基本コンセプト
「誰もが排除されることなく、幸せな人生を送ることができる社会」。これが、私たちがめざしているものです。たいへん遠大な理想ですが、私たちが日々の生活の中で悩んでいる身近な課題でもあります。
特に私たちは、「障害」という切り口から、このミッションに向かっています。決して「障害」の問題だけを扱うのではありません。「障害」はあくまでも切り口です。社会にある諸問題は、すべて複合的な要素をもっています。私たちの実践では、「障害」の問題を主題にしていますが、同時にジェンダー、民族、所得格差、いじめなど、実践の中でさまざまな社会的排除の問題と出会っています。それらの問題を仲間と共に悩みながら考え、行動していこうとする取り組みです。
取り組んでいる主な問いは、次のようなことです。
・具体的な社会的排除と認められる状況について、その原因を洞察しつつ、状況改善の方法を探ります。
・具体的な社会的排除と認められる状況を深く知り、解決を指向することで、一般的な社会的課題を発見し問題提起を行います。
・特に知的障害の問題に着目することで、「障害の社会モデル」「合理的配慮」の具体的な内容を検討し、これらの概念を磨きます。
・「誰もが排除されることなく、幸せな人生を送ることができる社会」という目標について、東アジア文化圏の特徴を背景とした理論構築をめざします。
【津田研究室の教育理念・教育目標】
津田研究室では、共に実践的研究に取り組むことを通して、学生たちが次の諸力を伸ばすことを支援しています。
・他者を理解するスキル、他者の置かれている状況やその背景を理解するスキル(観察力、想像力、対話力、洞察力)
・省察的実践力(実践を通して考える力、省察を通して実践を向上させる力、省察を通して自己理解を高める力)
・他者に対して開かれた身体の共鳴力、他者を歓待する力、他者と共に楽しむ力
・省察的実践を通した研究を行う実践的研究能力
【卒業生に期待したい人物像】
・意味のある社会的使命を自らに課して、ライフワークを持つことができる仕事人。
・人と人をつなぐ専門性を生かした省察的実践者。
・世代の繋がりを深く感受し、自分の世代の責任を視野に入れた生き方のできる地球市民。
【募集】
・津田研究室は、学部教育としては、神戸大学国際人間科学部発達コミュニティ学科社会エンパワメントプログラムに最も深く関わっています。神戸大学国際人間科学部発達コミュニティ学科に入学し、2年次に社会エンパワメントプログラムを選択します。
・短期大学、大学を卒業された方、あるいは大学などの高等教育機関の2年次在学以上の方は、編入学試験を受験し、3年次から社会エンパワメントプログラムで学ぶことができます。
大学院(博士前期課程/博士後期課程) (1年制コース・2年制コース/人間発達環境学研究科教育・学習専攻学び系)
・博士前期課程1年制コースは、高度専門職業人育成プログラムです。仕事やボランティア活動などでの豊富な経験を生かして、さらにステップアップする機会として活用できます。
・博士前期課程2年制コースには、新卒の大学生や社会人など幅広い層から、「インクルーシヴ社会支援」について学ぶ意欲のある学生を募集しています。
・博士後期課程は、博士論文を書こうとする意欲と能力をもっている方に開かれているコースです。
海外から「研究生」の申請をされる方へ
研究室が取り組んでいる研究の性質上、留学生の教育には積極的に取り組んでいます。研究ネットワークの観点から、特に韓国からの留学生を優先しますが、その他の国からの申請も受け付けます。
申請の受理は、次の点を充足させていただくことを条件とします。
・TOFFELあるいはTOEICを受験したことがあり、一定の水準をクリアしていること。
・日本語能力試験N1に合格していること。
・私たちの研究室での取り組みと関連させて、申請者の問題関心、研究したい内容について、日本語あるいは英語でまとめる力をもっていること。
以上3点については、メールでの申請時に証明するものを添付してください。三点目については日本語で1600字以上、英語であれば450 words以上の小論文を必ず自分自身で書いてください。必要条件の添付がないメールには返信しません。添付内容を見て基準に満たないものは、受け入れをお断りさせていただきます。また、添付内容が基準を満たしている場合は、インターネットを介した面接などを経て、受け入れを決定させていただきます。
なお、受け入れ人数は、年に1名までとしますので、能力面で条件に合っている場合でも、受け入れができない場合があります。