第193号(2020年12月号[20/12/1発行])
新型コロナウイルス感染症(その10):第3波に注意しましょう
師走に入って何かと気ぜわしい時期となりましたが、年末年始のことを考えるよりも何より、現在、日本を含む多くの国で流行が再拡大している新型コロナウイルス感染症のことが気がかりな毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。兵庫県の新型コロナウイルス感染症の患者数は増加を続けており、11月25日の時点で新型コロナウイルス感染症向け病床の使用率は68%と都道府県別では2週続けて最悪となっています(12月1日付け神戸新聞の記事に基づく)。これには、自宅療養者ゼロの兵庫県独自の方針の影響がありますが、くれぐれも感染防止に務めていただきますようにお願いします。
アダリムマブ後続1アダリムマブBS皮下注「FKB」が薬価収載されました
今年6月に承認された、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤アダリムマブ(遺伝子組換え)(商品名:ヒュミラ®、製造発売:アッヴィ、発売:エーザイ)の初めてのバイオ後続品で、国内で製造されるアダリムマブBS皮下注「FKB」(アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続1]、製造販売:協和キリン富士フイルムバイオロジクス、販売:マイランEPD)が11月25日に薬価収載されました。バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えと細胞培養技術を用いて合成した蛋白質の医薬品のことですが、特許切れの後に先発品メーカーと別のメーカーが開発したバイオ医薬品がバイオ後続品(バイオシミラー、BS)です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)が先発品と全く同じ有効成分であるのに対して、バイオ医薬品の場合、蛋白質のアミノ酸配列が同じであっても蛋白修飾等の相違により、先行品や他の後続品と似ているものの全く同じ有効成分ではないため、「後続品」と呼んで「後発品」と区別しています。製造にコストがかかるバイオ医薬品は高価な薬ですが、アダリムマブ後続1は先行品ヒュミラ®と比して約64%の薬価に設定されています。
一方で、アダリムマブ後続1の適応症は、関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎
炎、腸管型ベーチェット病、クローン病、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎であって、先発品ヒュミラ®の適応症である潰瘍性大腸炎、非感染性ぶどう膜炎、化膿性汗腺炎、壊疽性膿皮症は含まれていません。また、剤形も40mgのペン型製剤とシリンジ製剤、小児に使用される20mgのシリンジ製剤に限られていて、80mgはペン型、シリンジ製剤ともにありません。さらに、アダリムマブ後続1の40mgペン型製剤はボタンのないタイプとなりますので、自動注射器の操作方法は先行品と異なります。今後、発売が始まり、当院でのアダリムマブ後続1の採用が決まりましたら、当リウマチ便りでお知らせします。
剤形写真:アダリムマブBS皮下注40mgペン0.8mL「FKB」 同40mgシリンジ0.8mL「FKB」
リウマチ教室のご案内(オンラインで開催しています)
神戸大学整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中でより良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております(開催週は月により異なりますので予めご確認ください)。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。
さて、3〜5月のリウマチ教室は新型コロナウイルス感染症の流行防止のため開催を中止させていただきましたが、6月から会議システム(Zoom)を用いてオンラインに変更してリウマチ教室を開催しています。さらに9月からはZoomのブレークルーム機能を使用して個別相談も再開しています。当面の間、オンラインでの開催を続ける見込みですので、ご自宅からご参加ください。12月は年末につきお休みさせていただきますが、新年1月のリウマチ教室では、三浦准教授から年始に当たってリウマチ治療の展望についてお話させていただきますので、ぜひご参加ください。
オンラインでのリウマチ教室は、通常のリウマチ教室への来院が困難な遠方にお住まいの方でも、パソコンあるいはスマートフォンからインターネットへの接続ができればご参加いただけます。参加は無料ですが、通信にかかる費用は参加者負担となりますので、ご自宅等の通信容量に制限のないインターネット環境からの参加をお勧めします。
なお、通常の対面での教室と異なり、セキュリティーを保護してオンライン上のトラブルを防止するために、オンライン教室への参加はメールでの事前申し込み制とさせていただきます。
整形外科オンラインリウマチ教室スケジュール
(2020年12月- 2021年2月)
12月は年末につき教室はお休みです。
日時:2021年1月21日*(木)13:30-14:30(第3週です)*日付が間違っており訂正しました
演題:「2021年:リウマチ治療の展望」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2021年2月18日(木)13:30-14:30(第3週です)
演題:「若いリウマチ患者さんとご家族へ:就職・妊娠・出産・育児のお話」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
オンラインリウマチ教室参加申し込み方法
前月のリウマチ教室の終了後から開催前日の17:00までに、「○月オンラインリウマチ教室参加希望」とタイトルを入れ、本文に参加者のお名前を記入して、以下のアドレスまでメールをお送りください。折り返し、Zoomでの参加に必要なリンク、会議IDとパスワードをお送りします。携帯アドレスをご利用の場合、こちらからの返信を受信できない場合がありますので、PC用のアドレスから送信ください。
申し込み先:miura■kobe-u.ac.jp(■を@に変更ください)
開始時間までにZoomのアプリを予めインストールいただけますとスムーズに参加いただけます。
皆様のご参加をお待ちしております。
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-3神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2020.12.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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