神戸大学大学院 海事科学研究科

堀田研究室


赤外光導波路 抗酸化剤の化学 コスメティック    

  研究室紹介ポスター

 ・ 赤外光導波路による水中溶存CO2の検出 

 大気中の二酸化炭素は、海水に多く溶け込んでいることが知られています。これにより大気中二酸化炭素の濃度の急激な増加を少し緩やかにしていますが、二酸化炭素が海洋に溶け込むことで海洋が少しずつ酸性化していることも指摘されています。海洋中に溶け込んでいる二酸化炭素濃度を観測することは、地球環境を知るための重要な課題の一つなのです。
 二酸化炭素は赤外線を吸収します(そのため地球温暖化の一因と言われています)。気体中の二酸化炭素の定量には、赤外線吸収がよく利用されています。一方、水中に溶解した二酸化炭素を測ることは容易ではありません。二酸化炭素は水中で炭酸水素イオン(HCO3-)、炭酸イオン(CO32-)に電離し、二酸化炭素分子(CO2)と平衡状態にあります。このように平衡状態でCO2として存在するものを選択的に検出することを目的として研究を進めています。
 一般的に水中に存在している化学物質の赤外吸収を検出することは容易ではありません(多量に存在する水の赤外吸収が非常に大きいため)。そこで、本研究室では、疎水性膜を利用したセンサー膜を作製し、赤外光導波路分光測定法という検出システムを用いて、水中に溶存するCO2を選択的に定量できるシステムを作製しています。
 サファイアロッド(ファイバー)の表面にテフロンAFなどの疎水性膜を成膜します。このサファイアロッドに赤外光を導入すると、サファイアロッドに入った光は、サファイアと疎水性膜の界面を全反射して進んでいきます。これが光導波路と呼ばれるものです。この全反射の際に極わずかに疎水性膜内に浸みだす光が存在します。それが、エバネッセント波と呼ばれるもので、このエバネッセント波を疎水性膜内に侵入したCO2をが吸収することで赤外吸収スペクトルが観察されます。
装置写真導波路の原理概要図吸収スペクトル
 


 ・ ポリフェノールの酸化還元反応の解析 

 

 我々は酸素が多く存在する環境下で生活をしています。酸素は窒素などと比較して反応性の高い物質で、いろいろな化学物質との間で化合物を作ったり、電子移動を起こしたりします。つまり、いろいろな化学物質と反応し、それらを異なる物質(状態)に変化させます。このような反応(酸化)を防ぐ物質として酸化防止剤と呼ばれるものが、広く身の回りで用いられていますが、生体内で作用する酸化防止剤を特に抗酸化剤というような呼び方をします。抗酸化剤にもいろいろな作用が存在しますが、ポリフェノールと呼ばれる化合物群はラジカル化合物(不対電子をもつ活性の高い化合物)と直接反応し、ラジカル化合物による望まない酸化反応から生体を防御する作用を担っていると言われています。

 ポリフェノールとは、構造中にフェノール性水酸基を複数もつ化合物の総称ですが、フラボノイド類(カテキン、イソフラボンなど)やフェノール酸類(クロロゲン酸、カフェイン酸など)をはじめ、その他様々な化合物が知られています。これらの化合物は、生体内で自身が生体組織の身代わりとなり酸化されることで、生体自身を守る働きをしています。そのようなポリフェノールですが、それらの詳細な反応機構は非常に複雑であることから、解明されていないものが多くあります。そこで、本研究室では、ポリフェノールをはじめとする抗酸化剤の酸化還元(電子移動)反応を電気化学的手法、分光科学的手法、分離分析手法、質量分析などの計測技術を駆使して明らかにすることを目的として研究を進めています。

 抗酸化剤の新たな機能発掘、活性評価法の新規開発などを目指して検討を進めています。

 
   ・ グリーンケミカル技術を用いたコスメ開発 

  神戸大学科学技術イノベーション研究科 イノベーティブ・コスメトロジー共同研究講座のテーマ
    紹介ページ(大学時事メディカル神戸新聞
 
 本学・科学技術イノベーション研究科の辻野教授と共同で、グリーンケミカル技術をベースにしたコスメの開発研究を行っています。イノベーティブコスメトロジー共同研究講座のHPはこちら