第58号(2009年9月号[09/9/1発行])
9月に入り、あれほど賑やかだった蝉の代わりに、気がつけば、蜻蛉が舞い、夜には秋の虫の音色が聞こえるようになりました。気温も随分と下がり、過ごしやすくなってまいりましたが、夏の疲れは残っていないでしょうか。昼間と夜で気温が大きく変わることにより、風邪などを引きやすい時候でもありますので、リウマチ患者の皆様には、くれぐれもご自愛くださいますようにお願いします。
自然災害に備えましょう(予備の薬を用意しましょう)
昨年は、神戸市灘区の都賀川での集中豪雨による鉄砲水で5名が犠牲になり、2004年には台風23号により兵庫県内の広範な地域で大きな被害が生じましたが、これらがまだ記憶に新しい中、先月9日に、兵庫県では佐用町を中心とした地域で台風9号の接近に伴う豪雨による水害が起き、20名以上の方が犠牲となるとともに多くの住居が被害を受けました。犠牲者のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
台風や局地的な豪雨(ゲリラ雨)による洪水や地震などの自然災害の危険は、私たちの周囲に常に存在しています。いよいよ台風の本番の季節を迎えて、お近くの避難場所と避難経路の確認、防災用品の点検など、ご家族と一緒に、改めて災害対策を検討して下さいますようにお願いします。また、リウマチのみだけでなく、薬が必要な持病をお持ちの皆様は、薬を持って速やかに避難できるように、常用している薬の少なくとも1週間分は予備として、すぐに持ち出せる状態でポーチなどに入れて保管していただきますようにお願いします。
また、災害とは関係なく、予約日に外来を受診できなくなる場合もあることから、季節を問わず、予備の薬をお持ちくださいますようにお願いします。もし、予備の薬が全くない場合には、次回の外来で主治医に処方をご依頼ください。なお、薬には使用期限がありますが、個々の薬には記載されていないため、予備の薬は新たに処方された薬と常に入れ替えて、先に貰った順から使用するようにお願いします。
新型インフルエンザ第3報:ワクチンについて
新型インフルエンザ(インフルエンザA型(H1N1))の流行は終息することなく、再び拡大してきており、冬になれば、大流行となることが危惧されています。先日来、厚生労働省において新型インフルエンザ対策の会議が開かれています。日本リウマチ学会は8月25日に、抗リウマチ薬や生物学的製剤、ステロイド剤などを治療に使用している関節リウマチ患者さんについても優先接種の対象となるように厚生労働省に要望を出しております。しかし、この原稿を作成している8月31日の時点では、新型インフルエンザ対策に必要なワクチン量は輸入することにより確保される見込みと報道されていますが、ワクチン接種の実施要領はまだ決定されておりません。
ワクチン接種の実施要領が決定されましたら、もちろん、整形外科リウマチだよりでも速やかに皆様にお知らせしますが、すでに新型インフルエンザの流行は拡大しているにも関わらず、実際にワクチン接種が始まるのは、もう少し先になります。ですので、現時点で可能な予防対策として、(1)うがいと手洗いの徹底した実施、(2)人混みへの外出を避ける、(3)十分な睡眠、栄養、水分を取って体力と健康を維持する、(4)罹患が疑われる場合にはマスクの使用や咳エチケットを行う、などが重要です。これらの予防法は、新型インフルエンザだけではなく、通常の風邪やインフルエンザにも有効です。皆様には、最新の正確な新型インフルエンザ情報を入手して行動して下さいますようにお願いします。なお、抗インフルエンザ薬は発症48時間以内に使用を開始する必要がありますので、 新型インフルエンザの罹患が疑われる場合には、予め電話等で受診の方法を問い合わせた上で、速やかにお近くの医療機関を受診いただきますようにお願いいたします。
看護とリハビリテーションの教育と研究へのご協力をよろしくお願いします
整形外科リウマチ外来及びリウマチ教室には、神戸大学医学部保健学科の学生が、さまざまな形で参加しております。より良いリウマチ治療の実践のためには、優れたコメディカルスタッフの育成と、看護やリハビリテーション領域におけるリウマチの研究が欠かせません。患者の皆様には、お手数をお掛けしますが、趣旨をご理解の上、大学病院において欠かすことのできない教育と研究に、是非ご協力頂けますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催しております。
教室は、12月を除く毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。お手数ですが、最新のリウマチだより(整形外科外来中待合のラックからご自由にお取り下さい)、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予め確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。
教室は、予約不要で参加費無料です。他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療、教育関係者の方々もご参加いただけます。教室では、毎回、さまざまに異なった話題を取り上げております。どなたでも気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。
さて、9月のリウマチ教室では、糖尿病認定看護師である杉根尚子看護師から多くのリウマチ患者さん悩みを持たれている足のお手入れの仕方(フットケア)について、講演していただく予定ですので、是非、ご参加下さい。10月は都成医療ソーシャルワーカーから高齢者施設について、11月は澤村義肢製作所の義肢装具士と整形靴技術者から、リウマチの足底装具や靴型装具について、それぞれ講演を予定しています。皆様のご出席をスタッフ一同お待ちしております。
それでは皆様、新型インフルエンザや台風など心配事も多い時期ではありますが、味覚の秋、スポーツの秋、読書の秋など、それぞれの秋を忘れずに楽しんでくださいね(ただし、うがいと手洗いも)。
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