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研究テーマ

 

環境DNAを用いた水中生物相把握法に関する研究

 淡水域における生物多様性の喪失は深刻な問題です。そのため淡水域における生物相のモニタリングは非常に重要ですが、 実際のモニタリングには多大な労力が必要になります。また、希少種などのモニタリングにあたってはできる限りその生態に影響を与えない手法が求められま す。そこで、淡水域における魚類や両生類の効率的なモニタリング手法として環境DNAを用いた生物相の把握法について研究を行っています。環境水中にはさ まざまなDNAが大量に含まれていて、このような環境DNA(eDNA)は一般に微生物の検出に用いられてきました。近年になって、侵略的外来種のウシガ エルなど、大きな生物の調査にも環境DNAが用いられるようになりつつあります。私たちは、魚類全般に共通する縮退プライマーを作り「水」をはかることで 生息する魚種を調べる技術や、特定の種のeDNA量からその種のバイオマスを推定する技術を開発しています。これらの技術を用いると、淡水域における生物 モニタリングが簡略化され、今までよりはるかに多くの生物情報を手に入れることができるようになります。

関連する主要な論文・著書

 

病原生物と人間の相互作用環

 私たちは、「人間が引き起こす環境改変が感染症の拡大を招く」という仮説に基づいて、「人間による環境改変-感染症の発生・拡大-人間生活の変化」の相互作用環を解明することを目的として研究を行ってきました。私は主にコイヘルペスウイルス病をターゲットとして病気と人間活動の相互作用環について研究しています。コイヘルペスウイルスは1990年代後半に現れた新たな感染症で、主にマゴイとニシキゴイが感染する病気です。2003年に日本国内への侵入が確認され、2005年までに全都道府県で本病のアウトブレイクが公式に確認されました。本病について、診断法やワクチンによる防除法などが積極的に研究されていますが、病原体であるコイヘルペスウイルスの環境中における動態についてはほとんど明らかになっていません。そこで、感染拡大のプロセスを解明するため、またアウトブレイクの起きる環境と起きない環境の違いを明らかにするため、淡水域における環境改変、水中でのウイルス動態、ウイルスの宿主生物への感染戦略などに関する研究を行っています。これまでに、淡水域におけるコイヘルペスウイルスの定量法を開発したほか、一旦侵入したウイルスはアウトブレイクから数年経ても水域に残存すること、日本のほとんどの河川からウイルスが検出されること、繁殖場であるヨシ帯などの比較的浅い水辺がウイルス伝播のホットスポットであること、環境改変による湖岸の垂直化が水温環境を均一化させること、日内の水温変化に対してコイがストレス応答すること等を明らかにしました。

関連する論文・著書

 

カタユウレイボヤの体内時計に関する研究

尾索動物のカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)は脊椎動物に非常に近いモデ ル生物として研究が進んでおり、そのゲノムもすでに解読されています。ところが、そのゲノム中からはヒトをはじめとする脊椎動物やショウジョウバエなどの 昆虫までが共通して使用する重要な時計遺伝子が発見されません。また、ホヤが概日時計を持つかどうかも明らかにはなっていませんでした。私たちはホヤの時 計機構を探る端緒として、マイクロアレイを用いてmRNAが概日変動する遺伝子を探しました。その結果、多くの遺伝子が概日振動をすることが見いだされ、 カタユウレイボヤが概日時計を持つこと、概日時計の機構がユニークなものであることなどがわかりました。

関連する論文・著書

 

重水を用いた”誤りがちな”PCR法に関する研究

"誤りがちな"PCR(error-prone PCR; epPCR)法は遺伝子にランダムに変異を導入するランダムミューテーション法の変異導入法として、タンパク質工学などの分野で用いられています。私たち は、PCR反応の溶媒として水の代わりに重水(D2OやH218O)を持ちいること で、簡単に変異導入ができる事を見いだしました。なぜ重水を用いると変異導入されるのか、そのメカニズムは現時点では不明ですが、ランダムミューテーショ ン法の新たな技術として今後発展することが期待されます。

関連する論文・著書

ニホンミツバチの感覚生理に関する研究

ミツバチは社会性昆虫であり、ワーカーの女王への奉仕、8の字ダンス、分蜂など、その行動は非常に興味深いものです。 私たちは日本の固有種であるニホンミツバチ(Apis cerana japonica)の視覚や体内時計に関する研究を行って来まし た。これらの研究の結果、ニホンミツバチがキンリョウヘン(シンビジウムの仲間)に訪花する際には視覚が重要な役割を果たすと考えられること、ニホンミツ バチを含む膜翅目昆虫の時計遺伝子periodにはスプライスバリアントがあり、時刻によって、また、器官ごとに発現パターンが違うこ となどを明らかにしました。

関連する論文・著書

魚類の視物質遺伝子に関する研究

魚類はあらゆる水域に生息し、それを取り巻く光環境はバリエーションに飛んでいます。魚類はこのような環境に適応して 優れた視覚を進化させてきました。魚類を含む脊椎動物は一般に複数種類の錐体細胞にそれぞれ異なる視物質を発現させることで色覚を獲得しています。私たち は海と川を往き来する両側回遊魚であるアユ(Plecoglossus altivelis)を材料に網膜内および網膜外で発現する視 物質について研究をおこないました。アユからロドプシン、錐体オプシン、網膜外で発現するVAオプシンなど8種類の視物質遺伝子のmRNA単離に成功し、 それぞれの発現部位を特定しました。その結果、アユでは2種類の緑色感受性視物質が同時に異なる細胞で発現していることなどが明らかになりました。これら の結果はアユを含む魚類の光環境適応機構をあきらかにすための基礎的な知見となります。

関連する論文・著書

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