6. 抵抗性とは
 マツノザイセンチュウは外国産(北米)の線虫です。線虫とのつきあいがたった100年間という日本産のアカマツやクロマツは感 受性が非常に高く、感染すると大半が枯れます。一方、北米原産のテーダマツやストローブマツは抵抗性が高く、接種により枯れる率が低いことがわかっていま す(100%枯れないわけではありません)(二井、古野 1979)。抵抗性であるテーダマツの組織内では線虫の移動と増殖が活発にならないことがわかり ました(Kuroda et al. 1991、黒田1995)。線虫の活動を妨げるような化学物質が組織に含まれている可能性があります。
  抵抗性のテーダマツでも、線虫が組織内に侵入して移動することは可能です。テーダマツ樹幹でも感染により通導阻害の白い斑点ができます(写真-4)。しか しその範囲は非常に狭く、樹木の全身が水分供給不足となるほどには拡がりません(Kuroda et al. 1991)。線虫の活動が活発でなかったために影響が少なかった、病気にはかかったけれど自然に回復したという状態です。ただし、このような抵抗性の種で も、若い苗木に接種すると枯れやすいことがわかっています。
 感受性種のアカマツ、クロマツの中から抵抗性のものを選び出して利 用する「選抜育種」が林木育種センターと多くの府県で進められています(戸田・寺田、2001)。マツがほとんど枯れてしまった林で生き残った少数のマツ は、周囲のほかの個体より抵抗性が高い可能性があります。その個体から穂木をとり、接木で育てます。これを親木として、種子から育てた実生苗に線虫を接 種すると、枯れないマツがたくさん出ます。親木の抵抗性が確認されると、それには家系名がつけられ、採種園を作って種子を採種します。抵抗性家系はアカマ ツでは90家系以上、クロマツでは16家系がすでにあり、苗木の生産が府県等で行われています。ただし今のところ、山地や庭への抵抗性苗の植栽を進めるにはいくつ か問題があります(別項で解説)。積極的利用に向けて、技術的な問題解決のための研究を進めています。

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