第28号(2007年3月号[07/3/1発行])


 3月に入って、随分と暖かい日が増えてまいりましたが、当外来に通院中の皆様は、いかがお過ごしでしょうか。この冬も暖冬だったとはいえ、強い風が吹き、厳しく冷え込む日もありましたので、春の訪れを心待ちにされていたことと思います。この時期は、もう暖かいとはいえ、季節の変わり目であり、一日の気温の変化が激しいことから、皆様には、引き続き体調管理にお気遣いいただきますとともに、温暖な天候を活かして、手軽な運動を楽しんでいただきますようにお願いします。

 運動をされると、日中は汗ばむこともしばしばですので、カーディガンやトレーナーなどを重ね着をしておいて、暑すぎず寒すぎないように、こまめに脱ぎ着していただくようにお願いします。汗をかいてしまったままで放置しておきますと、春とはいえ、体が冷えて、風邪をひいてしまう場合もありますので、適宜、汗を拭いて、下着を着替えてください。また、早くもスギなどの花粉が飛散しています。リウマチ以外に花粉症などのアレルギーをお持ちの場合は、アレルギー症状が出現する前に、かかりつけ医に相談して、必要であれば、抗アレルギー剤の処方を受けてください。

 もちろん、温暖な気候には良いところも一杯です。まず、薄着になることにより、体が動きやすくなり、転倒の危険が減少します。また、個人差がありますが、寒さによる関節痛の増悪がなくなって、運動しやすくなります。さらに、花々が咲き、新緑が目に入り、外出が楽しくなるこの時期、運動量が増えて、筋力、関節可動域、適正な体重の維持がしやすくなります。

 ところで、春は、何か新しいことを始めるのに、最適の季節ではないでしょうか。今年こそはと思い立って、まだ実行できていないこと、例えば、毎日の運動や新しい趣味などがありましたら、心機一転、スタートされてはいかがでしょう。

リウマチガイドなどの小冊子を配布しています 

 関節リウマチについて、患者様向けにやさしく記載された「リウマチガイド」という小冊子(B6版、全76ページ、2005年発行)を整形外科外来に用意しております。症状、合併症、薬物療法、手術、リハビリテーションなどの、関節リウマチ全般について、幅広く記載されています。各項目に十分に詳しいとまではいきませんが、リウマチについて、基本的な知識を深めるのには非常に有用です。これまでも、リウマチ教室、あるいはリウマチ外来初診時に配布してまいりましたので、既にお持ちの方もおられると思いますが、ご希望の患者様は、主治医あるいは外来看護師にお申し出ください。また、「関節リウマチの患者さまと家族の皆様へ、医療・福祉制度ガイドブック」(B5版、全20ページ、2006年改訂)、「関節リウマチの薬について」(B5版、全16ページ、2006年第3版発行)、「リウマチ患者さんのための、暮らしのアドバイスノート(改訂版)」(A4版、全16ページ、2006年発行)などの小冊子もご用意しています。


整形外科リウマチだよりWeb版の公開を開始しました(再掲)

 近年、インターネットは飛躍的に進歩し、コンピューターを通じて自宅からでも、旅行の予約や、ニュースの閲覧などが、大変簡単にできるようになりました。一方で、ネット上には、治療の難しい病気に関して、真偽のはっきりしないさまざまな情報もあふれています。また、ネットでの情報発信には、病院を訪れる皆様だけでなく、不特定多数の方が閲覧されるための難しさがあり、慎重に検討して参りましたが、ご要望にお応えして、先月より、「神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)」のインターネット上での試験公開を始めました。2006年8月以降のバックナンバーや、リウマチ教室の予定なども掲載しております。以下のホームページアドレスからアクセス下さい。

http://www2.kobe-u.ac.jp/~ymiura/index.html


リウマチ教室の報告とご案内

 寒い気候にもかかわらず、1月と2月のリウマチ教室へ、連続して30名を超える、多くの患者様やご家族の皆様に出席頂きましたことを、スタッフ一同、深く感謝しております。リウマチ教室への手応えを、これまで以上に強く感じ、今後、ますます充実させていく所存で頑張っております。これから、気候も良くなりますので、まだ、参加されたことがない患者様も、是非、お来しいただけましたら幸いです。

 2月の松田真一氏の講演では、関節リウマチの基礎研究が行われている大学の研究室を、研究器械や実験動物の様子なども含めて、実際に研究室訪問をしていただいたような雰囲気でお見せしました。世界中の研究者が、学会発表や、論文の出版を通じて、さまざまな情報交換を行い、切磋琢磨して、より良いリウマチ治療の開発に携わっていることを、実感いただけたかと思います。もちろん、基礎的な研究から、新しい治療法が実現するまでには、多くの年月と莫大な費用がかかり、また、海外で開発された治療法が国内で承認されるまでに、さらに時間を要することが多いため、患者様やご家族も、医療従事者も、歯痒い思いをすることもありますが、リウマチの治療法は、薬物療法も整形外科的手術も、一昔前より飛躍的に進歩しております。ですので、従来の治療法や保存的治療で十分な効果が得られない場合に、新しい薬物療法や手術の適応があるかどうか、主治医と良くご相談ください。

 さて、3月は、保健学科膠原病学講座の柱本照助教授から、関節リウマチと睡眠というテーマでお話し頂く予定です。4月は、日本リウマチ学会が横浜で開催されますので、教室は臨時にお休みとさせて頂きます。申し訳ありませんが、どうぞ、ご了承ください。

 5月は、三浦助教授から、リウマチや変形性関節症による関節破壊に対して、広く行われている人工関節手術について、皆様に人工関節の実物を手にとっていただきながら、お話したいと思います。手術を勧められたけれども、不安で受けることを躊躇われている患者様がおられましたら、手術がどのようなものなのか知っていただく良い機会ですので、是非、ご参加ください。また、当日の講演終了後に、手術に関する個別相談を予定しております。相談の際に、読影希望のレントゲン写真等があればご持参ください。


 散歩が楽しい季節になってきました。日中の暖かい時間帯には、どんどんと外出して、疲れない、痛まない程度に散歩して、運動量を増やすように努めましょう。それでは続きは次号にて。


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