第210号(2022年5月号[22/5/1発行])
リウマチ患者さんの靴の選び方
5月に入り、様々な花を眺めながらの散歩が楽しい時候となりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。散歩をするには足の具合が良いことが必要ですので、先月のリウマチ教室で佐藤義肢装具士からお話頂いたリウマチ患者さんの靴の選び方についてお伝えさせていただきます。
日本リウマチ友の会の2020年の調査によれば、81.5%のリウマチ患者さんが靴についての悩みを持っている、あるいは持っていたことが明らかになっています。また、靴の相談先として最も多いのは靴屋さんの20.6%で、それより多い37.8%は誰にも相談されていません。リウマチ患者さんの足の関節の炎症が続くと、関節が破壊されて、足趾や足、足関節の変形が生じてしまいます。そして、靴や中敷きが足の状態に合っていないと、症状が悪化したり、傷ができたり、歩きにくくて、気分も下がってしまいます。そのため、リウマチ患者さんにとっては靴選びがとても重要です。
靴には①外出するため、②おしゃれをするため、③症状を悪化させないため、④足を守るため、という目的があり、それらに適った靴選びが必要です。靴や中敷きには既成品とオーダーメイド装具があり、既成靴には手軽に購入できデザインが豊富ですが、足の状態に完璧に合ったものを探すのは容易ではありません。一方で、オーダーメイド装具では足の状態に合ったものを治療目的で製作することが可能ですが、完成までに時間が掛かる、デザイン性に劣るなどの短所があります。
ご自身の足を観察してみて、靴を脱いだときに赤くなっている部分がないか、また、靴を観察してみて、靴底が偏ってすり減っていないか、足趾の付け根の関節の部分に大きな折跡がついていないか、後ろから見て歪んでいないか、中敷きに足趾の跡が着いていないか、穴があいていないかを確認することで、現在履いている靴が適切かどうかを判断する参考にすることができます。
既成靴を選ぶに当たっては、①現在履いている靴や中敷きを観察し、②どんな機能が必要か考えた上で、③靴屋さんに行って、実際に靴を見て、触って、履いて、歩いて、選ぶことが必要です。靴に触る際には、内側の素材が硬すぎないか、本体の素材が柔らかすぎないかを、履く際には、座ったときと立ったときの両方で当たって痛い箇所がないか、歩く際には、当たって痛い箇所がないかに加えて,安定感があるかを確認することが大切です。その上で、既成靴では、トゥボックス(つま先部分)の高さが足りない、内側の素材が柔らかいものが見つからない、傷のある部分に当たる、新たに傷ができるなどの問題がある場合には、オーダーメイド装具の適応となります。
オーダーメイド装具の作成においては、①使用目的、②症状・病態・既往歴・手術歴、③生活様式、④着脱方法を考慮し、インソール(足底装具、足挿板、中敷き)が良いか、靴形装具(整形靴)が良いかを決定します。インソールは、①足アーチの支持、②荷重時の足底圧の分散・除圧、③下肢アライメントの補正を目的としますが、靴形装具はインソールの機能に加えて、④炎症のある足関節の保護、⑤炎症・変形のある足趾の保護、⑥外的保護も行うことができます。
靴形装具の作成は、①義肢装具士による採型・採寸、②足の状態に合わせた修正、③仮合わせ、デザインの相談、④再修正、の各過程を経て、完成まで約1ヶ月を要します。足の状態に合った靴や中敷きを使用することは足に良いばかりでもなく、気分の面でも良い効果が期待できます。
現在使用している靴について疑問や不安がある場合、また、オーダーメイド装具についてご質問がある場合には、遠慮なく、主治医や義肢装具士までご相談ください。
整形外科リウマチ教室のご案内
神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので予めご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
さて、2020年3〜5月のリウマチ教室は新型コロナウイルス感染症の流行防止のため開催を中止させていただきましたが、2020年6月から会議システム(Zoom)を用いてオンラインに変更してリウマチ教室を開催しています。さらに2020年9月からはZoomのブレークルーム機能を使用して個別相談も再開しています。当面の間、オンラインでの開催を続ける見込みですので、自宅からご参加ください。
5月のリウマチ教室では、検査部の大沼技師から、臨床検査についてお話させて頂きますので、ぜひご参加ください。
オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができれば、当院への通院の有無にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。
なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加はメールでの事前申し込み制とさせていただきます。
オンラインリウマチ教室のスケジュール(2022年5月-2022年8月)
日時:2022年5月26日(木)13:30-14:30(第4木曜日です)
演題:「臨床検査とは?〜リウマチやコロナウイルスについての検査のはなし〜」
講師:検査部 大沼 健一郎 主任臨床検査技師
司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:https://forms.gle/tt87MuTzg42jK5iY6
日時:2022年6月30日(木)13:30-14:30(第5木曜日です)
演題:「リウマチとお口の管理の必要性」
講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士
司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:https://forms.gle/CEBFXKEHN2Am5x7fA
日時:2022年7月21日(木)13:30-14:30(第3木曜日です)
演題:「長引くコロナ禍において心も身体も健康でいるために~身体活動や運動を通じて~」
講師:リハビリテーション部 奧村 真帆 理学療法士
司会:三浦 靖史 准教授
参加登録先:https://forms.gle/dVr4P8mWCsqgLYPi7
日時:2022年8月25日(木)13:30-15:00(第4木曜日、終了時間が異なります)
演題:「リウマチ患者さんとのおしゃべり会」
司会:三浦 靖史 准教授、アシスタント:保健学科学生
参加登録先:https://forms.gle/qz8yErHFcb6HNo2s7
オンラインリウマチ教室参加申し込み方法
開催前日の17:00までに、グーグルフォーム(上記の「参加登録先」をクリック、あるいはQRコードをスマートフォンやiPadで読み込んでください)から参加登録いただきますようにお願いします。
前日の申し込み締め切り後に、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスを登録ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2022.5.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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