第53号(2009年4月号[09/4/1発行])

アクテムラ®副作用報道について

 2009年3月17日付けの新聞などで、昨年4月に関節リウマチ治療に対して承認された、生物学的製剤トリシズマブ (商品名アクテムラ®)の副作用について報道がなされました。報道の内容は、「厚生労働省により義務づけられた市販後調査により、承認後10ヶ月間にアクテムラ®を使用された4915人の患者さんのうち、肺炎など副作用の疑いがある死亡された患者さんが15人いることが明らかになったため、注意喚起を行っている」というものでした。近年、新薬承認後に行われる市販後全例使用成績調査では、薬を使用された全ての患者さんにおける有効性と、些細な不都合から重篤な副作用まで、綿密に調査しています。今回報道された内容は、製造・発売している製薬会社から、処方しているリウマチ専門医に対して、継続的に報告されており、特に新しい事実が判明した訳ではありません。また、アクテムラ®使用中の患者さんの死亡率は、他の抗リウマチ薬を使用している場合と比較して明らかな違いは現在までに報告されていませんので、アクテムラ®が他の薬より特に危険であるという訳ではありません。しかし、良く効く抗リウマチ薬には免疫抑制などの副作用のリスクが常にありますので、この報道を良い機会として、患者さんが薬の恩恵を最大限受けることができるように、薬が持つ良い面と悪い面に、より一層の注意を払いながら使用していきたいと思います。なお、現在、アクテムラ®を使用されていて副作用などがご心配な場合には、遠慮なく、主治医までご相談ください。


リウマチ友の会加入へのお誘い

 リウマチ患者さんに対する福祉と医療の厳しい状況は、改善されるどころか、毎年悪化しているようにすら感じる今日この頃です。その中で、新薬承認の促進、専門病院の拡充、患者さん同士の交流や情報交換などに、リウマチ患者さんにより設立された日本リウマチ友の会は、大きな役割を果たしています。神戸大学整形外科リウマチ診療部門では、従来から、リウマチ友の会の活動を積極的に支援しております。近年、インターネットなどで簡単にリウマチに関する情報を入手することが可能になりましたが、その中身は玉石混淆であるために、患者さんがご自身で正しい情報を見極めるのは、決して容易なことではありません。友の会の会誌「流(ながれ)」は、リウマチ専門医が患者さん向けに寄稿している大変充実した内容の雑誌で、会員に送付されています。さらに、友の会の兵庫支部からは、支部報「くすのき」が発行されています。現在ご加入でない皆様は、新年度となりましたことをきっかけに、是非、友の会へのご加入を検討くださいますようにお願いします。入会案内は、整形外科外来にも用意しておりますので、必要な方は、主治医あるいは看護師にお声かけください。

問い合わせ先:社団法人 日本リウマチ友の会

住所:〒101-0047 東京都千代田区内神田2-7-7 新内神田ビル3階(月曜〜金曜 9:30〜16:30 土・日・祝日休)

電話番号:03-3258-6565


新規生物学的製剤の治験のご案内ならびに御礼(再掲)

 整形外科リウマチ診療部門では、 国内外で開発が進められている2種類の抗リウマチ生物学的製剤に対する3つの治験を、昨年末から行ってまいりました。皆様のおかげで、このうち1種類の薬に対する2つの治験は、全国で定数に達しましたので、募集を終了させて頂きました。治験への協力を申し出頂いた皆様に深く御礼申し上げます。また、せっかくお申し出頂きましたのに、条件が一致せず、ご参加頂けませんでした皆様にお詫び申し上げます。

 なお、少し遅れて始まりました、もう1種類の薬の治験は、まだ定数に達しておりませんので、引き続き、ご参加頂ける患者さんを募集しております。新しい抗リウマチ薬を誕生させるためには、リウマチ患者さんやご家族の協力による治験の実施が必須です。治験に興味をお持ちになられた患者さんには、治験コーディネーターから、詳細をご説明させて頂きますので、主治医までお声掛けいただけますように、よろしくお願い申し上げます。



整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催しております。

 教室は、12月を除く毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。お手数ですが、最新のリウマチだより(整形外科外来中待合のラックからご自由にお取り下さい)、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予め確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。

 教室は、予約不要で参加費無料です。他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療、教育関係者の方々もご参加いただけます。教室では、毎回、さまざまに異なった話題を取り上げております。何度も参加されている皆様は、教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での治療をご希望の場合は水曜日の整形外科リウマチ外来を受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、ゴールデンウィーク中の4月のリウマチ教室では、 三浦准教授から、平日に参加が難しいご家族を対象にして、自身のご家族がリウマチを患われた場合に知っておくべきリウマチに関する情報と療養のポイントに関する講演を、特殊な用具を使って行う高齢者疑似体験と併せて実施する予定ですので、ご家族同伴でご参加ください。5月は、患者支援センターの都成医療ソーシャルワーカーから介護保険に関する講演を、6月はリハビリテーション部の井上理学療法士から関節拘縮や筋力低下、骨粗鬆症の予防に重要なリウマチの運動療法に関する講演をそれぞれ予定しています。是非、ご出席ください。


これからのリウマチ教室の予定


 それでは、皆様、桜の美しいこの時期、外出して体と心をリフレッシュしましょう。


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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)