第177号(2019年8月号[19/8/1発行])
暑中/残暑お見舞い申し上げます:熱中症にはくれぐれもご注意ください
7月下旬に短かった梅雨が明けて以降、連日の猛暑が続いておりますが、皆様、体調はいかがでしょうか。熱中症に関する報道も毎日のようにされていますが、今年の夏は急激に気温が高くなったため、身体が暑さにまだ順応しておらず、一層、暑さが身体に応えるように思います。
実際、7/22-28の1週間に兵庫県内で救急搬送された熱中症の患者さんは263名で、4/29-7/21までの8週の合計の搬送数が599名であることを考えると、7月下旬から急激に増加しています(数字は全て消防庁の発表データーに基づく)。また、7/22-28の1週間に全国で救急搬送された5,664名の熱中症患者さんの発生場所は、住居内が35.2%と最多で、道路の16.9%、不特定者が出入りする場所の屋外部分の14.5%を大きく上回ります。熱中症についてリウマチ患者さんにお話すると、「外出しないので大丈夫」とのお返事をしばしば頂きますが、住居内が最も危険ということを改めてお伝えさせていただきます。
さらに、2015年のリウマチ患者さんの平均年齢は約63.9才で(厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会報告書に基づく)、65才を超える高齢者のリウマチ患者さんが少なくないのですが、先述の5,664名の救急搬送された熱中症患者さんのうち52.6%を高齢者が占めていました。ですので、年配のリウマチ患者さんは熱中症に格段の注意をお払いいただきますように、そして、老若男女を問わず全ての方々に、この夏も昨年に負けず劣らず熱中症の恐れが強いことから、喉が渇く前から塩分を含んだ飲料水(経口補水液やスポーツドリンク)を十分に摂取いただきますとともに、自宅での十分な冷房の使用、外出時の日傘や帽子等の日除けの使用、高温時の不急の外出を控えるなど、できる限りの熱中症予防対策を行っていただきますようにお願いします。
なお、冷房を使用すると身体が冷えて関節痛が悪化するので使用を控えているとお話されるリウマチ患者さんがときどきおられます。確かに、冷気が下がる足部や、エアコンの風が直接当たる肩の関節痛が強くなることはありますが、冷房の使用で関節リウマチそのものが悪化するとは考えられていませんので、暑さの厳しい期間においては、痛みやすい関節の防寒対策も工夫しながら、熱中症予防をまずは優先くださいますようにお願いします。
経口JAK阻害薬ペフィシチニブ(スマイラフ®)錠50mg、100mgが
発売されました
本邦で開発された初めてのヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である、ペフィシチニブ臭化水素酸塩(スマイラフ®)錠50mg、100mg(製造販売:アステラス製薬)が、7月に薬価収載され発売が開始されました。
スマイラフ®の適応症は、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」であり、「用量用法は、通常、成人には150mgを1日1回食後に経口で投与し、状態に応じて100mgを1日1回投与すること」です。スマイラフ®の薬価は50mg錠が1741円、100mg錠が3379.9円ですので、標準量の1日150mgを服用した場合の年間薬価は1,869,128円となり、他のJAK阻害薬と同様にかなり高額です。当院でのスマイラフ®の採用に関する情報は、今後、当リウマチだよりでお伝えさえていただきます。
整形外科リウマチ教室のご案内
整形外科では、リウマチ患者の皆様とご家族に、関節リウマチについての理解を深めて頂いて、日常生活の中で、より良い療養ができますように、2003年より整形外科リウマチ教室を毎月、開催しております。教室は、事前申し込み不要で参加費無料です。整形外科に通院中の患者さんだけではなく、他の診療科や医療機関で治療を受けておられる患者さん、ご家族や医療関係者も参加いただけます。関節リウマチの治療や健康維持に関する話題が中心ですが、それ以外にも様々な話題を取り上げております。気軽に参加できる教室となるように心がけておりますので、初めての方も、安心してご参加ください。講演後に、個別の療養や治療に関する相談の時間を設けております。ご希望の方は、病気の状態が良くわかりますように、検査結果やお薬手帳などをできるだけご持参ください。ただし、希望される皆様とお話できますように、新規の参加者優先で、また、お一人当たりの相談時間はある程度で限らせていただいておりますので、質問を予め準備しておいていただけますように、ご理解とご協力のほどよろしくお願いします。なお、教室では、診察はできませんので、受診をご希望の場合には、できるだけ現在の主治医またはかかりつけ医を通じて初診予約の上、受診下さいますようにお願いいたします。
さて、8月のリウマチ教室では、毎年恒例のおしゃべり会を開催させていただきます。暑い時期ではありますが、ご都合のつく患者さんは是非ご参加ください。
整形外科リウマチ教室のスケジュール(2019年8月- 12月)
日時:2019年8月29日(木) 午後1時30分-3時00分(第5週です、時間帯が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチ患者さんとのおしゃべり会」
司会:三浦 靖史 准教授、アシスタント:保健学科学生
日時:2019年9月19日(木) 午後1時30分-3時00分(第3週です、時間帯が異なります)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「健康と音楽」
講師:国際医療福祉大学大学院 山崎 郁子 特任教授
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2019年10月31日(木) 午後1時30分-2時30分(第5週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「知っておきたい!今日からできる食事のポイント!」
講師:栄養管理部 中谷 早希 管理栄養士
司会:三浦 靖史 准教授
日時:2019年11月21日(木) 午後1時30分-2時30分(第3週です)
会場:神緑会館1階多目的ホール
演題:「リウマチの療養に大切な冬対策について」
講師・司会:三浦 靖史 准教授
12月は年末につきリウマチ教室はお休みです
リウマチだよりやリウマチ教室に対するご意見ご要望は、お手紙で外来受付スタッフにお渡し頂くか、郵便、または、ホームページより電子メールでご送付下さい。
連絡先:〒650-0017神戸市中央区楠町7丁目5-2神戸大学整形外科リウマチ診療グループ宛
発行:神戸大学整形外科リウマチ診療グループ© 発行日:2019.8.1. 文責:三浦 靖史 禁無断転載・引用
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