第49号(2008年12月号[08/12/1発行])
冬将軍がやってくる!
ルミナリエの時期を迎えて、寒さは一段と厳しくなって参りました。冬の寒さは、梅雨の湿気とともに、リウマチの関節痛を悪化させてしまいます。とはいえ、厚着をしますと、関節が動きにくくなって、転倒の原因となることもありますので、省エネルギーとは相反する部分もありますが、暖房で室温を十分に高く保っていただき、室内では薄着で過ごしていただきますようにお願いいたします。また、体感温度を高め、ウイルスの飛散を防ぐ効果がありますので、加湿器の併用をご検討ください。換気も忘れずにお願いします。手足の関節が冷えて痛む場合に、使い捨てカイロなどを使って局所的に温めるのは有効ですが、長時間利用すると、低温火傷を起こす危険がありますので、貼り付けたままにしておくことはお勧めできません。外出先では、思いの外、暖かい場合ありますので、汗をたくさんかいてしまわないように、こまめにコートやセーターを脱ぎ着して調節をしてください。万一汗をかいてしまった場合には、すみやかに、下着を着替えていただきますようにお願いします。ところで、インフルエンザワクチンの接種は、もうお済みになりましたか。兵庫県内でも、インフルエンザ発生件数の増加が報告されています。ワクチンの接種後、効果が出るまで約2週間かかりますので、受ける予定でまだ受けておられない方は早急に接種を受けることをお勧めします。詳しくはリウマチ便り11月月号を参照してください。なお、インフルエンザワクチンは、感冒などインフルエンザ以外のウイルスによる病気には全く効果はありませんので、外出から帰宅されましたら、うがいと手洗いを、毎回励行していただきますようにお願いします。
さて、大学病院は、12/29(月)から1/4(日)まで休診になりますので、12/31(水)のリウマチ外来と1/1(木)の生物製剤外来は休診です。感冒などの、通常の急病に関しましては、各自治体から広報されている休日診療を行っている医療機関に、予め診療の可否を問い合わせの上受診してください。免疫抑制剤や生物学的製剤を使用されているリウマチ患者さんで、肺炎などが疑われて緊急に診療が必要な場合には、救急部や他の診療科と協力して、整形外科当直医がリウマチ担当医と相談の上対応させていただきます。
新規生物学的製剤の治験のご案内
整形外科リウマチ診療部門では、現在国内外で開発が進められている2種類の抗リウマチ生物学的製剤に対する3つの治験を、10月下旬から開始いたしました。「治験」とは、新しい薬を世に送り出すために、「薬の候補」が持つ、人における効き目(有効性)と副作用(安全性)を調査する「臨床試験」のうち、厚生労働省から「薬」としての承認を得るために行われる試験のことを言います。今回治験が行われている生物学的製剤は、レミケード®やヒュミラ®に類似した薬と、国内では悪性リンパ腫の薬として、海外ではリウマチ薬としても用いられるリツキサン®に類似した薬で、それぞれ、高い有効性が期待されています。製薬会社と医療従事者の努力と、リウマチ患者さんやご家族の協力、この両方があって初めて、新しいリウマチ薬を誕生させて患者さんのお役に立てることが可能になります。治験においては、一層の安全性の確保と、治療にかかる経済的負担の軽減、さらには、効果が不十分な場合の対策などに特別の配慮がなされています。リウマチ便りを読まれて、治験に興味をお持ちになられた患者さんには、詳しくご説明させて頂きますので、主治医までお声掛けいただけますように、お願い申し上げます。ただし、治験に参加いただくには、いくつかの条件を満たす必要があります。ですので、せっかく、お申し出を頂いても、参加できない場合がございますので、その際はどうかご了承ください。なお、今回の3つの治験のうち、1つは全国での参加者数が定数に達しましたため、11月中に募集を終了いたしましたが、他の2つは引き続き、募集中ですので、お一人でも多くの患者さんにご協力をいただけましたら幸いです。また、これまでに参加のお申し出を頂いた皆様に、深く御礼を申し上げます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より、整形外科リウマチ教室を開催しております。
教室は、12月を除く毎月最終木曜日、午後1時から2時に、定期的に開催しております。ただし、事情により、最終週に開催が困難な場合には、他の週に変更させて頂いております。お手数ですが、最新のリウマチだより(整形外科外来中待合のラックからご自由にお取り下さい)、あるいは、大学病院ホームページで、日時と会場を予め確認の上、ご来院いただけますように、お願い致します。
教室は、予約不要で参加費無料です。他の医療機関や診療科で治療を受けておられる患者さんやご家族、医療・教育関係の方々もご参加いただけます。毎回の話題は、関節リウマチの治療法、健康維持法が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。繰り返し参加されている皆様は、教室を、患者相互や、患者と医療従事者の交流の場としても活用されておられますが、どなたでも気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、できるだけ検査結果や薬のリスト、レントゲン写真などをご持参ください。ただし、教室では、診察そのものはできません。リウマチかどうかわからない場合は、まずは、お近くの医療機関で診察と検査を受けて頂きますように、また、当科での治療をご希望の場合は水曜日のリウマチ外来を受診していただきますようにお願いいたします。
さて、今月12月は年末につき、リウマチ教室はお休みです。年明け1月のリウマチ教室では、三浦准教授から、実際の人工関節をお持ちして、手術の適応、方法、リハビリ、注意点などについてお話させていただく予定です。近年の人工関節手術の進歩は著しく、痛みを軽くして日常生活動作を大きく改善させることができるようになっています。関節リウマチの方だけではなく、変形性関節症でお悩みの方も、是非、ご参加ください。2月は、大学院保健学研究科の大沼氏から、臨床検査技術に関する講演を、3月は、精神科医の三好先生から、心の健康に関する講演を、ゴールデンウィーク中の4月は、三浦准教授から、日頃、平日に開催される教室には参加が難しいご家族に向けて、リウマチの療養に関する講演を、それぞれ予定しています。
スタッフ一同、全力を尽くして参りますので、来年も、整形外科リウマチ教室に、ご期待ください!
それでは皆様、楽しいクリスマスと良い新年をお迎えください。
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