第22号(2006年9月号[06/9/1発行])
9月になり少し涼しくなりましたが、まだ、厳しい残暑が続いております。二学期が始まり、お子様やお孫様が学校に戻られて、一息つかれている患者様もおられることと思います。この時期、バランスの良い食事と十分な睡眠をとり、夏の間に疲れが貯まったお体をいたわって頂きますようにお願いします。
風邪をひいたらリウマトレックスは飲まないでください
今年も夏風邪が大流行しましたが、メトトレキサート(リウマトレックス(R)など)を内服中のリウマチ患者様が風邪ををひかれてしまった場合は、自己判断をせずに、必ずお近くのかかりつけ医を受診して診察を受けるとともに、風邪が治るまで、リウマトレックスの内服を中止してください。これは、リウマトレックスは免疫抑制剤であるため、風邪や肺炎などの病原体に対する抵抗力を抑えますので、結果として、風邪を治りにくく、かつ、こじらせて肺炎などに、なりやすくしてしまいます。風邪が治るまでの1-2週間、リウマトレックスを休んで頂いても、関節リウマチの症状はほとんど影響をうけません。これまでも機会があるごとにお願いしておりますが、実際には、リウマトレックスを休薬しなければならないことを忘れてしまう、あるいは知っていてもリウマチが悪くなるのが心配で休薬されない、リウマチ患者様が多数おられますので、リウマトレックスを必ず休薬して頂きますようにお願い申し上げます。
リウマトイド因子測定値の変動について
リウマトイド因子(リウマチ因子、RF)の測定に、大学病院をはじめ、多くの病院で用いられているBNシステム(デイドベーリング社)のRF標準物質が、RF国際標準品から乖離している(ずれている)ことが、臨床検査部の調査の結果明かになりました。そこで、大学病院では、本年7月15日より、乖離のない新しい標準物質を用いてリウマトイド因子を測定しています。その結果、2003年4-5月頃から2006年7月までの検査値と比較して、リウマトイド因子の数値が約1/2に是正されました。正常値<15 IU/mlは変更ありません。つまり、本年7月中旬以降に受けられた検査では、それ以前に受けられた検査と比較して、リウマトイド因子の数値が半分程度に下がりますが、これは、リウマチの具合の変化を表しているのではなく、検査の標準物質が変更されたことによるものです。リウマトイド因子は、関節リウマチの診断基準のひとつで、大切な検査項目ですが、我々リウマチ外来担当医は、関節の状態や、レントゲン写真、その他の多くの検査項目により、総合的に診断を行っておりますので、リウマトイド因子の数値だけが半分程度に下がっても、診断結果や治療方針への影響は極めて限られています。ですので、患者様がご心配される必要はありませんが、疑問点がありましたら、遠慮なく、主治医までお尋ねください。
かかりつけ薬局を持ちましょう
医薬分業の観点から、大学病院では、院外処方箋を発行して、患者様にお近くの調剤薬局(保険薬局)で薬を受け取っていただく院外処方が基本になっています。院外処方を行うことにより、複数の医療機関で薬を処方されている場合や、市販薬を使用されている場合に、薬が重複していないか、飲み合わせが大丈夫かなどのチェックを、薬剤師が行うとともに、薬の使用歴や副作用を記録して、服薬指導を行うことにより、薬の安全性を高めることができます。しかし、複数の調剤薬局を利用されていたり、一部の医療機関で院内処方を受けていると、情報を集約できないため、せっかくの調剤薬局の機能を十分に発揮することができません。そこで、通いやすく相談しやすい調剤薬局を「かかりつけ薬局」として決めて頂き、そこで全ての薬を受け取ることが重要となります。大学病院からどんなに遠方にあっても処方箋は通用します。日頃の体調の変化を相談できる「かかりつけ医」と同様に、お薬について気軽に相談できる「かかりつけ薬局」を持たれるようにお願いします。お近くの調剤薬局がわからない場合には、薬剤部でお探しすることができますので、主治医または外来看護師にご相談ください。なお、院外処方箋の有効期間は、発行日を含めて4日以内で、それを過ぎると無効になりますので、ご注意下さい。
外来化学療法室でのレミケード点滴のご案内
診療報酬改定に伴い、関節リウマチに対する生物学的製剤であるインフリキシマブ(レミケード(R))の外来での点滴を、外来化学療法専用の外来化学療法室で、より安全かつ快適に行うことが可能となりました。外来化学療法室は、専任の薬剤師と専門看護師が常勤する、点滴専用のリクライニングソファー、電動ベッド及び液晶テレビ(有料)などを備えた施設で、外来診療棟3階にあります。整形外科では、8月より、完全予約制で、3回目以降のレミケードの点滴を、木曜日午前に外来化学療法室で行っておりますので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。なお、詳細は、対象になる患者様に直接ご説明申し上げます。
今年も、すでにたくさんの台風が発生しています。悪天候のために病院を受診できない場合がありますますので、1週間分程度の予備の薬をお持ち頂くようにお願いします。お持ちでない場合は、主治医にご相談ください。それでは、元気に残暑を乗り切っていきましょう。
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