火山のような不整地を走行する上で、転落や衝突を完全に避けることは困難である。まして、遠隔操縦でそれを実現するには、多くの開発費と時間が必要となる。
そこで、「ほむら」は最初から転倒することを前提として設計されている。これにより、大幅に開発が容易になると同時に繊細な操縦が不要となり、斜面を半ば落ちるように降りるなどの大胆な運用も可能となる。
具体的には、機体を上下対称として観測機器は内部に積む、構造をシンプルで強固なものとする、などである。
大型の探査機は、開発だけでなく維持、輸送も困難であり、運用する上で非常に手間もコストもかかる。また、高価だと壊れた時のことを考えると、あまり危険でないような観測しか実際にはさせられなくなってしまう。
そこで、「ほむら」は『人一人で持ち運べる』大きさとしてある。また、制作費も無線機を除くと一機10万程度(橋姫)であり、修理や維持も容易である。
「ほむら」は回路部分を含めてすべて自作であり、構造もきわめてシンプルである。このため、メンテナンスが極めて容易な上、高い拡張性を持っている。これは、観測機器・方法を柔軟に選択できるという点だけでなく、開発が容易に行える点でも重要である。
実際に運用するには、以下のような点をクリアする必要がある。
現在、走行性能、転倒への安全、重量についてはほぼ実用的なレベルになってきている。残る問題のうちでも特に遠隔操縦について、改善を試みている段階である。
詳しい現状については、実験レポートにて最近の状況について報告している。