第184号(2020年3月号[20/3/1発行])
新型コロナウイルス感染症について:その2
新型コロナウイルス感染症COVID-19(coronavirus disease 2019)は、国内でも小規模な集団発生が報告されていますが、3月1日には兵庫県内において初めての感染者が確認されました。厚生労働省は、大規模イベント開催の自粛呼びかけや、全国の小学校、中学校、高校の休校など、感染拡大防止策を行っています。また、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)」場合と、「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある」場合に、「帰国者・接触者相談センター」に電話で相談するように指示しています。ただし、高齢者や基礎疾患等のある場合は、4日以上でなく2日程度続いている場合に相談する必要があり、リウマチ患者さんはこの基礎疾患等のある場合に該当しますのでご注意ください。
また、2009年に新型インフルエンザが流行した際と同様に、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、慢性疾患に罹患していて定期受診している患者さんが継続的な投薬を必要とする場合に、感染源と接する機会を少なくするために、主治医がその利便性や有効性が危険性を上回ると判断した場合には、電話等を用いて診察してそれまで処方されていた慢性疾患治療薬を処方すること、ならびに、処方箋情報をファックス等により患者さんが希望する薬局に送付することが認められました。ですので、受診に不安がある場合には電話でご相談くださいますようにお願いします。なお、このリウマチだよりの内容は3月1日時点のものであり、新型コロナウイルス感染症に関する情報は日々更新されていますので、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症に関するホームページなどで、常に最新の情報を確認いただきますようにお願いします。
テリパラチド後続1:テリパラチドBS皮下注キット600µg「モチダ」が
発売されました
骨折の危険性の高い骨粗鬆症の患者さんに対して、骨形成促進薬として使用されるヒト副甲状腺ホルモン製剤テリパラチド(遺伝子組換え)には、1日1回自己注射を行うフォルテオ®(製造発売:日本イーライリリー)と、週1回の通院あるいは週2回の通院または自己注射を行うテリボン®(製造発売:旭化成ファーマ)の2剤3剤形があります。この度、フォルテオ®皮下注キット600µgの初めてのバイオ後続品であるテリパラチドBS皮下注キット600µg「モチダ」(テリパラチド(遺伝子組換え)[テリパラチド後続1]、製造販売:持田製薬)が発売開始されました。バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えと細胞培養技術を用いて合成した蛋白質の医薬品のことですが、特許切れの後に先発品メーカーと別のメーカーが開発したバイオ医薬品がバイオ後続品(バイオシミラー、BS)です。後発医薬品(ジェネリック医薬品)が先発品と全く同じ有効成分であるのに対して、バイオ医薬品の場合、蛋白質のアミノ酸配列が同じであっても蛋白修飾等の相違により、先発品と似ているものの全く同じ有効成分ではないため、「後続品」と呼んで「後発品」と区別しています。テリパラチドBS皮下注キット600µg「モチダ」の薬価は26,491円/キットで年間薬価は317,892円です。製造にコストがかかる生物学的製剤は一般に高価ですが、先行品フォルテオ®の44,136円/キットと比較してテリパラチドBSは約60%の薬価に設定されています。当院では2月の薬事委員会で採用が決まりましたので、間もなく処方が可能になる見込みです。
テリパラチドBS皮下注キット600µg「モチダ」の写真
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、3月のリウマチ教室は、三浦准教授から、人工関節置換術など整形外科手術による機能再建のお話をさせていただく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため開催を中止させていただきます。4月以降の開催につきましては大学病院ホームページ及びリウマチ便りで案内させていただく予定です。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2020年3月-2020年8月)
日時:2020年3月5日(木) 午後1時30分-2時30分(第1週です)
会場:外来診療棟4階第2会議室(通常と異なりますのでご注意ください)
演題:「人工関節置換術など整形外科手術による機能再建」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
新型コロナウイルス感染症対策のため3月のリウマチ教室は中止させていただきます
日時:2020年4月16日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「知っておきたい関節リウマチの豆知識」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
日時:2020年5月14日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)
会場:外来診療棟4階第2会議室(通常と異なりますのでご注意ください)
演題:「リウマチ患者さんと装具」
講師:澤村義肢製作所 岡田 佳奈 義肢装具士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2020年6月18日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチとお口の管理の必要性」
講師:歯科口腔外科・医療技術部 歯科部門 西井 美佳 歯科衛生士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2020年7月9日(木) 午後1時30分-2時30分(第2週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「知っておきたい検査のはなし」
講師:検査部 大沼 健一郎 臨床検査技師
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2020年8月27日(木) 午後1時30分-3時00分(第4週です、終了時間が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんとのおしゃべり会」
司会:三浦 靖史 准教授、アシスタント:保健学科学生
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2020.3.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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