研究概要
私たちを取り巻く環境は様々な汚染物質であふれかえっています。カドミウムや水銀、ヒ素などの重金属、ダイオキシンやポリ塩化ビフェニル、残留農薬などの有機化合物、そしてSOxやNOx、アスベストや放射性化合物など多種多様です。いずれも私たちが豊かな生活を手にするための代償として生み出したものです。
これらの中でも長距離移動性、難分解性、生物濃縮性、毒性を持つ有機化合物は残留性有機汚染物質(Persistent organic pollutants、POPs)と呼ばれ、生産・消費された場所とは離れた地域、例えば北極や南極にまで汚染が及んでいることが知られています。さらに、環境中で微生物による分解作用を受けにくく、脂肪に蓄積しやすい性質を持つため食物連鎖により生物体内に濃縮され、その結果私たちヒトや野生動物に毒性を示します。
これを防ぐため、世界各国が製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理を行ってます。しかしながら残念なことに、POPsに指定する汚染物質を年々増やし、対策を取っているにもかかわらず、POPsによる環境汚染はなくなるどころか増え続けています。
私たちのグループは、このPOPsを環境から取り除くことに加え、食物連鎖に取り込まれないようにする技術の開発を目指しています。特に、生物が持つ洗練された機能(分解、取り込み)に着目し、その分子メカニズムを解明し、応用することにより、安全な作物を確保することができると考えています。
新着ニュース
-
- 2024.4.3
- Salt and Seawater Science & Technology誌に出版された「Quantifying Inorganic Phosphate in Salts Using Capillary Zone Electrophoresis with Transient Isotachophoresis, Fukushi,K., Tsujimoto, J.-i., Hotta, H., Okamura, H., Inui, H., 4, 315-19, 2024」が2023年度日本海水学会最優秀論文賞を受賞しました。
-
- 2024.3.26
- B4河原壮汰くんが卒業しました。M2吉田陽くんが修了しました。おめでとうございます。
-
- 2024.2.10
- Springer NatureのブックシリーズThe Handbook of Environmental Chemistryにおいて、「Remediation of soils contaminated with PFAS: an update on available techniques, pilot studies, challenges and future directions」が出版されました。
-
- 2024.2.1
- Salt and Seawater Science & Technology誌に「Quantifying Inorganic Phosphate in Salts Using Capillary Zone Electrophoresis with Transient Isotachophoresis」が出版されました。
-
- 2023.10.30
- 残留性有機汚染物質や新興有機汚染物質で汚染された土壌の浄化のためのウリ科植物に関する総説論文が、Advances in Botanical Research誌にアクセプトされました。
-
- 2023.10.6
- 第28回生物化学的測定研究会 学術シンポジウムを11月3日(金・祝)に神戸大学農学部において開催いたします。ご興味のある方は是非ご参加ください。
-
- 2023.9.6
- University of Lodz, Faculty of Biolody and Environmental ProtectionのScientific memberに選出されました。
-
- 2023.8.9
- 農学部オープンキャンパスを開催しました。
-
- 2023.8.7-8
- 高校生向けに、植物タンパク質の電気泳動と検出の実習を行いました。
-
- 2023.6.19
- 農学研究科博士後期課程(博士)、前期課程(修士)の学生を募集しています。私たちの研究に興味のある方は是非ご連絡ください。
-
- 2023.6.12
- ズッキーニはその導管液にシグナルペプチドを持たない特徴的なタンパク質を持つことを示した論文が、Journal of Plant Physiology誌にアクセプトされました。
-
- 2023.6.1
- 日本環境化学会第31回環境化学討論会で、M1千歳さんがSETAC Japan Awardを受賞しました。おめでとう!
-
- 2023.5.24
- Bacillus megateriumが持つP450BM3の変異体によるPCBの一種2,3',4,4',5-pentachlorobiphenylの代謝増強に関する論文がScience of the Total Environment誌にアクセプトされました。
-
- 2023.5.1
- ウリ科植物が持つ汚染物質輸送因子MLPのpH依存的結合活性に関する論文がJournal of Pesticide Science誌にアクセプトされました。
-
- 2023.3.24
- B4中條真帆さん、千歳菜摘さん、東駿介くんが卒業しました。M2田中稚紗さん、園田千紘さん、都築治延くんが修了しました。みなさん、おめでとうございます。
-
- 2023.3.14
- Salt and Seawater Science & Technology誌に出版された「Simultaneous Determination of Iodide and Iodate in Salts Using Capillary Zone Electrophoresis with Transient Isotachophoresis, Fukushi,K., Hotta, H., Okamura, H., Inui, H., 3, 37-44, 2023」が2022年度日本海水学会最優秀論文賞を受賞しました。
-
- 2023.2.13
- 昨年、ポーランドUniversity of Lodzで録音したポッドキャスト"Can plants save the world?"が配信されました。12分過ぎから英語でのインタビューです。録音風景も掲載されています。
-
- 2023.2.6
- インディカ米、ジャポニカ米におけるPFASsの分布と曝露に関する論文がEnvironmental Science & Technology誌にアクセプトされました。
-
- 2022.11.25
- 我々が発表した2報の論文が、神戸大学英語版ホームページ、EurekAlert!、Alpha Galileoにおいて、プレスリリースされました(New insight into how long-banned chemicals (PCBs) unleash their toxicity inside the body)。
-
- 2022.11.2
- 我々が発表した2報の論文について、「ポリ塩化ビフェニルの鏡像異性体間で異なる生体内蓄積の原因を解明 ―動物酵素による代謝の構造基盤から―」というタイトルで神戸大学のホームページに紹介されました。
-
- 2022.10.20
- 研究室に滞在中のUrbaniak准教授、Mierzejewska博士との研究活動について、ウッチ大学のホームページで紹介されました。
-
- 2022.10.13
- 農学研究科博士後期課程の学生を募集しています。私たちの研究に興味のある方は是非ご連絡ください。
-
- 2022.9.22
- ポーランドからの研究者2名を受け入れました。
-
- 2022.9.22
- D3藤田健太郎くんが学位取得しました。おめでとうございます!
-
- 2022.9.14
- Polish Academy of Sciences(ポーランド)にて、講演会「Application of Biological Functions of Plants for Monitoring and Remediation of Environmental Pollutants」を開催しました。
-
- 2022.9.2
- シトクロムP450モノオキシゲナーゼによるキラルポリ塩化ビフェニル#183の代謝に関する論文がChemosphere誌にアクセプトされました。
-
- 2022.8.10
- 農学部オープンキャンパスを開催しました。
-
- 2022.8.4-5
- 高校生向けに、植物タンパク質の電気泳動と検出の実習を行いました。
-
- 2022.7.7
- D3藤田健太郎くんが前之園記念若手優秀論文賞を受賞しました。おめでとうございます!この賞は、令和3年に出版した英文雑誌の原著の筆頭著者で、将来神戸大学の研究リーダーとして活躍することが期待できる若手研究者に贈られる賞です。
-
- 2022.6.29
- シトクロムP450モノオキシゲナーゼによるキラルポリ塩化ビフェニル#45と#91の代謝に関する論文がEnvironmental Science & Technology誌にアクセプトされました。
-
- 2022.6.27
- ズッキーニにおけるダイオキシン類の地上部輸送因子として働くメジャーラテックスライクプロテインを正に制御するジンクフィンガープロテイン転写因子に関する論文がChemosphere誌にアクセプトされました。
-
- 2022.5.13
- 作物汚染に重要なズッキーニMLP遺伝子のゲノムにおける同定とその特徴づけに関する論文がMolecular Biology Reports誌にアクセプトされました。
-
- 2022.5.7
- シトクロムP450モノオキシゲナーゼによるポリ塩化ビフェニル#77の代謝に関する論文がScience of the Total Environment誌にアクセプトされました。
-
- 2022.3.25
- B4中村水音さん、吉田陽くんが卒業しました。おめでとう。
-
- 2021.11.17
- ウリ科植物が持つ汚染物質輸送因子MLPによる病原菌耐性の付与に関する論文がPlanta誌にアクセプトされました。
-
- 2021.10.28-29
- 第38回農薬環境科学研究会で研究発表を行い、M1園田さんが優秀ポスター賞を受賞しました。おめでとう!
-
- 2021.10.1
- 3年生3名が研究室のメンバーに加わりました。
-
- 2021.8.30
- Journal of Pesticide Science誌に出版された「High temperatures promote the uptake of hydrophobic pollutants by Cucurbita pepo via altered gene expression levels of major latex-like proteins, Inui, H., Katte, N., Goto, J., Iwabuchi, A., 45(2), 75-80, 2020」に関する日本語概要とその研究背景が日本農薬学会誌に掲載されました。
-
- 2021.8.23
- 我々が発表した論文について、「植物を用いた有機汚染物質の環境モニタリングー動物の化学物質受容体を持つ植物を利用ー」というタイトルで神戸大学のホームページに紹介されました。
-
- 2021.8.12
- アクアフォトミクスによる環境・作物汚染の非破壊適時診断法に関する総説を化学工業8月号に発表しました。
-
- 2021.8.10-11
- 神戸大学附属中等教育学校のKUトライやるを実施しました。
-
- 2021.7.21
- メダカ由来エストロジェン受容体を導入したシロイヌナズナを用いた内分泌撹乱化学物質の環境モニタリングに関する論文がChemosphere誌にアクセプトされました。
-
- 2021.6.26
- キャピラリー電気泳動法を用いた海水中フッ化物イオン濃度の決定に関する論文が、Salt and Seawater Science & Technology誌にアクセプトされました。
-
- 2021.6.10
- ズッキーニ由来major latex-like protein遺伝子を発現した組換えタバコにおける脂溶性汚染物質の輸送強化に関する論文がJournal of Plant Physiology誌にアクセプトされました。
-
- 2021.5.31
- 我々が研究対象としているウリ科植物の有機汚染物質吸収・蓄積メカニズムに関するレビューがReviews in Environmental Science and Bio/Technology誌にアクセプトされました。
-
- 2021.4.1
- 修士1年生1名が研究室のメンバーに加わりました。
-
- 2021.3.25
- M2石田裕子さん、B4田中稚紗さん、園田千紘さん、酒井葵衣さんが卒業しました。おめでとう。
-
- 2021.2.26
- Journal of Pesticide Science誌に出版された「High temperatures promote the uptake of hydrophobic pollutants by Cucurbita pepo via altered gene expression levels of major latex-like proteins, Inui, H., Katte, N., Goto, J., Iwabuchi, A., 45(2), 75-80, 2020」が令和3年度日本農薬学会論文賞を受賞しました。
-
- 2021.2.15
- 我々が研究対象としているMajor latex-like proteinの生物学的機能に関するレビューがPlant Science誌にアクセプトされました。
-
- 2020.11.17
- 日経産業新聞11月17日号先端技術欄に、「農作物汚染、近赤外光で測定」というタイトルで研究成果が紹介されました。
-
- 2020.10.1
- 3年生2名が研究室のメンバーに加わりました。
-
- 2020.9.25
- JST新技術説明会において、「近赤外分光法による環境・作物汚染の非破壊適時診断法」というタイトルで研究紹介を行います。
-
- 2020.7.27
- 「農薬が害虫だけでなく有機汚染物質からも作物を守るーウリ科作物で実証ー」、神戸大学のホームページ、日本の研究.com、EurekAlert!、Alpha Galileoで研究紹介されました。
-
- 2020.7.3
- 農薬散布による脂溶性汚染物質輸送因子と汚染物質の結合阻害を介した安全な作物の生産に関する論文がEnvironmental Pollution誌にアクセプトされました。
-
- 2020.6.20
- 農薬散布による脂溶性汚染物質の輸送に関わる遺伝子発現の抑制を介した安全な作物の生産に関する論文がScience of the Total Environment誌にアクセプトされました。
-
- 2020.3.30
- Pseudomonas aeruginosaによる石油由来n-アルカン、多環芳香族炭化水素の効率的な分解に関する論文がRSC Advances誌にアクセプトされました。
-
- 2020.3.19
- アグロバクテリウムによるシロイヌナズナ染色体DNAへのT-DNA挿入メカニズムに関する論文がGenes and Genetic Systems誌にアクセプトされました。
-
- 2020.2.13
- 日本農芸化学会2020年度大会の分野融合連携シンポジウム「SDGs時代における農薬研究」において、「農薬を利用した環境汚染物質による作物汚染の低減法」という話題で講演します。
-
- 2020.2.10
- 客員教授Mikael Motelica-Heino教授によるセミナーを開催します(2月20日)。
-
- 2020.1.27
- 客員教授としてフランス・オルレアン大学からMikael Motelica-Heino教授を受け入れました。
-
- 2019.12.28
- ウリ科作物において見られる残留性有機汚染物質による汚染が高温下での栽培で促進されるメカニズムに関する論文がJournal of Pesticide Science誌にアクセプトされました。
-
- 2019.12.4
- ウリ科作物と非ウリ科作物において見られる残留性有機汚染物質の異なる取り込みを制御する因子に関する論文がJournal of Plant Physiology誌にアクセプトされました。
-
- 2019.11.21-22
- 第37回農薬環境科学研究会で研究発表を行い、M2藤田くんが優秀ポスター賞を受賞しました。おめでとう!
-
- 2019.10.25-26
- 16th International Symposium on Persistent Toxic Substancesで研究発表を行いました。
-
- 2019.10.1
- 3年生2名が研究室のメンバーに加わりました。
-
- 2019.8.26-30
- 39th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutantsで研究発表を行いました。
-
- 2019.7.19
- JSPS外国人招へい研究者のVladimir Beskoski准教授によるセミナーを開催します(8月19日)。
-
- 2019.7.3
- JSPS外国人招へい研究者としてセルビア・ベオグラード大学からVladimir Beskoski准教授を受け入れました。
-
- 2019.6.12-14
- 第28回環境化学討論会で研究発表を行いました。
-
- 2019.3.26
- M2諏訪瑞季さん、伊藤輝志くん、B4石田裕子さんが卒業しました。おめでとう。
-
- 2019.3.18
- ウリ科作物によるポリ塩化ビフェニル蓄積メカニズムの解明に関する論文がEnvironmental and Experimental Botany誌にアクセプトされました。
-
- 2019.3.13
- 日本農薬学会第44回大会でM1藤田くんが学生優秀発表賞を受賞しました。おめでとう!
-
- 2019.3.1
- 1ヶ月間の滞在となりますが、Ivanka Kradzic教授が研究室のメンバーに加わりました。
-
- 2019.2.7
- 平成30年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(先端型)の支援で、セルビア・ベオグラード大学のIvanka Kradzic教授が1ヶ月間滞在されます。3月6日にセミナー「WOMEN in Serbian Academia - from a personal story to national and global issues -」を開催します。
-
- 2019.1.18
- 乾グループのHPを公開いたしました。