第23号(2006年10月号[06/10/1発行])


 10月に入り、随分と涼しくなりました。秋らしく過ごしやすい毎日ですが、リウマチ外来に通院中の皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。さて、秋と言えば、スポーツの秋、味覚の秋、芸術の秋など、いろいろとありますが、国民体育大会が兵庫県で開催される今年は、特にスポーツに関心が集まっています。スポーツ(sport)という言葉は、もともと、中世の英語のdesportあるいはdisportの短縮語で、「おもしろく遊ぶ、仕事をやめる」などの意味であり、スポーツの本質は「気晴らし、レクリエーション、娯楽、遊技」です。決して、激しい競技スポーツに限定されたものではありません。中高年の方や、お体の不自由な方や、リウマチ患者様も、無理のない範囲で楽しみながら、こころとからだの健康作りのために、この秋は、是非、スポーツを始められてはいかがでしょうか。


学生の臨床実習へのご協力ありがとうございました

 8-9月の夏休み期間中、学生の臨床実習に、多くのリウマチ患者様にご協力いただき、ありがとうございました。診療と研究と教育の3つを同時に担う大学病院では、日頃から、多くの医療系学生(医師、看護師、臨床検査技師、作業療法士、理学療法士、薬剤師、診療放射線技師など)が、実際に診療の場で、患者様を通じて貴重な実習経験をさせて頂いております。整形外科リウマチ外来では、4年前から休暇期間中の自主的な参加プログラムとして、リウマチ外来の臨床実習を、熱意ある学生に対して行ってまいりました。この夏の実習に参加した学生から、感想文が寄せられていますので、その一部を皆様に紹介させて頂きたいと思います。

「今回の見学にあたり、初期体験実習でも患者さんとは直接触れ合う機会のなかった私にとって、今回の病院見学は楽しみであると同時に、とても緊張するものでした。患者さんにとっては、見知らぬ未熟な学生が診察室にいるのは、不快であるか邪魔なだけだろうと思っていたからです。しかし、実際に患者さんと対面してみると、患者さんたちはとても快く未熟な私に関節などを触らせて下さった上に、最後の患者さんにいたっては、私が見学を終えて受付の前を通った際に挨拶までして下さいました。本当に有難いことで、感謝の気持ちでいっぱいになりました。」

「患者さんにはいろいろな人がいて、病状も性格もその人を取り巻く環境もさまざまであり、それぞれいろんな想いで病院へ来ているということがよくわかりました。(中略)今回の体験を通じて得た、「自分は命にかかわる仕事を目指しているのだ」という自覚を絶対になくさないでいたいと思います。そして同時に、私は今、自分がいかに甘く勉強不足であるかということを痛切に感じています。残りの夏休みを有意義に使い、勉強しなおすつもりです。」

「腫脹した関節や変形した手指、足指を触らせていただいたり、じっくり見せていただいて、学生の勉強に快く協力してくださった患者さんにとても感謝しています。関節の少しぶよぶよした感触などは実際に触れてみないと分からない上、手や足の変形、皮膚症状などは教科書で勉強していた時には正直うまく想像できていなかったのですが、自分の目で見て触れることでよく分かりました。また、薬の副作用のために新しい薬を使うことを考えなければならない患者さんもおられて、その薬の効果は大きい反面、かかるコストや副作用などの問題があり、一筋縄ではいかないことを改めて感じました。今まで「そういう問題もあるんだな」という程度にしか軽く考えていない自分が恥ずかしくなり、もっと関心をもって考えなければならないと思いました。」

 若い学生たちは、このような貴重な経験を経て、より勉学に励むことにより、将来、良き医療従事者となっていくことと思います。今後も、学生教育へのご理解をご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。


医療制度の改定について

 10月1日から医療制度改革関連法案が一部施行されました。当リウマチ外来でも、高額療養費制度の適応を受けておられる患者様と、70才以上の「現役並み所得者」、「新たな課税世帯」の患者様が、特に影響を受けられることと思いますので、改定の要点を概略させていただきます。

 高額療養費制度は、70才未満の一般的な標準所得者の場合、高額療養費の毎月の限度額が、従来の72,300円から80,100円に引き上げられ、過去12ヶ月に高額療養費の支給を3回以上受けている場合の4回目以降の規定額も、40,200円から44,400円に引き上げられました。

 70才以上で一定以上の所得がある場合、すなわち、年収が夫婦世帯で520万円以上、単身者で383万円以上の患者様の外来窓口負担は、現役並み所得者として、従来の2割から3割に引き上げられました。また、その場合の毎月の外来の自己負担限度額は、従来の40,200円から44,400円に引き上げられました。ただし、平成18年8月の税制改正で新たに一般から現役並み所得者に区分が変わった場合の、毎月の自己負担限度額は、一定の条件を満たせば、最大2年間、経過措置の適応となる場合があります。

 また、70才以上で、老年者に係る住民税非課税措置の廃止により、非課税世帯から、新たに課税世帯となる場合、外来の毎月の自己負担限度額は、8,000円から12,000円に引き上げられましたが、経過措置として、その世帯の70歳以上の非課税者については、最大2年間据え置かれます。なお同じ世帯内でも課税者と非課税者で、違う負担区分となる場合が生じます。


 それでは、皆様、それぞれお好みの「○○の秋」をお楽しみ下さい。


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