11月頃からオーストリア国立銀行の、どんな模様だとか、どんな透かしが入っているかといったEuro(ドイツ語ではオイロ)紹介のパンフが銀行やスーパーに置かれ始めました。12月15日にお試しコインセットの販売(1月まで使えませんが)があり、オイロ・コインの塗装をした機関車が走り、スーパーの値段がオイロ表示になっていき、オイロ登場の間近さを感じるようになりました。クリスマス用にオイロの包み紙のチョコレートを見つけたので思わず買ったりもしました。でも、1オイロ=13.7603シリングというとんでもなく換算しにくいレートなので(マルクだと2で割るとおよそのオイロ価格が出てくる)、誰もスーパーのオイロ表示は気にしていません。
12月31日、いよいよ前日。市庁舎前のジルヴェスター・フェスタの入り口は、オイロ登場一色。1月1日午前0時から両替を始めるブースも建てられました。
そしていよいよ1月1日。午前0時は我が家で打ち上げ花火を見ていたのでどんな感じだったのかよく分かりませんが、後でテレビを見ると、ブースでは国立銀行総裁自らが両替係りをなさっていました。
12月31日でほとんどシリングを使い切ってしまったので(正確に言うと使ったつもり。後で1,000シリング札が机から出てきた)、小澤指揮ウィーンフィルのニューイヤーズ・コンサートをテレビで見て(楽友協会のパイプオルガンにユーロ模様に花が飾られていましたね)、早々にオイロを引き出しに行きました。オーストリアは1月1日でATMのお金を全部オイロに入れ替えるという話しだったのですが(ドイツは80%)、やっぱり本当にオイロが出てくるかちょっと不安。しかし出てきました。うす緑の100オイロ札とピンクの10オイロ札が。
そして仕事始めの2日。一大トラブル発生。記録的な数の現金引出しが行われたため(2日間で30万件強だそうですが)、Bancomatのメイン・コンピュータがダウン。オーストリア中の2,700台のATMが動かなくなってしまいました。3日も4日もATMが止まっているのを見かけました。たいへんです。
お札は大きさも色も違うのでいいのですが、コインが分かりにくい。50、20、10セントコインが金色、5、2、1セントコインが銅色。わずかに大きさが違うとは言え、ちょっと見ただけでは分かりません。もともと2シリングや20グロッシェンのコインがなかったので、お札やコインの種類が増えたのとあわせて、ただいま混乱状態。お店の人もまだまだコインを間違えています。やっと慣れた頃に帰国でしょうね。
3日、スーパーで100オイロ札を出したら、おつりのお札が十分にないので、10オイロ札を出せと言われ、4日、今度は机の中から出てきた1000シリング札を出したら、なぜか「ダメ」と言われてしまいました。直前のおばさんの1000シリング札は受け取っていたのに?キオスクのおじさんは、朝日新聞のオイロ価格(3.50)は覚えていましたが、日経はまだ覚えていませんでした。一から値段を覚え直さなければいけない、キオスクのおじさんたちはたいへんです。
「域内で価格差くっきり」という3日付の記事を載せた、その日経のお値段。オーストリア5.00ユーロ、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スペインが4.50ユーロ、イタリアが4.20ユーロ。私は一番高い日経を読んでいることになりますねぇ。
ユーロへの切り替えは値上げのチャンスですが、日本ほどではないにしても、オーストリアを含めヨーロッパも景気後退中。ということで、どちらかというと端数切捨てで割安感を出す広告が目に付きます。息子の幼稚園代ですが、3,050シリングだったのが、220オイロになって、1.65オイロの値引き。とは言え、これまで10グロッシェン(100分の1シリング)の単位からしか使ってこなかったオーストリアの人がいつまで1セントや2セントの小銭を使い続けられるでしょう。ほとぼりが冷めた頃に端数切り上げになるのでは、というのが私の予想。当たるでしょうか?(*)
自動販売機や公衆電話はまだまだシリングしか使えません。カールスプラッツという大きな地下鉄の駅の切符の自動販売機では2台がオイロ、1台がシリングでしたが、小さな駅ではシリングの自動販売機だけ。シリングは3月には使えなくなるので、シリングとオイロの両方を使えるようにする必要もなく、オイロ専用機に置き換わるのを待てばよいのでしょう。しかし、ここの人たちはそれほどお金を持ち歩く習慣がないので、1週間もあればほとんどの人がオイロ両替済みになると思うのですが、このテンポに自動販売機の置き換えスピードが追いつくか?
そして、これから他の国の見慣れないオイロとセントのコインが入ってきます(コインは表は共通ですが、裏は各国がデザイン)。さてさてどうなりますか。まだまだ実験は続きます。
(*)1月10日、妻が楽友協会のクロークを利用した際、以前は12シリングだったので87セントのはずですが、1オイロを渡したところ10セントしかお釣りをくれなかったそうです。シリングのときはちゃんとお釣りをくれていたのですが。
パート1
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