第54号(2009年5月号[09/5/7発行])

新型インフルエンザについて

 新型インフルエンザとしてブタインフルエンザが大きな話題になっています。リウマチ患者さんには、厚生労働省からの正確な情報に基づいて、冷静に対処頂きますようにお願い致します。

 ブタインフルエンザ(インフルエンザA型(H1N1))はA型インフルエンザウイルスによって起きるブタの病気で、通常、ヒトでは発症しませんが、今回メキシコなどでヒトへの感染が報告されています。ブタインフルエンザは、通常のインフルエンザと同様に飛沫性感染によって広がり、通常のインフルエンザと同じような症状を引き起こすと考えられています。

 ブタインフルエンザの感染を避けるためには、現時点では未だワクチンは開発されておりませんので、うがいと手洗いの実施、マスクの使用、咳エチケットを行うとともに、十分な睡眠、栄養、水分を取って、体力と健康を維持しておくことが重要です。これらの予防法は、通常の風邪やインフルエンザの予防法と何ら変わりません。万一、ブタインフルエンザに罹患してしまっても、通常のインフルエンザの治療薬であるオセルタミビル(タミフル®)やザナミビル(リレンザ®)を適切な時期に使用開始すれば有効であると考えられています。ですので、もし、インフルエンザが疑わしい症状がある場合、医療機関のどの窓口を受診すれば良いか、予め電話で確認し指示を受けた上で速やかに受診してください。ちなみに、豚肉やハムなどの豚肉加工品からブタインフルエンザに感染することはありませんので安心して食べて頂いて結構です。

 日頃からお願いしておりますが、メトトレキサート(リウマトレックス®)、タクロリムス(プログラフ®)などの免疫抑制剤や生物学的製剤を使用中の患者さんは、インフルエンザに限定されず感染症には、人一倍注意して頂く必要がありますので、くれぐれも油断されることなく、うがいと手洗いを励行して下さい。なお、今号のリウマチだよりに掲載した情報は今後変更になる場合がありますので、最新の情報に常に注意を払って下さいますようにお願いします。

レントゲン撮影のお願い

 関節リウマチの症状に大きな変化がなくても、少なくとも1年に1回は、手、足、胸、その他関節症状のある部位のレントゲン写真を撮影して画像診断を行うことは、リウマチの進行具合を正確に評価し、また、肺などの合併症を発見するために非常に有用です。ですので、前回のレントゲン撮影から1年以上開いてしまっている場合には、薄着になって着替えがしやすいこれからの時期に、撮影させて頂きたく思いますので、ご協力いただけますようにお願いします。また、骨粗鬆症の検査である骨塩定量も同時に行うことが可能です。次回の受診日に合わせて、レントゲンや骨塩定量の依頼を診察時にコンピューターに入力させていただきますので、診察前に撮影を済ませておくようにお願いします。

日本リウマチ学会参加報告

 4月23日から26日までの4日間、第53回日 本リウマチ学会学術集会が東京で開催され、整形外科リウマチ診療グループ医師全員が出席して4つの発表を行いました。学会においては、昨年関節リウマチに 使用が承認されたトシリズマブ(アクテムラ®)に関する発表など生物学的製剤に関する発表が多数行われていました。今回の学会出席で得た知見を活かして、 皆様に最善の治療を提供できるように微力を尽くして頑張りたいと思います。


整形外科外来看護スタッフ交代のお知らせ

 小村看護師が退職され、4月から、伊藤看護師が新たに整形外科外来に加わりましたので、日高副看護師長、村田看護師とともに、よろしくお願いいたします。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催しております。

 教室は、12月を除く毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。お手数ですが、最新のリウマチだより(整形外科外来中待合のラックからご自由にお取り下さい)、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予め確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。

 教室は、予約不要で参加費無料です。他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療、教育関係者の方々もご参加いただけます。教室では、毎回、さまざまに異なった話題を取り上げております。何度も参加されている皆様は、教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものや処置はできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、当科での治療をご希望の場合は、かかりつけ医を通じて初診予約を取って頂いた上で、水曜日の整形外科リウマチ外来を受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、5月のリウマチ教室では、患者支援センターの都成医療ソーシャルワーカーから介護保険の仕組みや利用に関する講演を行っていただく予定ですので、是非ご参加ください。6月はリハビリテーション部の井上理学療法士から、関節拘縮や筋力低下、骨粗鬆症の予防に重要なリウマチの運動療法に関する講演を、7月は栄養管理部の篠原管理栄養士から、リウマチ患者さんに有用な食事療法に関する講演を、それぞれ予定しています。皆様のご出席をお待ちしております。


これからのリウマチ教室の予定


 季候の良いこの時期、外出を楽しんで下さい。でも、うがいと手洗いはくれぐれもお忘れなく。


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