような理由から,研究指導における卒業論文のテーマ選択では国際経済学の領域に範囲を限定します。 もっとも,国際経済学だけでも非常に広大な領域ではあります。 私の能力と時間に限りはありますが,神戸大学経済学部の数多くのゼミの中にあって,私のゼミには国際経済学に関する「比較優位」があります。 その意味で,私の提供できる最善の研究指導を行いたいものと思います。 個々の具体的な卒業論文のテーマに関しては,国際経済学に関連する領域から,受講生自らが発見してこなければなりません。 範囲は限定しますが,個別の卒業論文のテーマを私(中西)から与えることはありません。 就職活動の面接などで「学生時代に何を学びましたか?」と聞かれたら,「他の科目はともかく,国際経済学については,東大,京大,阪大,一橋など国内のいかなる大学の学生と比べてもらっても負けません」と胸を張って答えられるくらいになってもらいたいと思います。 どれほど学習・研究を深めても,私のゼミで学ぶ国際経済学に関する専門的知識の内容それ自体が,就職活動あるいは就職後の仕事に直接役立つことはほとんどありません。 また,そうあるべきものでもありません(すぐに役立つ知識やスキルが必要な人には,ゼミよりも他にやるべきことがあると思います。時間を無駄にするべきではありません)。 しかし,こうした専門的知識を学び,自分自身の内部に再構築・再構成していくプロセスを体験すること,課題・問題を発見し,一定の理論的枠組みに位置づけ,一貫性を持って論理的に分析する技術と能力を修得することが重要です。 これらこそが,ゼミに参加することで受講生諸君が身に付けるべきものですし,実社会での生活において実際に「役立つもの」であるはずです。 私のゼミでは,受講生が上記のプロセスを体験する機会,あるいは受講生が上で述べたような能力を修得・研鑽・彫琢する作業の土台として,国際経済学を活用していくのだと理解してください。 国際経済学に関心のある学生諸君の積極的な参加を待っています。 |
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