第207号(2022年2月号[22/2/1発行])
オミクロン株が猛威を振るっています
寒い日が続きますが、皆様、体調にお変わりありませんでしょうか。新型コロナウイルスのオミクロン株による感染が現在、急速に拡大しています。ですので、ワクチンの3回目接種を含む感染予防対策を徹底くださいますようにお願いします。
エンブレル®の電動式自己注射器エンブレル®クリックワイズが
薬価収載・発売されました
世界で初めて登場した抗リウマチ生物学的製剤である、完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤エタネルセプト(商品名:エンブレル®、製造販売:ファイザー)は、2005年に日本で発売が開始された当初は、自己注射に際して、患者さんが注射器に注射針を取り付け、アンプルから規定の量の注射用水を吸引してキャップを外したバイアルに注入し、バイアルを振って薬剤を溶解した後、再度、注射器に吸引し、気泡抜きを行ってから注射をするという、患者さんの負担になる多くの準備が必要でした。しかし、2008年に、溶解不要なプレフィルド(充填済み)シリンジ製剤が発売されて、溶解の手間が不要になりました。さらに、2013年に50mgの自動注射器(ペン型製剤)が発売され、気泡抜きが不要で、針先を見ることなしに、注射器を押し当ててボタンを押すだけで注射ができるようになりました。ただ、しばらくの間、50mg製剤にしかペン型製剤がありませんでしたが、2018年に、25mgのペン型製剤も発売され、より多くの患者さんがペン型製剤を使用することが可能になりました。このように、エンブレル®は剤形の改良が続けられてきたことに加えて、より多くの方が、より簡単に自己注射できるように、補助グリップやアタッチメントなど、様々なデバイスによる工夫も追加されてきました。
昨年8月に、電動式自己注射器エンブレル®クリックワイズと専用のカートリッジが新たに承認され、本年1月に薬価収載され発売が開始されました。薬価は、エンブレル®皮下注25mgクリックワイズ用0.5mLが12,296円、同50mg1mLが23,922円で、ペン型製剤25mgの12,026円、50mgの23,640円と大差ありません。ただし、クリックワイズの使用に際しては、在宅療養指導管理材料加算の注入器加算(300点)が算定されます。
エンブレル®クリックワイズは、3年間あるいは160回のいずれか早い方までの期間再利用可能で、握りやすいように大きなグリップを持ち、注射手順をディスプレイに表示したり、専用のスマホアプリと連携して記録を取ったり、注入速度を調整できるなど、これまでのペン型製剤でできなかった様々な機能が付加されています。さらに、専用カートリッジはペン型製剤より小型になり、冷蔵庫内での保管スペースを削減することも考慮されています。当院でのエンブレル®クリックワイズならびに専用カートリッジの採用は未定ですが、関心のある患者さんは主治医までご相談ください。
エンブレル®皮下注25mgペン0.5mL(上段)と
同クリックワイズ用カートリッジ(下段)の比較
エンブレル®クリックワイズ本体
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、療養や治療に関する個別相談の時間を設けております。ご希望の方は、オンラインで開催の場合、参加登録時に事前に申し込み下さいますようにお願いします。また、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などを手元にご準備ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、2020年3〜5月のリウマチ教室は新型コロナウイルス感染症の流行防止のため開催を中止させていただきましたが、2020年6月から会議システム(Zoom)を用いてオンラインに変更してリウマチ教室を開催しています。さらに2020年9月からはZoomのブレークルーム機能を使用して個別相談も再開しています。なお、2022年1月から個別相談は事前予約制とさせていただいていますので、ご了解いただけましたら幸いです。当面の間、オンラインでの開催を続ける見込みですので、自宅からご参加ください。2月のリウマチ教室では、三浦准教授から、若いリウマチ患者さんが関わる様々なライフイベントへの対応についてお話させて頂きますので、ぜひご参加ください。
オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができれば、当院への通院の有無にかかわらず、どなたでもご参加いただけます。
なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加はメールでの事前申し込み制とさせていただきます。
オンラインリウマチ教室のスケジュール(2022年2月-2022年3月)
日時:2022年2月17日(木)13:30-14:30(第3木曜日です)
演題:「若いリウマチ患者さんに向けて:妊娠などのライフイベントへの対応」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加申し込みはこちら
日時:2022年3月17日(木)13:30-14:30(第3木曜日です)
演題:「関節リウマチと変形性関節症に対する人工関節置換術について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
参加申し込みはこちら
オンラインリウマチ教室参加申し込み方法
開催前日の17:00までに、グーグルフォーム(上記の「参加申し込みはこちらから」をクリック、あるいはQRコードをスマートフォンやiPadで読み込んでください)から参加登録いただきますようにお願いします。
前日の申し込み締め切り後に、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスを登録ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2022.2.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
翌月のリウマチだよりはこちら
リウマチだよりのリストに戻る
神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)