第51号(2009年2月号[09/2/1発行])

タミフル®耐性インフルエンザが流行しています

 今年も厳しい冬が続いておりますが、整形外科リウマチ外来に通院中の皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。冬の寒さは関節リウマチによる痛みを悪化させる原因のひとつですので、寒さを防ぐために暖かい服装をされるのは良いのですが、下半身が着ぶくれしてしまうと、歩きにくくなって転倒する原因になりますので、部屋をできるだけ暖かく保っていただき、室内では厚着は避けるようにお願いいたします。さて、現在、流行しているインフルエンザのうち、50%超はインフルエンザの治療薬であるタミフル®(リン酸オセルタミビル)が効かないタミフル®耐性のAソ連型インフルエンザウイルスによるものと報告されています。タミフル®が効かなくても、同じくインフルエンザの治療薬であるリレンザ®(ザナミビル水和物)が効く場合もありますが、内服薬であるタミフル®に対して吸入薬であるリレンザ®は使用法が難しいという欠点があります。ですので、インフルエンザには予防が何よりも重要であることを改めて意識していただき、人混みは避ける、外出時はマスクを着用する、帰宅したら、すぐにうがいと手洗いを十分に行うなどの、予防措置をしっかりとっていただくようにお願いします。

また、患者さんご本人だけではなく、ご家族の皆様も一緒に、うがいと手洗いを行ってください。

万一、かかってしまった場合には、どちらの治療薬を使用する場合も、症状が出てから48時間以内に治療を開始する必要がありますので、速やかにかかりつけ医にご相談ください。


身体障害者補助犬をご存じですか?

 当大学病院には、お体の不自由な方と一緒に身体障害者補助犬がしばしば来院しています。身体障害者補助犬とは、特殊な訓練を受けて認定された目、耳、身体が不自由な方のために働く、盲導犬、聴導犬、介助犬の3つの総称です。国内では、盲導犬は996頭(昨年3月現在)、介助犬は44頭(昨年12月現在、うち兵庫県内には4頭)、聴導犬は18頭(昨年12月現在、うち兵庫県内には1頭)が実働しています。補助犬のうち介助犬は、肢体不自由により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために、物の拾い上げや運搬、着替えの補助、起立や歩行時の支持、扉の開閉、スイッチの操作、緊急の場合における救助の要請などを行う犬で、リウマチ患者さんが使用される場合もあります。

 2002年10月に、良質な補助犬の育成と、施設などの利用の円滑化により、身体障害者の自立及び社会参加を促進することを目的として、身体障害者補助犬法が施行されましたが、補助犬に対する社会的認知は、まだ十分とは言えません。補助犬法により、国、地方公共団体、公共交通事業者、不特定多数の人が利用する施設は、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならないこと、民間事業主及び民間住宅の管理者も、補助犬を拒まないよう努めなければならないことが定められていますが、飲食店等での補助犬の同伴拒否がなかなかなくならないのが現状です。それどころか、大変残念なことに、兵庫県が、法の趣旨に反して公共施設において補助犬の同伴を拒否したことが、昨年末に新聞等で報道されました。補助犬を使用する身体障害者には、補助犬の清潔と健康を保つ義務が科されており、公衆衛生上の心配はありません。一方で、犬好きの方の中には、補助犬とペットとの違いに認識が乏しく、補助犬の仕事を妨げてしまう場合も見受けます。補助犬は補助犬と明記されたゼッケンをつけて使用者と外出している間は、一見休んでいるように見えても常に使用者と周囲の状況に注意を払って仕事をしています。どんなにかわいくても、補助犬には、決して触ったり声をかけたりして注意をそらすようなことをせず、そっと遠くから見守って心の中で応援してあげて下さい。補助犬への皆様の温かいご理解とご協力をお願いします。


新規生物学的製剤の治験のご案内(再掲)

 整形外科リウマチ診療部門では、2種類の抗リウマチ生物学的製剤に対する治験を、実施しています。治験参加に興味をお持ちになられた患者さんには、是非、主治医までお声掛けいただけますように、お願い申し上げます。お一人でも多くの患者さんにご協力をいただけましたら幸いです。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催しております。

 教室は、12月を除く毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。お手数ですが、最新のリウマチだより(整形外科外来中待合のラックからご自由にお取り下さい)、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予め確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。

 教室は、予約不要で参加費無料です。他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療・教育関係の方々もご参加いただけます。毎回の話題は、関節リウマチの治療法、健康維持法が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。繰り返し参加されている皆様は、教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での治療をご希望の場合は水曜日のリウマチ外来を受診していただきますようにお願いいたします。

 さて、2月のリウマチ教室では、大学院保健学研究科の大沼氏に、臨床検査技術と検査値に関する講演を行っていただく予定です。3月は、精神科医の三好先生から、心の健康に関する講演を、ゴールデンウィーク中の4月は、三浦准教授から、日頃、平日に開催される教室には参加が難しいご家族に向けて、リウマチの療養に関する講演を、6月はリハビリテーション部の井上理学療法士からリウマチの運動療法に関する講演を、それぞれ予定しています。是非、ご出席ください!


これからのリウマチ教室の予定


木の芽が雪の中でもたくましく育つように、寒い日であっても、ご自宅で運動療法に努めていただき、筋力をしっかりと維持して、春が来た際には、元気に外へでかけましょう。


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神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)