第181号(2019年12月号[19/12/1発行])

ノロウイルスによる食中毒や胃腸炎に注意しましょう

 師走を迎え一層冷え込む時候となってきましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

さて、食中毒というと高温多湿な時期に起きやすいと考えがちですが、ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は一年を通して発生し、特に冬に流行します(厚生労働省のホームページ)。

ノロウイルスは手洗いが不十分な手指や、ウイルスに汚染された食品を介して経口感染し、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬はありませんので、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の治療は輸液などの対症療法に限られます。そのため、感染予防が大切ですが、ノロウイルスは感染力が非常に強いにもかかわらず、残念ながら有効なワクチンはありません。そこで、ノロウイルスに限らず冬場の様々な感染症を避けるために、念入りに手洗いやうがいを行ってくださいますようにお願いします。


エタネルセプトBS「MA」の25mgペン型製剤が承認されました

 エタネルセプト(エンブレル®)のバイオ後続品であるエタネルセプトBS「MA」(エタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続1]、製造販売:持田製薬、販売:あゆみ製薬)のペン型製剤(自動注射器)は、先行品のエンブレル®は50mgと25mgの2つの用量が発売されているのに対して、50mgしか発売されておらず、25mgを使用される患者さんは、先行品でしかペン型製剤による自己注射の簡便さの恩恵を得ることができませんでした。この8月にエタネルセプトBS皮下注25mgペン0.5mL「MA」が新たに承認され、近日中に薬価収載・発売開始となる見込みです。発売ならびに病院での採用が決まりましたら、当リウマチだよりで案内させていただきます。エタネルセプトBS「MA」25mgペンの処方を希望される患者さんは主治医までご相談ください。


エタネルセプトBS皮下注25mgペン0.5mL「MA」の剤形写真


ヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤イキセキズマブ(トルツ®)が強直性脊椎炎に承認されました

 強直性脊椎炎に対する生物学的製剤は、抗TNF抗体製剤のインフリキシマブ(先行品のレミケード®のみが適応、後続品のインフリキシマブBSは3剤とも適応外)及びアダリムマブ(ヒュミラ®)と、インターロイキン(IL)-17Aを標的としたヒト型抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤セクキヌマブ (コセンティクス®)の3剤でした。この11月に、コセンティクス®と同じくIL-17Aを標的としたヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤イキセキズマブ(遺伝子組換え)(商品名:トルツ®皮下注80mgオートインジェクター、同80mgシリンジ、製造販売:日本イーライリリー、販売提携:鳥居薬品)の適応症に、「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」が追加されました。強直性脊椎炎に対するトルツ®の用法用量は乾癬に対する用法用量とは異なり、通常、成人には1回80mgを4週毎に皮下注射します。トルツ®皮下注の薬価は、オートインジェクター、プレフィルドシリンジともに148,952円ですので、強直性脊椎炎に対する年間薬価は1,936,376円になります。


整形外科リウマチ教室のご案内

 整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします

 さて、毎年12月は皆様多忙な時期となりますためリウマチ教室はお休みとさせていただいております。次回は、年が明けた1月23日に三浦准教授から、今後承認される見込みの抗リウマチ新薬など、これからのリウマチ治療の展望に関する講演をさせていただきます。寒い時期ですので、体調が許す範囲で、ご参加いただけますようによろしくお願いします。


整形外科リウマチ教室のスケジュール(2019年12月-2020年3月)

12月は年末につきリウマチ教室はお休みです


日時:2020年1月23日(木) 午後1時30分-2時30分(第4週です)

会場:神緑会館1階多目的ホール

演題:「令和におけるリウマチ治療の展望」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2020年2月6日(木) 午後1時30分-2時30分(第1週です)

会場:外来診療棟4階第2会議室(通常と異なりますのでご注意ください)

演題:「若いリウマチ患者さんとご家族へ:就職・妊娠・出産・育児のお話」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


日時:2020年3月5日(木) 午後1時30分-2時30分(第1週です)

会場:外来診療棟4階第2会議室(通常と異なりますのでご注意ください)

演題:「人工関節置換術など整形外科手術による機能再建」

講師・司会:三浦 靖史 准教授


神戸大学医学部附属病院での患者教室のお知らせ


2020年の訪れも目前となりました。寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいますようにお願いします。一年間、当リウマチだよりをお読みいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。それでは、皆様、楽しいクリスマスと良い新年をお迎えください。


リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。

連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛

発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2019.12.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用


翌月のリウマチだよりはこちら

リウマチだよりのリストに戻る

 

神戸大学整形外科リウマチだより(Web版)