第195号(2021年2月号[21/2/2発行])

新型コロナウイルス感染症(その12):緊急事態宣言とワクチン接種について

厳しい寒さと、春を思わせる暖かい日が交互にやってくる体調管理が難しい気候が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。さて、昨年末からの新型コロナウイルス感染症の流行の再燃に対して、感染の拡大防止のために、兵庫県においては1月14日より2月7日までの期間で緊急事態宣言が行われています。しかし、1月31日時点において県内で111人の新規感染者数が報告されており、2月2日に緊急事態宣言の3月7日までの延長が発表されました。

昨年の年始に国内での新型コロナウイルス感染症の発生が報告されてからすでに1年が経過し、長期に渡って緊張を強いられる大変な生活が続いておりますが、ワクチン接種の話題が徐々に具体化してきており、診療に際してご質問をいただくことが増えてきました。1月25日に日本リウマチ学会から、新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する患者さん向けの情報「COVID-19ワクチンについて」が公表されましたので、リウマチ性疾患に関する3項目を抜粋して紹介させて頂きます。

Q1:関節リウマチや膠原病の患者はワクチンを接種すべきでしょうか?

A:ワクチンを接種するかどうかは、接種のリスクと感染のリスクを比較して決めることになります。


新型コロナウイルス感染後、重症化しやすいリスクとしては高齢者、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満があげられます。年齢ですが60歳代の重症化率は30歳代の25倍になると報告されています。日本リウマチ学会としては新型インフルエンザワクチンと同様にステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種した方がよいとしています。人によって重症化リスクは異なり、感染リスクも感染の流行によって変動するため、担当医とよく相談したうえで接種の可否を判断してください。

Q3:ワクチン投与の自己免疫疾患への影響は?

A:現在接種されているワクチンがもともとの病気を悪化させるかどうかはわかっていません。一方でもともとの病気が落ち着いていない時のワクチン接種は推奨できないとされています。
接種するならば疾患活動性が安定してからが望ましいと考えます。

Q4:ワクチン接種前後で免疫抑制剤やステロイドは継続すべきですか?

A:現時点でステロイドや免疫抑制剤がこのワクチンにあたえる影響はわかっていません。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはありません。よって基本的には接種前後で免疫抑制剤やステロイドは変更せず継続すべきと考えます。具体的にどうするかについては、担当医とご相談ください。

以上、日本リウマチ学会ホームページから原文のまま抜粋して引用していますので、全文を読まれたい方はhttps://www.ryumachi-jp.com/information/medical/covid-19_2/をご覧下さい。


リウマチ教室のご案内(オンラインで開催しています)

 神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので予めご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。

 さて、3〜5月のリウマチ教室は新型コロナウイルス感染症の流行防止のため開催を中止させていただきましたが、6月から会議システム(Zoom)を用いてオンラインに変更してリウマチ教室を開催しています。さらに9月からはZoomのブレークルーム機能を使用して個別相談も再開しています。当面の間、オンラインでの開催を続ける見込みですので、自宅からご参加いただけます。

 2月のリウマチ教室では、三浦准教授から若いリウマチ患者さんに向けて、就職、妊娠、出産、育児などの様々なライフイベントを見据えたリウマチ治療についてお話させていただきますので、年齢にかかわらず、ぜひご参加ください。

オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができればご参加いただけます。

 なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加はメールでの事前申し込み制とさせていただきます


神戸大学整形外科リウマチ教室(オンライン開催)

日時:2021年2月18日(木)13:30-14:30(第3週です)

演題:「若いリウマチ患者さんとご家族へ:就職・妊娠・出産・育児のお話」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2021年3月18日(木)13:30-14:30(第3週です)

演題:「関節リウマチと変形性関節症に対する人工関節置換術のお話」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2021年4月15日(木)13:30-14:30(第3週です)

演題:「リウマチ患者さんのワクチン接種について」 

講師・司会:三浦 靖史 准教授


参加申し込み方法:前月のリウマチ教室の終了後から開催前日の17:00までに、「○月オンラインリウマチ教室参加希望」とタイトルを入れ、本文に参加者のお名前を記入して、以下のアドレスまでメールをお送りください。折り返し、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスから送信ください。

申し込み先:miura■kobe-u.ac.jp(■を@に変更ください)

開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。

皆様のご参加をお待ちしております。


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2021.2.2. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


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