第59号(2009年10月号[09/10/1発行])
 10月に入り、すっかり秋らしい気候となってまいりました。天気の良い日が多く、本来なら行楽に出かけるのに最適の時期ですが、今年は新型インフルエンザのために、外出を控えておられる患者さんもおられるかと思います。外出して運動量を増やすことは、筋力や骨量の維持と、気分転換の観点からも重要ですので、体調の良いときは、感染予防対策をしっかりと実施した上で、外出して秋を満喫してください。

新型インフルエンザ第4報:ワクチン接種について
 先月号でもお話しましたが、新型インフルエンザ(インフルエンザA型(H1N1))の流行は続いており、学級閉鎖の話もしばしば聞くようになってきました。重要なインフルエンザ予防対策であるワクチン接種は、10月下旬から開始予定と報道されておりますが、この原稿を作成している10月1日の時点では、まだ、実施の詳細について厚生労働省から発表されておらず、具体的な実施要領は私たち医療従事者にも全くわからない状態です。
 免疫抑制剤を使用されているリウマチ患者さんは、優先順位3番目の優先接種の対象者になると考えられていますが、具体的にどの医療機関が接種を実施するのかは発表されておらず、また、優先接種の対象者をどのようにして証明・確認するのかも通知されておりません。さらに、接種回数が1回なのか2回なのか、また、季節性インフルエンザのワクチンと同時に接種するかどうかなど、さまざまな情報が交錯しております。ですので、まずは、公的機関(厚生労働省、地方自治体、保健所など)からの最新の情報を毎日確認していただき、実際に接種が開始された時点では速やかに接種を受けて頂くようにお願いします。
 ただし、ワクチンだけが予防方法ではありません。(1)うがいと手洗いの徹底した実施、(2)人混みへの外出は控える、(3)十分な睡眠、栄養、水分を取って体力と健康を維持しておくことは、新型インフルエンザだけではなく、通常の風邪やインフルエンザにも有効な基本的な予防法ですので、必ず実施して下さい。また、万一、新型インフルエンザの罹患や発病が疑われる場合には、早期治療が受けられるように速やかにお近くの医療機関を受診いただきますようにお願いいたします。なお、詳細は9月号の「新型インフルエンザ第3報」を参照してください。

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP®)について
 肺炎球菌は細菌性肺炎の原因となる最も頻度が高い細菌です。新型インフルエンザの出現に伴い、インフルエンザや風邪をこじらせて肺炎球菌による細菌性肺炎になるのを防ぐために、今年は肺炎球菌に対するワクチン接種が積極的に行われています。肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP®)は、接種による感染の恐れがない不活化処理された細菌の一部などで作られている不活化ワクチンですので、メトトレキサート(リウマトレックス®)などの免疫抑制剤を使用しているリウマチ患者さんも接種を受けることができます。また接種すると通常5年間はその効果が持続すると考えられています。
 肺炎球菌ワクチンは一部の小児を除いて、健康保険の適応になりませんので、全て自費での接種となりますが、ニューモバックスNP®は大学病院でも接種することができ、その場合の費用は約5,000円です。ただし、世界的な需要の急増に製薬会社の供給が追いつかず、現在、ニューモバックスNP®は大学病院でも品切れとなっています。再入荷は10月下旬の見込みとのことですので、接種を希望される患者さんは主治医まで予めご相談ください。

整形外科における教育・研究・治験へのご協力をよろしくお願いします
 日頃、大学病院における学生教育、臨床ならびに基礎研究、そして治験に御協力いただいておりますことに深く御礼申し上げます。より良いリウマチ治療を実践するためには、優れたスタッフの育成、研究の発展、そして新薬の開発が欠かせません。そこで当科では、
1. 新規生物学的製剤の治験  2. 画像的治療効果に関する研究 3. 生物学的製剤使用時の安全性調査
4. 療養と患者教室に関する調査 5. 発病の仕組みに関する研究
などのリウマチに関する様々な研究と治験を、現在実施中あるいは近日中に開始予定です。
 皆様には、大学病院の特性をご理解いただいた上で、整形外科での教育、研究、そして治験に、今後ともご協力頂けますように、どうぞよろしくお願いいたします。
 
整形外科リウマチ教室のご案内
 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、予約不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療、教育関係者の方々もご参加いただけます。
 10月のリウマチ教室では、都成医療ソーシャルワーカーに、高齢者施設に関する様々な情報について、ご講演頂く予定です。11月は澤村義肢製作所の義肢装具士と整形靴技術者から、リウマチの足底装具や靴型装具についての講演と展示を予定しています。皆様のご出席をお待ちしております。
 12月は年末につきリウマチ教室はお休みです。来年1月より再開を予定しておりますので、お楽しみに。
これからのリウマチ教室の予定 

第1回神戸海星病院リウマチ教室のご案内
 この度、関連病院である神戸海星病院整形外科/リウマチ・人工関節センターと、神戸大学整形外科リウマチ診療部門との共催で、より多くのリウマチ患者さんとご家族の皆様に出席頂けますように、複数の講演をまとめて土曜日にリウマチ教室を開催することとなりました。日頃、平日の教室に参加することが困難な皆様も是非ご参加ください。
日時:2009年11月14日(土)午後2時-4時30分 ( 午後1時30分開場 )
会場:神戸海星病院 北棟6階 大会議室 (〒657-0068 神戸市灘区篠原北町3丁目11-15)
演題:「リウマチの薬物療法2009、リウマチ手指の外科的治療、リウマチ体操と運動療法のポイント、
            リウマチから教えて貰ったこと」 詳細は別紙案内をご参照ください。
参加費は無料ですが、定員60名ですので、事前に電話でお申し込みください。
申込先:神戸海星病院 地域医療連携部  電話:078-871-5201

翌月のリウマチだよりはこちら 
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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)